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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その118
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そういえば、ついさっき、争いが絶えないって言ってだけど、パルンガを外に待たせる時に、この街中でそう簡単に殺しはできない様になってるから大丈夫、と言ってたよな。
今までの話を聞いてると、争っても口論だけ大丈夫、なんて感じでもなかったよな。
「パルンガを表に立たせているけど、大丈夫だよな?」
「先ほども伝えた様に、今は大丈夫だよ。そう簡単に戦う事はできなくなったんだ」
戦う事はできなくなった、か。この街で何かそういった条例でもできたのかな?
「奇妙に赤い空が広がっているのが、その証拠さ…」
あの赤い空か。やっぱり、何か関係してるんだよな。どう見ても普通じゃないし、あまりきれいとも思わない感じの色味の赤だよな。
「フフ…。誰が思いついたのかも知らないけどさ。この街で争い事があると、その者の怒りの感情が空に抜かれて、戻らなくなる」
あの空の色は、怒りの色だって言うのか?
この街で争いが絶えないから、それを誰かが見兼ねて、怒りの感情を奪って、空に投げた?
それは、どうなんだ?怒らなくてもよくなるって事は、それは、幸せな事なのか?
「それなら…」
「どういう訳か、感情そのものがなくなる者もいるんだよ。だから、怒りの感情だけうまく抜き取ってくれる訳でもないのかも知れないねぇ。そうなると、もはや生きる屍と同じ様なもんさ。何を話しかけても、何をしても、うわの空で、呆然としているだけなんだからさ。そうなると、生きてる意味なんかも、なくなるもんさ」
怒りっぽい人は、性格の大部分が怒りの感情が占めている。だから、怒りの感情を抜かれたら、感情がない様に見えるって事なのかもな。
実際にその場面を見てないから、何とも言えないけど。
いや、違うな。
俺達が来る時に、俺達を食べようとした顔の門が、頭上から赤い線を空に走らせた後に、感情がなくなり、難なく通れる様になった。それも、今言ってた事だよな。
「その事を理解していないのか、今でも感情のまま、怒りを露わにした者は感情を抜き取られる事がある。フフ…。私ら奴隷扱いされた東角猫族は、敢えてそれを狙って、家主のオーロフ族を怒らせようと試みる場合もあるんだけどね。その怒りをぶち撒ける事ができる場所が、この街にあるんだよ」
「そうなのか?」
「宝酷城の周辺に黒い灯籠が城を囲む様に置かれている。灯籠の中に青い火が灯っているから、近寄ればそれに気づくはずさ。その黒い灯籠を越えて、城に近づけば、ハムカンデ様さえ意に介さなければ、そこは無法地帯という訳さ。怒りに任せて、相手にどんなに酷い拷問をしても、誰も文句を言う者なんていないのさ」
え?じゃあ、俺、城に招かれてるけど、行かなくていいかな。そんな話聞いて、明日、城に行って、お前が脱出できる札を取ってきてやるからな、なんて言う訳ないだろうが。
「お前が城に招かれたなら、ハムカンデ様が関与しているから、その黒い灯籠を越えても問題ないだろうね。ハムカンデ様の機嫌を損ねたなら、殺されるだろうけど。でも、お前はこの街の住人じゃないんだから、しばらくは客人扱いされるはずさ」
本当かよ?特に俺は、ゼドケフラー連れてんだぞ。普通の客って感じでもないだろうよ。
この話の流れで、ゼドケフラーの事を聞くか。
「この街は、ゼドケフラーと何があったんだ?俺は、ゼドケフラーの幼獣を連れてこの街に入ったんだ。この街の人からは、あまりいい見られ方をされてない様な気がするんだけど…」
俺が、そう言ったら、一瞬、目の前の東角猫族は、目を細めて、鬱陶しそうな顔をして、俺を見た。
この話は、聞いちゃいけない話だったのか?この街の事を聞いてもいいんじゃなかったのかよ。変なジジイが言ってたけど、ゼドケフラーなしじゃ、この街は語れないんだろ?
俺が、ゼドケフラーを連れて歩いていたのは、最初に気づけなくて、後になってわかったのか?そんな事はないよな。俺とパルンガが話していた時に、お前は話しかけたんだから。
ゼドケフラーの幼獣を見た事がないとか?
この街にゼドケフラーを連れたよそ者が来たって、とっくに街で噂になってんのかと思ったけどな。
別にゼドケフラーのエズアの事は聞けなくてもいいか。
俺には関係ないから、エズアなんて奴の事はどうでもいいからな。
その代わりに、森のどこら辺にベルダイザーが棲息してるのか、答えてもらおうかな。
パルンガは、俺がそこら辺の情報を仕入れるから、外で待ってくれてんだ。
あいつは時間がそんなにない気がする。幼獣から成獣になるために、ベルダイザーが必要なんだ。俺にとって、エズアより、そっちの方が重要だ。
どっちも答える気がないなら、俺は他を当たるよ。この街に、外から来る奴は滅多にいないんだろ?残念だったな、お前はチャンスを逃すんだ。
今までの話を聞いてると、争っても口論だけ大丈夫、なんて感じでもなかったよな。
「パルンガを表に立たせているけど、大丈夫だよな?」
「先ほども伝えた様に、今は大丈夫だよ。そう簡単に戦う事はできなくなったんだ」
戦う事はできなくなった、か。この街で何かそういった条例でもできたのかな?
「奇妙に赤い空が広がっているのが、その証拠さ…」
あの赤い空か。やっぱり、何か関係してるんだよな。どう見ても普通じゃないし、あまりきれいとも思わない感じの色味の赤だよな。
「フフ…。誰が思いついたのかも知らないけどさ。この街で争い事があると、その者の怒りの感情が空に抜かれて、戻らなくなる」
あの空の色は、怒りの色だって言うのか?
この街で争いが絶えないから、それを誰かが見兼ねて、怒りの感情を奪って、空に投げた?
それは、どうなんだ?怒らなくてもよくなるって事は、それは、幸せな事なのか?
「それなら…」
「どういう訳か、感情そのものがなくなる者もいるんだよ。だから、怒りの感情だけうまく抜き取ってくれる訳でもないのかも知れないねぇ。そうなると、もはや生きる屍と同じ様なもんさ。何を話しかけても、何をしても、うわの空で、呆然としているだけなんだからさ。そうなると、生きてる意味なんかも、なくなるもんさ」
怒りっぽい人は、性格の大部分が怒りの感情が占めている。だから、怒りの感情を抜かれたら、感情がない様に見えるって事なのかもな。
実際にその場面を見てないから、何とも言えないけど。
いや、違うな。
俺達が来る時に、俺達を食べようとした顔の門が、頭上から赤い線を空に走らせた後に、感情がなくなり、難なく通れる様になった。それも、今言ってた事だよな。
「その事を理解していないのか、今でも感情のまま、怒りを露わにした者は感情を抜き取られる事がある。フフ…。私ら奴隷扱いされた東角猫族は、敢えてそれを狙って、家主のオーロフ族を怒らせようと試みる場合もあるんだけどね。その怒りをぶち撒ける事ができる場所が、この街にあるんだよ」
「そうなのか?」
「宝酷城の周辺に黒い灯籠が城を囲む様に置かれている。灯籠の中に青い火が灯っているから、近寄ればそれに気づくはずさ。その黒い灯籠を越えて、城に近づけば、ハムカンデ様さえ意に介さなければ、そこは無法地帯という訳さ。怒りに任せて、相手にどんなに酷い拷問をしても、誰も文句を言う者なんていないのさ」
え?じゃあ、俺、城に招かれてるけど、行かなくていいかな。そんな話聞いて、明日、城に行って、お前が脱出できる札を取ってきてやるからな、なんて言う訳ないだろうが。
「お前が城に招かれたなら、ハムカンデ様が関与しているから、その黒い灯籠を越えても問題ないだろうね。ハムカンデ様の機嫌を損ねたなら、殺されるだろうけど。でも、お前はこの街の住人じゃないんだから、しばらくは客人扱いされるはずさ」
本当かよ?特に俺は、ゼドケフラー連れてんだぞ。普通の客って感じでもないだろうよ。
この話の流れで、ゼドケフラーの事を聞くか。
「この街は、ゼドケフラーと何があったんだ?俺は、ゼドケフラーの幼獣を連れてこの街に入ったんだ。この街の人からは、あまりいい見られ方をされてない様な気がするんだけど…」
俺が、そう言ったら、一瞬、目の前の東角猫族は、目を細めて、鬱陶しそうな顔をして、俺を見た。
この話は、聞いちゃいけない話だったのか?この街の事を聞いてもいいんじゃなかったのかよ。変なジジイが言ってたけど、ゼドケフラーなしじゃ、この街は語れないんだろ?
俺が、ゼドケフラーを連れて歩いていたのは、最初に気づけなくて、後になってわかったのか?そんな事はないよな。俺とパルンガが話していた時に、お前は話しかけたんだから。
ゼドケフラーの幼獣を見た事がないとか?
この街にゼドケフラーを連れたよそ者が来たって、とっくに街で噂になってんのかと思ったけどな。
別にゼドケフラーのエズアの事は聞けなくてもいいか。
俺には関係ないから、エズアなんて奴の事はどうでもいいからな。
その代わりに、森のどこら辺にベルダイザーが棲息してるのか、答えてもらおうかな。
パルンガは、俺がそこら辺の情報を仕入れるから、外で待ってくれてんだ。
あいつは時間がそんなにない気がする。幼獣から成獣になるために、ベルダイザーが必要なんだ。俺にとって、エズアより、そっちの方が重要だ。
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