308 / 451
第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その215
しおりを挟む
あれほど強く感じていたホルケンダの気配が、まるで最初からそこにいなかったかの様に、完全に消えた。
部屋にただ1人、俺だけしかいない。
オーロフ族の事や東角猫族、古球磨族の事を語って、厳しい戦いの末、この場所を手に入れたのにと、そんな事もしゃべっていたな。
志し半ばでやられて、無念だったんだろうけど。
お前達の戦いは、本当に必要だったのか?
俺は当事者じゃないから、偉そうな事は言えないけどさ。
普通に暮らせれば、それが一番良かったって、思えたんじゃないかな。
特にそこまで強い種族じゃないって認めているなら、なおさら。
ホルケンダは、俺に何をしてほしかった?
まさか、俺が本当にハムカンデみたいな親玉を倒せるとでも思ったのか。
もし、そんな力があったなら、彫魔法にもやられてなかったんじゃないのか。
あんたも意外と見る目がないな。
俺に話を聞かせて、少しは満足してそうな気もしたんだけどな。
本当に。
ただ、それだけで良かったのかも知れない。
学校で同級生に話しかける様に、気軽に話せる相手がいないと、気が滅入るよな。
特に、自分が窮地に立たされている時なんか、世の中から置いてかれている様な気がするんだ。
世界で1人、時間が止まっている様な、そんな感じ。
ああ、何か思い出してきた。
随分と前の様な気がするけど。
俺には、第2大陸でシュティールって憎たらしいサイコ野郎がいたよな。
ムカつく奴だけど、あいつには色々言い合った様な気がする。
あの時は鬱陶しいって思ったけど、今は何だか淋しい…か。
あんなサイコ野郎なのに、淋しいなんて思うなんて、終わってる。
パルンガが人間とは違う獣なんだとわかって、今は特にそう思うのかも知れないけど。
まぁ、仕方がない事だよな。
俺が途中からあまりにもパルンガに期待し過ぎた。
俺達、仲良くしてたのにな、って。
そう思うと、諦めきれないから。
もうあまり考えるのはよそう。
あまり考えても仕方がないだよな。
さあ、ここにい続けても時間のムダだ。
この城を出よう。
俺の足元に、千円札くらいの大きさの白い札が5枚置かれている。
これが、消札か?
裏表とも、真っ白な札だけど。
まさか偽物渡そうとしたりはしないよな。
それこそ、ハムカンデがエズアにやろうとした事と同じだからな。
まぁいいや。
あの猫女に見てもらえばいいか。
それと…。
あ!あった。
隠れ布。これがないと城から出る時に見つかって捕まるからな。
これがまだ効果があるのかわからないけど、とにかく急がないと。
もうそんなに時間は残されていないはず。
一応、頭につけてと。
さぁ、襖の向こう側に誰もいない事を願って…。
スーッ。
「!?」
上の階から丁度、あの真っ白な顔で表情筋が壊死してるこけし顔の奴が1人降りてきやがった。くそっ、タイミング悪過ぎだぞ。
一度襖を閉めるべきか?
いや、もう行くべきだ。微妙に気づいていない様な気がするし、気づかれていたとしても、この部屋で追い込まれても敵わない。
大剣を持ってと。
スーッ。
ピシャ…。
「やや!?」
まさか、気づかれた?
でも、襖は閉めたから。
気のせいで片づけてくれないかな?
「劫殺の間の襖が開いた?」
「誰か良からぬ者が忍び込んだのか?それならそれで良し。その間に誤って入ったのが運の尽きさ。食殺の刑で生存などできはしまい…。愉快、愉快。ほっほっほー」
ほっほっほーじゃねえよ、バァカ!残り5人呼んでこい!その食殺の刑の部屋とやらに変わってるか、俺がお前ら全員まとめてこの部屋にぶち込んでやるよ。
部屋にただ1人、俺だけしかいない。
オーロフ族の事や東角猫族、古球磨族の事を語って、厳しい戦いの末、この場所を手に入れたのにと、そんな事もしゃべっていたな。
志し半ばでやられて、無念だったんだろうけど。
お前達の戦いは、本当に必要だったのか?
俺は当事者じゃないから、偉そうな事は言えないけどさ。
普通に暮らせれば、それが一番良かったって、思えたんじゃないかな。
特にそこまで強い種族じゃないって認めているなら、なおさら。
ホルケンダは、俺に何をしてほしかった?
まさか、俺が本当にハムカンデみたいな親玉を倒せるとでも思ったのか。
もし、そんな力があったなら、彫魔法にもやられてなかったんじゃないのか。
あんたも意外と見る目がないな。
俺に話を聞かせて、少しは満足してそうな気もしたんだけどな。
本当に。
ただ、それだけで良かったのかも知れない。
学校で同級生に話しかける様に、気軽に話せる相手がいないと、気が滅入るよな。
特に、自分が窮地に立たされている時なんか、世の中から置いてかれている様な気がするんだ。
世界で1人、時間が止まっている様な、そんな感じ。
ああ、何か思い出してきた。
随分と前の様な気がするけど。
俺には、第2大陸でシュティールって憎たらしいサイコ野郎がいたよな。
ムカつく奴だけど、あいつには色々言い合った様な気がする。
あの時は鬱陶しいって思ったけど、今は何だか淋しい…か。
あんなサイコ野郎なのに、淋しいなんて思うなんて、終わってる。
パルンガが人間とは違う獣なんだとわかって、今は特にそう思うのかも知れないけど。
まぁ、仕方がない事だよな。
俺が途中からあまりにもパルンガに期待し過ぎた。
俺達、仲良くしてたのにな、って。
そう思うと、諦めきれないから。
もうあまり考えるのはよそう。
あまり考えても仕方がないだよな。
さあ、ここにい続けても時間のムダだ。
この城を出よう。
俺の足元に、千円札くらいの大きさの白い札が5枚置かれている。
これが、消札か?
裏表とも、真っ白な札だけど。
まさか偽物渡そうとしたりはしないよな。
それこそ、ハムカンデがエズアにやろうとした事と同じだからな。
まぁいいや。
あの猫女に見てもらえばいいか。
それと…。
あ!あった。
隠れ布。これがないと城から出る時に見つかって捕まるからな。
これがまだ効果があるのかわからないけど、とにかく急がないと。
もうそんなに時間は残されていないはず。
一応、頭につけてと。
さぁ、襖の向こう側に誰もいない事を願って…。
スーッ。
「!?」
上の階から丁度、あの真っ白な顔で表情筋が壊死してるこけし顔の奴が1人降りてきやがった。くそっ、タイミング悪過ぎだぞ。
一度襖を閉めるべきか?
いや、もう行くべきだ。微妙に気づいていない様な気がするし、気づかれていたとしても、この部屋で追い込まれても敵わない。
大剣を持ってと。
スーッ。
ピシャ…。
「やや!?」
まさか、気づかれた?
でも、襖は閉めたから。
気のせいで片づけてくれないかな?
「劫殺の間の襖が開いた?」
「誰か良からぬ者が忍び込んだのか?それならそれで良し。その間に誤って入ったのが運の尽きさ。食殺の刑で生存などできはしまい…。愉快、愉快。ほっほっほー」
ほっほっほーじゃねえよ、バァカ!残り5人呼んでこい!その食殺の刑の部屋とやらに変わってるか、俺がお前ら全員まとめてこの部屋にぶち込んでやるよ。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです
かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。
強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。
これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
前世の記憶さん。こんにちは。
満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。
周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。
主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。
恋愛は当分先に入れる予定です。
主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです!
小説になろう様にも掲載しています。
悪役令嬢は大好きな絵を描いていたら大変な事になった件について!
naturalsoft
ファンタジー
『※タイトル変更するかも知れません』
シオン・バーニングハート公爵令嬢は、婚約破棄され辺境へと追放される。
そして失意の中、悲壮感漂う雰囲気で馬車で向かって─
「うふふ、計画通りですわ♪」
いなかった。
これは悪役令嬢として目覚めた転生少女が無駄に能天気で、好きな絵を描いていたら周囲がとんでもない事になっていったファンタジー(コメディ)小説である!
最初は幼少期から始まります。婚約破棄は後からの話になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる