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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その227裏
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さぁ、踊るが良い。
私の手のひらで。
ホルケンダの手塩をかけた浮浪殲滅部隊も、そう多くは残ってはいまい。
絶望を噛み締め、残り僅かな灯火を燃やすのだ。
古球磨族の手駒も、持て余す様であれば死をくれてやる。
「フフフ…」
「あまり宜しくない笑い声…だね」
「黒眼五人衆も、ナグがゼドケフラーに討たれた。残りは、シブとゲル、メベヘと…」
「心配など不要さ。そうだろう?新参者のリョウマ族を、仲間に迎え入れるのなら…」
「仲間?まだその様な戯れ言を。古球磨族とて、甘菓子を口にするという話は、本当の様だな。かつてのお前の仲間とやらは、不可思議な者に唆され、弱さを得た後、殺されていったのではなかったのか?」
お前にはまだまだ手を貸してもらうぞ。その命が果てるまでな。
そうだ。その不気味な笑みも、お前の強さの秘訣なのだ。
決して、絶やすな。
「そうだ。忘れはしない。心の救いでも求めていたのか、得体の知れない者に心を動かされ、呪いの釘を心臓部に打たれた。だからさ、取るに足らない種族の凶刃に倒れたのさ」
「そうだな。同様になれば、次に倒れるのはお前という事になるだろう」
「さて、例のリョウマ族は、私の彫魔法を解こうと消札を求めてこの城に忍び込んだ。恐らくは手に入らず、逃げ惑い、あの様にようやく城から抜け出した。さて、そのリョウマ族は、この天守層の屋根からよく見えるが。滑稽な者だが、しかし手駒にひとつ持っていたいこの変わらぬ衝動は、何か」
「ハムカンデ様…」
「あやつもまた、甘菓子を口にするのだ。しかし、それも明日の誇闘会で舌を変える。実に愉快なものとなるに違いない」
「お前の言う、仲間が、あやつにとってはゼドケフラーという事になる。そのゼドケフラーが、エズアの狂気の血を体内に注入され、正常な思考を保てずにいる。仲間。その意味を問われる、興味深い戦いになるだろうな」
「そう、それでいい…。そして彼はゼドケフラーを殺すのさ。そのために、私が短期間で強くした」
「フフフ…。ゼドケフラーと東角猫族、エズアとクェタルドの話を思い出す。今回はゼドケフラーとリョウマ族か。その絆とは、本物か試してやろう」
「必ず、その呪いを破り、ゼドケフラーを殺すよ。そして、初めてこの街に迎え入れる事になる。そうでしょう?ハムカンデ様」
「そうだな。しかし、お前はあやつの事を、かつての、そう…。仲間とやらであった、死んだ男の名前をつけて呼んでいる様だな?」
「便宜上の事さ。彼は名前を名乗りたがらないのだから」
フン、隠し通せるとでも思ったか。お前は死んだ者の面影を追っている。その男の代わりを探している事を見抜けぬとでも思ったか。
あのリョウマ族をゼドケフラーとの誇闘会で殺されぬ様にしただけではない事は明白なのだよ。
シブやナグの様に、完全に私の手のひらで踊らせる状態にしてやる事もできたものを。
余計な事をしてくれた。
「あやつの姿、私には見えている。シブと天秤にかける事はお前には苦難の選択になるだろうが、さて、どうしたものか」
「シブは、また古球磨族から転げ落ちかけている。それなら、当然の報いを」
「まだ決まった訳ではない。あのリョウマ族も、あそこでシブを始末できなければ、期待外れ。また代わりの者がこの街に入る事を期待しよう」
私の手のひらで。
ホルケンダの手塩をかけた浮浪殲滅部隊も、そう多くは残ってはいまい。
絶望を噛み締め、残り僅かな灯火を燃やすのだ。
古球磨族の手駒も、持て余す様であれば死をくれてやる。
「フフフ…」
「あまり宜しくない笑い声…だね」
「黒眼五人衆も、ナグがゼドケフラーに討たれた。残りは、シブとゲル、メベヘと…」
「心配など不要さ。そうだろう?新参者のリョウマ族を、仲間に迎え入れるのなら…」
「仲間?まだその様な戯れ言を。古球磨族とて、甘菓子を口にするという話は、本当の様だな。かつてのお前の仲間とやらは、不可思議な者に唆され、弱さを得た後、殺されていったのではなかったのか?」
お前にはまだまだ手を貸してもらうぞ。その命が果てるまでな。
そうだ。その不気味な笑みも、お前の強さの秘訣なのだ。
決して、絶やすな。
「そうだ。忘れはしない。心の救いでも求めていたのか、得体の知れない者に心を動かされ、呪いの釘を心臓部に打たれた。だからさ、取るに足らない種族の凶刃に倒れたのさ」
「そうだな。同様になれば、次に倒れるのはお前という事になるだろう」
「さて、例のリョウマ族は、私の彫魔法を解こうと消札を求めてこの城に忍び込んだ。恐らくは手に入らず、逃げ惑い、あの様にようやく城から抜け出した。さて、そのリョウマ族は、この天守層の屋根からよく見えるが。滑稽な者だが、しかし手駒にひとつ持っていたいこの変わらぬ衝動は、何か」
「ハムカンデ様…」
「あやつもまた、甘菓子を口にするのだ。しかし、それも明日の誇闘会で舌を変える。実に愉快なものとなるに違いない」
「お前の言う、仲間が、あやつにとってはゼドケフラーという事になる。そのゼドケフラーが、エズアの狂気の血を体内に注入され、正常な思考を保てずにいる。仲間。その意味を問われる、興味深い戦いになるだろうな」
「そう、それでいい…。そして彼はゼドケフラーを殺すのさ。そのために、私が短期間で強くした」
「フフフ…。ゼドケフラーと東角猫族、エズアとクェタルドの話を思い出す。今回はゼドケフラーとリョウマ族か。その絆とは、本物か試してやろう」
「必ず、その呪いを破り、ゼドケフラーを殺すよ。そして、初めてこの街に迎え入れる事になる。そうでしょう?ハムカンデ様」
「そうだな。しかし、お前はあやつの事を、かつての、そう…。仲間とやらであった、死んだ男の名前をつけて呼んでいる様だな?」
「便宜上の事さ。彼は名前を名乗りたがらないのだから」
フン、隠し通せるとでも思ったか。お前は死んだ者の面影を追っている。その男の代わりを探している事を見抜けぬとでも思ったか。
あのリョウマ族をゼドケフラーとの誇闘会で殺されぬ様にしただけではない事は明白なのだよ。
シブやナグの様に、完全に私の手のひらで踊らせる状態にしてやる事もできたものを。
余計な事をしてくれた。
「あやつの姿、私には見えている。シブと天秤にかける事はお前には苦難の選択になるだろうが、さて、どうしたものか」
「シブは、また古球磨族から転げ落ちかけている。それなら、当然の報いを」
「まだ決まった訳ではない。あのリョウマ族も、あそこでシブを始末できなければ、期待外れ。また代わりの者がこの街に入る事を期待しよう」
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