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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その158
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「お前は…」
遠くから眺めているなんて奴は、そうだろうな。
「人に加われない、淋しがり屋なんだろう?」
「…」
「どうした?当たりだろう」
俺を疎ましく思ってるけど、何かを期待してもいるんじゃないのか?オーロフ族が平和築ける様な奴らじゃないし、むしろ人と人の和を壊す方に力を注ぐ奴らだろう。
それを言ったら、他の人種もそうかも知れないけどな。
だけど、盗みを特技としてるオーロフ族の奴らが人を幸せにする事はない。
だからと言って、俺がこの世界でやる事なんて、何もない。
もちろん、この街なんて滅びてしまえばいいと思っているよ。
もし、俺がこの街を今と違う方向に向かわせてくれるかも知れないなんて思ったとしたら、それはハズレだ。
「私を愚弄するつもりか。お前もまた、破滅の扉に手を掛けると?」
「…っ!」
お前もオーロフ族と変わらねえよ。逆らったら殺すって言いたいんだろう?何でお前の言う事を聞かないといけない?お前は何様なんだよ。
しかし、こいつ、どれだけ強い念力持ってんだよ。体が全然動かないぞ。
「ならば、問おう。お前は、誰だ?」
俺…?
俺は。
誰なんだろうな?
命乞いして、名前を否定したからじゃない。
本当に、俺は矢倉郁人だったのかな。
この世界に先に辿り着いたもう1人の俺よりも劣る、この俺は、誰だ?
勝手に矢倉郁人と思い込んでただけじゃないのか?
あのしもべが記憶を植えつけただけの可能性もあるよな。
母さんは、名前を言う事で自分の存在がここにあるって。
証明しないと、こんなにも自分が消えそうに思えるのかもな。
誰が、俺を矢倉郁人だと証明してくれる?
それは、俺自身が言い張るしかない。
本当は、言わないといけなかった。
名前を否定してはいけなかった。
例え、命を失おうとも。
「俺は…」
でも、もうどうでもいい。俺は、この世界ではいないに等しい。それでいい。そうでないと、俺は生きてはいけない。
「テテだ」
パルンガがそう呼んでいる。なら、それでいいじゃないか。テテは、貴方って意味だろうけどな。
「お前の名前は、何と言うんだよ…。俺は、教えたぞ」
聞いてみたけど、お前の名前に興味なんかない。答えなくてもいい。
「私の名は、裸眼…。裸の眼だ」
裸眼?
裸眼だって?
前に会ったか?
いや、何か違う。違和感がある。だけど、かなり近い響きの名前?
俺は、こいつに近い存在にあった事がある?
だけど、思い出せない。
しかも、そんなに前の事じゃない。
何処でだ?
こいつに近い存在に、何処であった?
「私の名前を聞いて、その様な反応をするか?ならば、僅かばかりの時間をお前に与えよう。その時まで、答えを用意しておくが良い」
…。
…。
…。
「はっ!?」
俺は夢を見ていたのか?
目の前には、ガラス戸を開けて最初に見た薄暗い部屋。
俺はずっとここで立ち尽くしていたのか?
立ちながら夢を見るなんて、そんな事初めてだぞ。
「ほう?お前が噂の男か…」
奥の部屋から、バサバサの長い前髪を垂らして顔を覆った着物姿の男が、体をフラフラさせながら現れた。
「どうした?物珍しそうな顔をして」
こいつに耳はない。なら、オーロフ族でも、東角猫族でもない。それとも、獣化していないだけか?
「ここには、あの虫唾の走る垂れ耳オーロフ族なんていないぞ。俺だけだ…」
じゃあ、やっぱりこいつが?
「俺は、リョウマ族だ」
遠くから眺めているなんて奴は、そうだろうな。
「人に加われない、淋しがり屋なんだろう?」
「…」
「どうした?当たりだろう」
俺を疎ましく思ってるけど、何かを期待してもいるんじゃないのか?オーロフ族が平和築ける様な奴らじゃないし、むしろ人と人の和を壊す方に力を注ぐ奴らだろう。
それを言ったら、他の人種もそうかも知れないけどな。
だけど、盗みを特技としてるオーロフ族の奴らが人を幸せにする事はない。
だからと言って、俺がこの世界でやる事なんて、何もない。
もちろん、この街なんて滅びてしまえばいいと思っているよ。
もし、俺がこの街を今と違う方向に向かわせてくれるかも知れないなんて思ったとしたら、それはハズレだ。
「私を愚弄するつもりか。お前もまた、破滅の扉に手を掛けると?」
「…っ!」
お前もオーロフ族と変わらねえよ。逆らったら殺すって言いたいんだろう?何でお前の言う事を聞かないといけない?お前は何様なんだよ。
しかし、こいつ、どれだけ強い念力持ってんだよ。体が全然動かないぞ。
「ならば、問おう。お前は、誰だ?」
俺…?
俺は。
誰なんだろうな?
命乞いして、名前を否定したからじゃない。
本当に、俺は矢倉郁人だったのかな。
この世界に先に辿り着いたもう1人の俺よりも劣る、この俺は、誰だ?
勝手に矢倉郁人と思い込んでただけじゃないのか?
あのしもべが記憶を植えつけただけの可能性もあるよな。
母さんは、名前を言う事で自分の存在がここにあるって。
証明しないと、こんなにも自分が消えそうに思えるのかもな。
誰が、俺を矢倉郁人だと証明してくれる?
それは、俺自身が言い張るしかない。
本当は、言わないといけなかった。
名前を否定してはいけなかった。
例え、命を失おうとも。
「俺は…」
でも、もうどうでもいい。俺は、この世界ではいないに等しい。それでいい。そうでないと、俺は生きてはいけない。
「テテだ」
パルンガがそう呼んでいる。なら、それでいいじゃないか。テテは、貴方って意味だろうけどな。
「お前の名前は、何と言うんだよ…。俺は、教えたぞ」
聞いてみたけど、お前の名前に興味なんかない。答えなくてもいい。
「私の名は、裸眼…。裸の眼だ」
裸眼?
裸眼だって?
前に会ったか?
いや、何か違う。違和感がある。だけど、かなり近い響きの名前?
俺は、こいつに近い存在にあった事がある?
だけど、思い出せない。
しかも、そんなに前の事じゃない。
何処でだ?
こいつに近い存在に、何処であった?
「私の名前を聞いて、その様な反応をするか?ならば、僅かばかりの時間をお前に与えよう。その時まで、答えを用意しておくが良い」
…。
…。
…。
「はっ!?」
俺は夢を見ていたのか?
目の前には、ガラス戸を開けて最初に見た薄暗い部屋。
俺はずっとここで立ち尽くしていたのか?
立ちながら夢を見るなんて、そんな事初めてだぞ。
「ほう?お前が噂の男か…」
奥の部屋から、バサバサの長い前髪を垂らして顔を覆った着物姿の男が、体をフラフラさせながら現れた。
「どうした?物珍しそうな顔をして」
こいつに耳はない。なら、オーロフ族でも、東角猫族でもない。それとも、獣化していないだけか?
「ここには、あの虫唾の走る垂れ耳オーロフ族なんていないぞ。俺だけだ…」
じゃあ、やっぱりこいつが?
「俺は、リョウマ族だ」
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