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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
175裏ノ裏
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オデは、何かの針を打ち込まれた。頭がおかしくなりそうになって、オデがオデじゃなくなりそうになって。それでも、必死で正気を保とうとした。
ただ、オデはまた1人になるのかと、そう思えて。
恐かった。
オデ達ゼドケフラーは、しばらくは母獣の側にいるけど、そう長くは一緒にいられない。
兄弟達も、みんな同じ。
しばらくしたら、離れていく。
たまに兄弟達に会った時は、みんな、オデの知っている兄弟じゃなくなっていた。
敵じゃない。敵じゃないけど、好敵っていうのかな。
お前には負けないって、そんな声が聞こえてきそうな目だった。
それでも、ゼドケフラーの中にはみんなの事を気にしてくれるのもいる。
エズアは、成獣の中でも、強くて、そして優しい。
獣神の社、神楽天堂で住人の願いを聞くエズアは、とてもカッコよかった。
オデ達は、みんなエズアみたいになりたいと思っていた。
でも、体が幼獣の限界まできたゼドケフラーは、必死にベルダイザーを探して、戦いを挑もうとしていた。
戦って、倒して、それを食べてベルダイザーの魔力を体に取り込むんだ。そして、成獣にならないといけない。
でも、ベルダイザーは数を減らしている。そして、残ったベルダイザーもとても強いと聞く。
だから、オデ達ゼドケフラーは、ほとんどが幼獣のままで死ぬ。
成獣にまでなれるのはひと握りのゼドケフラーだけだ。
オデは、草むらの中で幼獣の体の限界を超えて、死んでいた兄弟の姿を初めて見た時、前にみんなを久し振りに見た時に、兄弟はオデを好敵みたいな目をして見た理由がわかったんだ。
誰よりも早くベルダイザーを倒して、成獣にならないと死んでしまうかも知れないから。生き残るため、みんなが好敵。
それから、オデは仲間のみんなが側を通っても、目を合わせなくなった。
オデも成獣になるために、ゼドケフラーの幼獣の誰よりも先にベルダイザーを倒さないといけない。
獣人でも、より獣の感覚を増やしていかないといけない。
本能のままに生きようって。
その方が、余計な事を考えなくてもいい。
牙をむく相手は、倒していくんだ。
でも、そんな時、名前のないリョウマ族に会った。
目がまだ、死んでいない住人は、本当にいつぶりなんだろう。
口が悪いけど、オデは気に入った。
心のずっと奥にある、優しさ。
オデにはわかるんだど。
エズアも、はっきりわかる優しさは見せないから。
でも、優しいって、わかるんだど。
名前はないって、悲しい目をして言ってた。
本当は、名前があるんだ。
オデには、わかる。
あるけど、言いたくないんだって感じる。
オデを見ていて。
きっと、ベルダイザーを倒して、カッコいいゼドケフラーの成獣の姿を見せてあげるんだど。
自信を取り戻して。
また、名前を言える様になって。
ただ、オデはまた1人になるのかと、そう思えて。
恐かった。
オデ達ゼドケフラーは、しばらくは母獣の側にいるけど、そう長くは一緒にいられない。
兄弟達も、みんな同じ。
しばらくしたら、離れていく。
たまに兄弟達に会った時は、みんな、オデの知っている兄弟じゃなくなっていた。
敵じゃない。敵じゃないけど、好敵っていうのかな。
お前には負けないって、そんな声が聞こえてきそうな目だった。
それでも、ゼドケフラーの中にはみんなの事を気にしてくれるのもいる。
エズアは、成獣の中でも、強くて、そして優しい。
獣神の社、神楽天堂で住人の願いを聞くエズアは、とてもカッコよかった。
オデ達は、みんなエズアみたいになりたいと思っていた。
でも、体が幼獣の限界まできたゼドケフラーは、必死にベルダイザーを探して、戦いを挑もうとしていた。
戦って、倒して、それを食べてベルダイザーの魔力を体に取り込むんだ。そして、成獣にならないといけない。
でも、ベルダイザーは数を減らしている。そして、残ったベルダイザーもとても強いと聞く。
だから、オデ達ゼドケフラーは、ほとんどが幼獣のままで死ぬ。
成獣にまでなれるのはひと握りのゼドケフラーだけだ。
オデは、草むらの中で幼獣の体の限界を超えて、死んでいた兄弟の姿を初めて見た時、前にみんなを久し振りに見た時に、兄弟はオデを好敵みたいな目をして見た理由がわかったんだ。
誰よりも早くベルダイザーを倒して、成獣にならないと死んでしまうかも知れないから。生き残るため、みんなが好敵。
それから、オデは仲間のみんなが側を通っても、目を合わせなくなった。
オデも成獣になるために、ゼドケフラーの幼獣の誰よりも先にベルダイザーを倒さないといけない。
獣人でも、より獣の感覚を増やしていかないといけない。
本能のままに生きようって。
その方が、余計な事を考えなくてもいい。
牙をむく相手は、倒していくんだ。
でも、そんな時、名前のないリョウマ族に会った。
目がまだ、死んでいない住人は、本当にいつぶりなんだろう。
口が悪いけど、オデは気に入った。
心のずっと奥にある、優しさ。
オデにはわかるんだど。
エズアも、はっきりわかる優しさは見せないから。
でも、優しいって、わかるんだど。
名前はないって、悲しい目をして言ってた。
本当は、名前があるんだ。
オデには、わかる。
あるけど、言いたくないんだって感じる。
オデを見ていて。
きっと、ベルダイザーを倒して、カッコいいゼドケフラーの成獣の姿を見せてあげるんだど。
自信を取り戻して。
また、名前を言える様になって。
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