324 / 438
第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その229
しおりを挟む
お前は人殺しなんだ。暮梨と同じな訳がない。
お菓子なんて、誰もが好きだろう?
シブを暮梨と重ねるなんて、暮梨がかわいそうだ。
暮梨は何も悪い事をしていない。
ただ、素直に話していただけなんだ。
お菓子が好きな、普通の女子だった。
刀みたいな相手を殺せる武器なんて、あいつは持っていないんだよ。当然、シブみたいに怒り任せに相手に斬りかかる訳がないんだ。
バカげてやがる。
シブは同族と一緒に他人の村に入り込んで、その村の奴らの心に入り込んで、隙をついて殺したとか言ってたよな?
そうして他人の村を奪って、住みつくなんて。最悪な寄生虫だ。
最低だぜ。
そんな種族なんて、滅びちまえよ。
なあ?
暮梨。お前だって、同じに見られたくはないはずだ。
お前だったら、ぶっ飛ばせとか言いそうだよな?
そうしてやろう。
だけど、俺はもう時間がない。
その役割はオーロフ族に譲ってやる。
例えば、近くにいる浮浪殲滅部隊の奴らとかにな。
俺は消札を手に入れた。
これを渡す相手を間違えなければ、俺はこの街から出て、またギルロ探しの旅に戻れる。
まず優先は、こっちの方だ。
「これがエズアにやられた呪縛だ。こんな醜い女、見た事がない…」
確か城の1階で暗闇の中で戦っていた時、自分の鏡は全て割ったって。もう二度と、自分をかわいいなんて思わないなんて、言ってたな。
だけど、今はどうだ?
お前がやってきた報いが今、お前に襲いかかってるんだよ。
お前ら古球磨族はどのくらいの人達を殺してきてんだよ。
その被害者は、絶対に許してはくれないだろうよ。
…。
だけど。
俺はこの世界に来て、元の世界では絶対に持たなかった剣を持っている。
この剣は、人を殺せるんだ。
そして、自分が生きるため、俺は相手を倒した。
俺は、暮梨…。
変わっちまった俺を、許してくれるか?
…受け入れてくれるか?
俺は、この剣で相手をやっちまったんだよ。
…。
そう。
こいつの目。
シブの目に浮かぶ恨みの炎の奥に、悲しくて、淋しいって、そんな声が聞こえてくる様な気配を感じないか?
そうだ。
フリーマーケットに出店した次の日に見せた、暮梨の目だ。
暮梨、お前のあの日の目がここにある。
お前は、俺を裏切り者として見ただろうな。
俺だけは、来てくれると思っただろう?
お前は、俺を恨んだ。
裏切られたと思った分、深く傷ついていたんだ。
でも、その目は俺に…。
救いを求めてたのに。
俺は、何もしてやれなかったよ。
俺も、父さんの事があって、余裕がなかった。
…。
俺の首から血が流れ落ちる。シブに斬られた傷口は完全に塞がっていないんだ。
一時的な止血なんて、その場限りだ。
早く、行かないと。
何とかあの猫女やメルシィーニの所まで行かないと。
このままだと、命が危ない。
「ハ、ハクマァァッ!」
悪く思うなよ、シブ。
俺は、自分の事も重要なんだ。
それは、お前も同じだろう?
浮浪殲滅部隊の奴らに顔の事言われてたって、また、どうせその傷も良くなるだろ?
そうしたら、また開き直って。
お前は俺を殺そうとする。
また…。
「ハクマァァッ!」
暮梨、お前ずるいぜ。
俺に責任を押しつけやがって。
お前のお菓子なんて、もらわなければ良かった。
そうすれば、お前と話す事もなく、お前が引越しても気にも止めなかったのに。
お前。
見かけに寄らず、いい奴だった。
でも。
今は、俺は自分の思った事を優先させる。
それが。
「ハクマァァッ!!」
俺の。
俺の、生き方。
「弁帝街で偉そうにしてるが、この様は古球磨族に相応しい醜さだな」
お前の生き方は、どうだったんだよ?
暮梨。
思った通りの生き方ができたか?
お互いに、親に左右されたのかもな。
お互いに器用じゃない。
それでも。
この先、生き方なんて、いくらでも変わるのかも知れない。
俺。
変わるのかも、知れなかった。
俺の人生、可能性なんて、大してないんだよ。
お前の方が、未来は明るい。
そうだろ?
俺は、もう終わり。
「ハクマァァッ!何処に…いるんかぁぁ!」
「!?」
「貴様ッ!何処から現れた!?」
「こいつが、噂のリョウマ族か!?」
古球磨族の誇りなんて、そんなもの、捨てればいい。
お前は、本当の自分らしく、生きたらいい。
そんな事、軽々しく言えないのかも知れないけど。
本当はずっと、気になってた。お前は本当にハクマの事、殺したいと思ってたのかって。
殺さないといけなかったって、思わないといけないって。
お前の心から、時々、そんな声が聞こえてきてたんだよ。
「ハクマッ!ハハッ!戻ってきたんか!ハハッ!今、お前を…!」
バサッ。
「ほら、これでお前の顔の傷は見えなくなった」
「もう、安心だ…」
暮梨、待たせたな。
お前のピンチだもんな。
お菓子仲間の俺が来たからな。
もう。
大丈夫だ。
お菓子なんて、誰もが好きだろう?
シブを暮梨と重ねるなんて、暮梨がかわいそうだ。
暮梨は何も悪い事をしていない。
ただ、素直に話していただけなんだ。
お菓子が好きな、普通の女子だった。
刀みたいな相手を殺せる武器なんて、あいつは持っていないんだよ。当然、シブみたいに怒り任せに相手に斬りかかる訳がないんだ。
バカげてやがる。
シブは同族と一緒に他人の村に入り込んで、その村の奴らの心に入り込んで、隙をついて殺したとか言ってたよな?
そうして他人の村を奪って、住みつくなんて。最悪な寄生虫だ。
最低だぜ。
そんな種族なんて、滅びちまえよ。
なあ?
暮梨。お前だって、同じに見られたくはないはずだ。
お前だったら、ぶっ飛ばせとか言いそうだよな?
そうしてやろう。
だけど、俺はもう時間がない。
その役割はオーロフ族に譲ってやる。
例えば、近くにいる浮浪殲滅部隊の奴らとかにな。
俺は消札を手に入れた。
これを渡す相手を間違えなければ、俺はこの街から出て、またギルロ探しの旅に戻れる。
まず優先は、こっちの方だ。
「これがエズアにやられた呪縛だ。こんな醜い女、見た事がない…」
確か城の1階で暗闇の中で戦っていた時、自分の鏡は全て割ったって。もう二度と、自分をかわいいなんて思わないなんて、言ってたな。
だけど、今はどうだ?
お前がやってきた報いが今、お前に襲いかかってるんだよ。
お前ら古球磨族はどのくらいの人達を殺してきてんだよ。
その被害者は、絶対に許してはくれないだろうよ。
…。
だけど。
俺はこの世界に来て、元の世界では絶対に持たなかった剣を持っている。
この剣は、人を殺せるんだ。
そして、自分が生きるため、俺は相手を倒した。
俺は、暮梨…。
変わっちまった俺を、許してくれるか?
…受け入れてくれるか?
俺は、この剣で相手をやっちまったんだよ。
…。
そう。
こいつの目。
シブの目に浮かぶ恨みの炎の奥に、悲しくて、淋しいって、そんな声が聞こえてくる様な気配を感じないか?
そうだ。
フリーマーケットに出店した次の日に見せた、暮梨の目だ。
暮梨、お前のあの日の目がここにある。
お前は、俺を裏切り者として見ただろうな。
俺だけは、来てくれると思っただろう?
お前は、俺を恨んだ。
裏切られたと思った分、深く傷ついていたんだ。
でも、その目は俺に…。
救いを求めてたのに。
俺は、何もしてやれなかったよ。
俺も、父さんの事があって、余裕がなかった。
…。
俺の首から血が流れ落ちる。シブに斬られた傷口は完全に塞がっていないんだ。
一時的な止血なんて、その場限りだ。
早く、行かないと。
何とかあの猫女やメルシィーニの所まで行かないと。
このままだと、命が危ない。
「ハ、ハクマァァッ!」
悪く思うなよ、シブ。
俺は、自分の事も重要なんだ。
それは、お前も同じだろう?
浮浪殲滅部隊の奴らに顔の事言われてたって、また、どうせその傷も良くなるだろ?
そうしたら、また開き直って。
お前は俺を殺そうとする。
また…。
「ハクマァァッ!」
暮梨、お前ずるいぜ。
俺に責任を押しつけやがって。
お前のお菓子なんて、もらわなければ良かった。
そうすれば、お前と話す事もなく、お前が引越しても気にも止めなかったのに。
お前。
見かけに寄らず、いい奴だった。
でも。
今は、俺は自分の思った事を優先させる。
それが。
「ハクマァァッ!!」
俺の。
俺の、生き方。
「弁帝街で偉そうにしてるが、この様は古球磨族に相応しい醜さだな」
お前の生き方は、どうだったんだよ?
暮梨。
思った通りの生き方ができたか?
お互いに、親に左右されたのかもな。
お互いに器用じゃない。
それでも。
この先、生き方なんて、いくらでも変わるのかも知れない。
俺。
変わるのかも、知れなかった。
俺の人生、可能性なんて、大してないんだよ。
お前の方が、未来は明るい。
そうだろ?
俺は、もう終わり。
「ハクマァァッ!何処に…いるんかぁぁ!」
「!?」
「貴様ッ!何処から現れた!?」
「こいつが、噂のリョウマ族か!?」
古球磨族の誇りなんて、そんなもの、捨てればいい。
お前は、本当の自分らしく、生きたらいい。
そんな事、軽々しく言えないのかも知れないけど。
本当はずっと、気になってた。お前は本当にハクマの事、殺したいと思ってたのかって。
殺さないといけなかったって、思わないといけないって。
お前の心から、時々、そんな声が聞こえてきてたんだよ。
「ハクマッ!ハハッ!戻ってきたんか!ハハッ!今、お前を…!」
バサッ。
「ほら、これでお前の顔の傷は見えなくなった」
「もう、安心だ…」
暮梨、待たせたな。
お前のピンチだもんな。
お菓子仲間の俺が来たからな。
もう。
大丈夫だ。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
婚約破棄はいいですが、あなた学院に届け出てる仕事と違いませんか?
来住野つかさ
恋愛
侯爵令嬢オリヴィア・マルティネスの現在の状況を端的に表すならば、絶体絶命と言える。何故なら今は王立学院卒業式の記念パーティの真っ最中。華々しいこの催しの中で、婚約者のシェルドン第三王子殿下に婚約破棄と断罪を言い渡されているからだ。
パン屋で働く苦学生・平民のミナを隣において、シェルドン殿下と側近候補達に断罪される段になって、オリヴィアは先手を打つ。「ミナさん、あなた学院に提出している『就業許可申請書』に書いた勤務内容に偽りがありますわよね?」――
よくある婚約破棄ものです。R15は保険です。あからさまな表現はないはずです。
※この作品は『カクヨム』『小説家になろう』にも掲載しています。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
〖完結〗死にかけて前世の記憶が戻りました。側妃? 贅沢出来るなんて最高! と思っていたら、陛下が甘やかしてくるのですが?
藍川みいな
恋愛
私は死んだはずだった。
目を覚ましたら、そこは見知らぬ世界。しかも、国王陛下の側妃になっていた。
前世の記憶が戻る前は、冷遇されていたらしい。そして池に身を投げた。死にかけたことで、私は前世の記憶を思い出した。
前世では借金取りに捕まり、お金を返す為にキャバ嬢をしていた。給料は全部持っていかれ、食べ物にも困り、ガリガリに痩せ細った私は路地裏に捨てられて死んだ。そんな私が、側妃? 冷遇なんて構わない! こんな贅沢が出来るなんて幸せ過ぎるじゃない!
そう思っていたのに、いつの間にか陛下が甘やかして来るのですが?
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
元悪役令嬢はオンボロ修道院で余生を過ごす
こうじ
ファンタジー
両親から妹に婚約者を譲れと言われたレスナー・ティアント。彼女は勝手な両親や裏切った婚約者、寝取った妹に嫌気がさし自ら修道院に入る事にした。研修期間を経て彼女は修道院に入る事になったのだが彼女が送られたのは廃墟寸前の修道院でしかも修道女はレスナー一人のみ。しかし、彼女にとっては好都合だった。『誰にも邪魔されずに好きな事が出来る!これって恵まれているんじゃ?』公爵令嬢から修道女になったレスナーののんびり修道院ライフが始まる!
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる