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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その127
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「何っ!?」
ザザッ!
ダッ!ダッ!ダッ!
ザザァ…。
「今のは、危なかったがな…」
こいつ、何で避けられた?俺を大して見てもいなかったのに。
俺が何の技を出そうとしているか、察した様な雰囲気だった。
初めて見る技じゃないのか?
「まだ未完で、模索中といったところかな?面白い男だな、お前は。だがな、相手を見てやれ。俺に、そんな生半可な技が通用すると思うか?」
技の完成度の事を言われたか。まさか、この技を使う奴と戦った事があるのか?
俺の姿と似ているリョウマ族は、この第5大陸が起源という話だ。なら、戦った事があるのも当然という事か。でも、この技を会得している奴なんて、そう多くはないだろうに。見た事がある、そんな程度でもあり得そうだな。
「二人掛かりも良いな。悪くなかったぞ。儂に高揚感を与えてくれるのだからな。次も同時だ、それで来い。だがな、次からは1枚ずつ、その肉を剥いでいくからそのつもりで来いよ?」
気味悪い事を言っている。だけど、多分、嘘を言ってる訳じゃない。
メベヘは、パルンガの変則的な動きを読んで、刀を振ってきていた。しかも、そのタイミングで、俺はパルンガとは違う方向から次元斬を放ったのに、パルンガへの攻撃を中断して、回避に徹して、次元斬をうまくかわしやがった。
こいつ、かなり戦い慣れている。
あまり時間をかけたくはない。この宝酷城に、今の時間帯もハムカンデがいるんじゃないのか?この戦いを見られでもしたら、いい状況なんて生まれる訳がない。
パルンガは、攻撃をかわされて、勢い余って、ボールみたいに、何度か跳ね転びながら黒い灯籠の近くまで行って、止まっている。
パルンガは、今の居場所なら、黒い灯籠の外側に抜けられる。
「…どうした?あのゼドケフラーを呼び戻して、儂を狙う様に声をかけろ。勝てる可能性が僅かでも上がる様にな。惜しかった、それは言ってやると良いな。確かに、惜しかったな」
半端な攻撃は通用しないって事か?
まともな攻撃なんて、できる訳がない。この世界の奴らみたいに、武器持って戦うのが当たり前の世界じゃないんだ。
次元斬もどきだって、俺にとってはかなり上出来なんだ。何を、気軽にかわしてんだよ…。
ザッ…。
「そんな大剣なんて持って、うまくやれると思ったのか?そうだな、やれたと言えるかも知れん。あと少し。そうだな。惜しかったと言ってやるべきか。だがな…?」
「そんなもん、死んじまえばよ。全く意味を成さない事も事実よな?ピンもキリも、死ねば同じ事だ」
俺をいびる様にのんびりと近寄ってきやがって…!
傍を見てた奴に攻撃してみても、かわされたんだぞ?しかも、次元斬だ。
どうする?
正面から戦っても、勝てる気がしない。
ザッ…。
メベヘは、さらに俺に近づいて、自分の間合いになった時、大きくにやけて、一度納刀した状態にして、攻撃の構えをしてきた。
抜刀と同時に攻撃を仕掛けるのが、基本的なスタイルか?
メベヘの少し離れた右後ろ側にいるパルンガは、俺の顔を窺っている。どうして欲しい?そんな表情だ。
メベヘの目は、三角帽子を深く被っているから、わからない。もしかしたら、すでに後ろにいるパルンガを警戒しながら俺と対峙してるのかも知れない。
また、攻撃はかわされる。
そう思えちまう。
…。
パルンガ、俺はどうしたらいい?
だけど、変に弱気な顔を見せたら、パルンガは俺を助けるために、メベヘの後ろから攻撃を仕掛けるだろう。
俺は…。
わからない、どうすればいいか。
ダメだ、このままじゃ、何もせずに死ぬだけだ。
腰を落として、大剣を水平に構えて…。
こいつを倒して、必ず、生き残る。
弱気になったら、なった分だけ、勝率は下がるんだ。
「うぅむ。覚悟は決まった様だな。ゼドケフラーも攻撃態勢に入ったか?楽しみな二人掛かりだなぁ?たっぷりと、お前達の返り血を浴びさせてもらうぞ」
またおぞましい事言ってやがる。恐るな、気丈に立ち向かえ。次の一撃に集中するんだ…。
ザッ…。
来る!?
ここで負けねえぞ!覚悟を決めて、斬ってやる!
「!?」
ウソだろ…?
ちくしょうっ!最悪だ!!
こんな時に…。
あまりにもタイミングが悪過ぎる。
「パルンガッ!?後ろだ!!」
俺達を追ってきたあの不気味野郎が現れやがった!?
姿がこの目の前のメベヘと同じなんだ、きっとあの不気味野郎は黒眼五人衆の1人だろう。
この2人が連携を取ってきたら、勝率はなくなる…。
弱気になるなっていう方が。
無理だ。
「このメベヘと対峙した状態でよそ見とはな。儂を格下と見ての事なんだろう?愉快な…」
「死体だな!」
「!?」
ザッ!!
今度こそ、来る!?このまま死ぬよりマシだ!もう、やるしかねえっ!?
パルンガ、そっちの不気味野郎は頼んだぞ!
ザザッ!
ダッ!ダッ!ダッ!
ザザァ…。
「今のは、危なかったがな…」
こいつ、何で避けられた?俺を大して見てもいなかったのに。
俺が何の技を出そうとしているか、察した様な雰囲気だった。
初めて見る技じゃないのか?
「まだ未完で、模索中といったところかな?面白い男だな、お前は。だがな、相手を見てやれ。俺に、そんな生半可な技が通用すると思うか?」
技の完成度の事を言われたか。まさか、この技を使う奴と戦った事があるのか?
俺の姿と似ているリョウマ族は、この第5大陸が起源という話だ。なら、戦った事があるのも当然という事か。でも、この技を会得している奴なんて、そう多くはないだろうに。見た事がある、そんな程度でもあり得そうだな。
「二人掛かりも良いな。悪くなかったぞ。儂に高揚感を与えてくれるのだからな。次も同時だ、それで来い。だがな、次からは1枚ずつ、その肉を剥いでいくからそのつもりで来いよ?」
気味悪い事を言っている。だけど、多分、嘘を言ってる訳じゃない。
メベヘは、パルンガの変則的な動きを読んで、刀を振ってきていた。しかも、そのタイミングで、俺はパルンガとは違う方向から次元斬を放ったのに、パルンガへの攻撃を中断して、回避に徹して、次元斬をうまくかわしやがった。
こいつ、かなり戦い慣れている。
あまり時間をかけたくはない。この宝酷城に、今の時間帯もハムカンデがいるんじゃないのか?この戦いを見られでもしたら、いい状況なんて生まれる訳がない。
パルンガは、攻撃をかわされて、勢い余って、ボールみたいに、何度か跳ね転びながら黒い灯籠の近くまで行って、止まっている。
パルンガは、今の居場所なら、黒い灯籠の外側に抜けられる。
「…どうした?あのゼドケフラーを呼び戻して、儂を狙う様に声をかけろ。勝てる可能性が僅かでも上がる様にな。惜しかった、それは言ってやると良いな。確かに、惜しかったな」
半端な攻撃は通用しないって事か?
まともな攻撃なんて、できる訳がない。この世界の奴らみたいに、武器持って戦うのが当たり前の世界じゃないんだ。
次元斬もどきだって、俺にとってはかなり上出来なんだ。何を、気軽にかわしてんだよ…。
ザッ…。
「そんな大剣なんて持って、うまくやれると思ったのか?そうだな、やれたと言えるかも知れん。あと少し。そうだな。惜しかったと言ってやるべきか。だがな…?」
「そんなもん、死んじまえばよ。全く意味を成さない事も事実よな?ピンもキリも、死ねば同じ事だ」
俺をいびる様にのんびりと近寄ってきやがって…!
傍を見てた奴に攻撃してみても、かわされたんだぞ?しかも、次元斬だ。
どうする?
正面から戦っても、勝てる気がしない。
ザッ…。
メベヘは、さらに俺に近づいて、自分の間合いになった時、大きくにやけて、一度納刀した状態にして、攻撃の構えをしてきた。
抜刀と同時に攻撃を仕掛けるのが、基本的なスタイルか?
メベヘの少し離れた右後ろ側にいるパルンガは、俺の顔を窺っている。どうして欲しい?そんな表情だ。
メベヘの目は、三角帽子を深く被っているから、わからない。もしかしたら、すでに後ろにいるパルンガを警戒しながら俺と対峙してるのかも知れない。
また、攻撃はかわされる。
そう思えちまう。
…。
パルンガ、俺はどうしたらいい?
だけど、変に弱気な顔を見せたら、パルンガは俺を助けるために、メベヘの後ろから攻撃を仕掛けるだろう。
俺は…。
わからない、どうすればいいか。
ダメだ、このままじゃ、何もせずに死ぬだけだ。
腰を落として、大剣を水平に構えて…。
こいつを倒して、必ず、生き残る。
弱気になったら、なった分だけ、勝率は下がるんだ。
「うぅむ。覚悟は決まった様だな。ゼドケフラーも攻撃態勢に入ったか?楽しみな二人掛かりだなぁ?たっぷりと、お前達の返り血を浴びさせてもらうぞ」
またおぞましい事言ってやがる。恐るな、気丈に立ち向かえ。次の一撃に集中するんだ…。
ザッ…。
来る!?
ここで負けねえぞ!覚悟を決めて、斬ってやる!
「!?」
ウソだろ…?
ちくしょうっ!最悪だ!!
こんな時に…。
あまりにもタイミングが悪過ぎる。
「パルンガッ!?後ろだ!!」
俺達を追ってきたあの不気味野郎が現れやがった!?
姿がこの目の前のメベヘと同じなんだ、きっとあの不気味野郎は黒眼五人衆の1人だろう。
この2人が連携を取ってきたら、勝率はなくなる…。
弱気になるなっていう方が。
無理だ。
「このメベヘと対峙した状態でよそ見とはな。儂を格下と見ての事なんだろう?愉快な…」
「死体だな!」
「!?」
ザッ!!
今度こそ、来る!?このまま死ぬよりマシだ!もう、やるしかねえっ!?
パルンガ、そっちの不気味野郎は頼んだぞ!
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