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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その243
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街で城に向かって歩く俺の姿を見た瞬間、距離を置いて俺の後をついてくる。
俺を直接見ていない奴らも、俺が誇闘会に出る奴だと認識し始める。
この街の奴らしくないからか?
オーロフ族中心の街。それ以外なんて、ほとんどが東角猫族、そして少数の古球磨族だろう。
俺に獣耳はない。その時点で予想ができるのかも知れない。
名無しのリョウマ族って、誇闘会の手配りした紙に書いてあったんだろ?
見慣れない奴だと、俺を見た瞬間にこいつだなってなりそうだからな。
周りに見られていると、大剣もヘタに引きずって歩けないな。あ、こいつ地面傷つけてるぞ、俺達の街の地面をよ、とか思われたら嫌だからな。
弁償なんかできないし、する気もないし。
あ!人の間にあの猫女がいる。
城に二度入ったけど、その両方とも、何目的で入ったのか筒抜けだった。
完全にお前がやっただろ。一度目はお前に頼まれて消札取るつもりだったけど、結局ハムカンデに知られていて、逆に彫魔法を受けて街の外に出られなくなったし、二度目は、城の中にいるシブに俺が侵入して消札を奪いに行く話が筒抜けだった。
なんて目で俺を睨んでんだよ。俺が悪いって思ってんのか?ふざけやがって、完全に逆恨みだろうが。
ああ、そうか。二度目の時は目的を確実に果たさせるために、俺に毒を飲ませたんだよな?結局、それは俺をただ殺すためだったのかも知れないけど。何で俺が目的を果たせずに解毒薬を飲めていないはずなのに、今も生きているのか、それが不思議で気に入らないんだな?
お前を信用してないからに決まってんだろうが!解毒薬はすぐにメルシィーニにもらってたんだよ。あいつも、俺に期待している事があったからな。
まぁ、その約束は果たせなかったけど。
メルシィーニには、言わない方がいいからな。あいつのためだ。
あのイカれ猫女をあまり直視しない様にしよう。めんどくさいからな。
「誇闘会の勇士様がお通りだねぇ?せいぜい頑張るんだよ、リョウマ族様?」
嫌味言ってきやがったな、猫女。ハムカンデの言ってたティデって、やっぱりお前だろう?お前は否定していたけどな。
もう今となってはそれすら、どうでもいい。
俺は今日、この街から出ていく。
パルンガを連れて。
城に近づくにつれて、人の数も多くなっていくな。それでも、道が混むまでじゃないけど。
にやけた顔のオーロフ族が目につく。
どうせ、俺が死ぬとでも思って見てるんだろうけどな。そうなるとも限らないぞ。
もし、俺が誇闘会に出る羽目になっても、勝つかも知れないからな。
でも、負けたら、そしてその時にまだ生きていたら、前にハムカンデが言ってた通り、俺の体に魔闘石をつようとするんだろうな。
そうしたら、俺もハムカンデの奴隷になっちまう。
そうはさせねえ。
大丈夫、落ち着け…。
俺の右手首に回っている紫色の炎も見守ってくれてる。いざとなったら、きっと。
俺自体の力も上がってきてるんだ。
きっとうまくいくさ。
パルンガは、俺が直接ハムカンデに言って、解放させる。
条件は、二度とこの街に踏み入らない。ゼドケフラーがこの街に留まるのが危険があるというのなら、俺共々この街から消えた方がいいよな。
かんたんに話が進まないのはわかっている。
あいつは、俺を利用するためにこの街に留めたいんだ。
最終的に誇闘会に出る事になったら、俺が勝った場合、俺とパルンガが街の外に出られる様にする事。
それを拒否させない。
ホルケンダは、何をしてでもハムカンデは俺達を街から出さない様にするんじゃないかみたいな事を言っていたよな。
俺が誇闘会に出て、勝っても俺達に道を開けないなら、その誇闘会に街を出る望みを抱いてる奴らはどう思うんだろうな。
誇闘会を続けられなくなったら、オーロフ族や古球磨族以外の種族は暴動を起こしたりしてな。
拒否はしにくいよな。
なら、俺がナグと戦っている時に、邪魔をする可能性がある。俺を勝たせない様に。
それを含めて俺は勝たないといけないよな。
…その時は、だ。
黒い灯籠が見えてきた。その先は、誰が攻撃をしてきても空の監視は反応しない。一応、気をつけないと。
黒い…灯籠。
誰か、この事を何か言っていた様な気がするな。
この黒い灯籠を?
何かするのか…。
ダメだ、思い出せない。
ドォーンッ!!
城の屋上にある屋根瓦の四隅の筒から火花が散った。
わかってるよ。
だから、今向かってるじゃねえか。
急かすんじゃねえよ。
人集りの向こう側、城の前に、横に長い赤い壇上があるな。
変な旗何本も立てて、武器もいくつも飾っている。
それを持って一斉にかかって来られたら、終わりだ。
真ん中に玉座みたいなものがあるから、そこにハムカンデが座るんだろう?
今はまだいないみたいだけど。
周りの奴らが俺に気づくと、道を開けてくる。
ほら、戦えよって感じだな。
多分、もう戦いから逃げられないのかも知れない。
それなら、最小限に留めてやる。
この、誇闘会に出る…か。
俺を直接見ていない奴らも、俺が誇闘会に出る奴だと認識し始める。
この街の奴らしくないからか?
オーロフ族中心の街。それ以外なんて、ほとんどが東角猫族、そして少数の古球磨族だろう。
俺に獣耳はない。その時点で予想ができるのかも知れない。
名無しのリョウマ族って、誇闘会の手配りした紙に書いてあったんだろ?
見慣れない奴だと、俺を見た瞬間にこいつだなってなりそうだからな。
周りに見られていると、大剣もヘタに引きずって歩けないな。あ、こいつ地面傷つけてるぞ、俺達の街の地面をよ、とか思われたら嫌だからな。
弁償なんかできないし、する気もないし。
あ!人の間にあの猫女がいる。
城に二度入ったけど、その両方とも、何目的で入ったのか筒抜けだった。
完全にお前がやっただろ。一度目はお前に頼まれて消札取るつもりだったけど、結局ハムカンデに知られていて、逆に彫魔法を受けて街の外に出られなくなったし、二度目は、城の中にいるシブに俺が侵入して消札を奪いに行く話が筒抜けだった。
なんて目で俺を睨んでんだよ。俺が悪いって思ってんのか?ふざけやがって、完全に逆恨みだろうが。
ああ、そうか。二度目の時は目的を確実に果たさせるために、俺に毒を飲ませたんだよな?結局、それは俺をただ殺すためだったのかも知れないけど。何で俺が目的を果たせずに解毒薬を飲めていないはずなのに、今も生きているのか、それが不思議で気に入らないんだな?
お前を信用してないからに決まってんだろうが!解毒薬はすぐにメルシィーニにもらってたんだよ。あいつも、俺に期待している事があったからな。
まぁ、その約束は果たせなかったけど。
メルシィーニには、言わない方がいいからな。あいつのためだ。
あのイカれ猫女をあまり直視しない様にしよう。めんどくさいからな。
「誇闘会の勇士様がお通りだねぇ?せいぜい頑張るんだよ、リョウマ族様?」
嫌味言ってきやがったな、猫女。ハムカンデの言ってたティデって、やっぱりお前だろう?お前は否定していたけどな。
もう今となってはそれすら、どうでもいい。
俺は今日、この街から出ていく。
パルンガを連れて。
城に近づくにつれて、人の数も多くなっていくな。それでも、道が混むまでじゃないけど。
にやけた顔のオーロフ族が目につく。
どうせ、俺が死ぬとでも思って見てるんだろうけどな。そうなるとも限らないぞ。
もし、俺が誇闘会に出る羽目になっても、勝つかも知れないからな。
でも、負けたら、そしてその時にまだ生きていたら、前にハムカンデが言ってた通り、俺の体に魔闘石をつようとするんだろうな。
そうしたら、俺もハムカンデの奴隷になっちまう。
そうはさせねえ。
大丈夫、落ち着け…。
俺の右手首に回っている紫色の炎も見守ってくれてる。いざとなったら、きっと。
俺自体の力も上がってきてるんだ。
きっとうまくいくさ。
パルンガは、俺が直接ハムカンデに言って、解放させる。
条件は、二度とこの街に踏み入らない。ゼドケフラーがこの街に留まるのが危険があるというのなら、俺共々この街から消えた方がいいよな。
かんたんに話が進まないのはわかっている。
あいつは、俺を利用するためにこの街に留めたいんだ。
最終的に誇闘会に出る事になったら、俺が勝った場合、俺とパルンガが街の外に出られる様にする事。
それを拒否させない。
ホルケンダは、何をしてでもハムカンデは俺達を街から出さない様にするんじゃないかみたいな事を言っていたよな。
俺が誇闘会に出て、勝っても俺達に道を開けないなら、その誇闘会に街を出る望みを抱いてる奴らはどう思うんだろうな。
誇闘会を続けられなくなったら、オーロフ族や古球磨族以外の種族は暴動を起こしたりしてな。
拒否はしにくいよな。
なら、俺がナグと戦っている時に、邪魔をする可能性がある。俺を勝たせない様に。
それを含めて俺は勝たないといけないよな。
…その時は、だ。
黒い灯籠が見えてきた。その先は、誰が攻撃をしてきても空の監視は反応しない。一応、気をつけないと。
黒い…灯籠。
誰か、この事を何か言っていた様な気がするな。
この黒い灯籠を?
何かするのか…。
ダメだ、思い出せない。
ドォーンッ!!
城の屋上にある屋根瓦の四隅の筒から火花が散った。
わかってるよ。
だから、今向かってるじゃねえか。
急かすんじゃねえよ。
人集りの向こう側、城の前に、横に長い赤い壇上があるな。
変な旗何本も立てて、武器もいくつも飾っている。
それを持って一斉にかかって来られたら、終わりだ。
真ん中に玉座みたいなものがあるから、そこにハムカンデが座るんだろう?
今はまだいないみたいだけど。
周りの奴らが俺に気づくと、道を開けてくる。
ほら、戦えよって感じだな。
多分、もう戦いから逃げられないのかも知れない。
それなら、最小限に留めてやる。
この、誇闘会に出る…か。
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