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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その105

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「不穏な足音と見に来てみたら、これだ。クフォフォ…」



頭に垂れた茶色の耳がある年老いたじいさんが、黒い家と家の狭い合間で、険しい目を俺に向けながら、そう言った。

顔はよく見ると、右目の周りに大きなあざがあるな。変質じじいだから、殴られでもしたんだろう。

不穏な足音って、俺達の事だろうな。悪かったな、不穏な足音させて。お前も、不快な発声してるから気をつけろよ。



「参ったな、もしかしたら、魔力の買取は難しいかもな…」



魔力の買取人が、苦い顔してそんな事を言い出したから、俺はつい、パルンガに視線を向けた。パルンガは、俺の視線が自分に向くと直感でわかったのか、俺の目の動きに合わせて、俺を見る。

黙って見つめ合ってどうするんだよ、ブタウサギ。



「何がまずいって?あのじじい…、あの人はどういう人なの?」



「…オーロフ族の厄介なじいさんさ。嗅ぎ回ってくるから、面倒になりそうだったら、交渉は打ち切りになるからな」



オーロフ族?確かに厄介そうなじじいに見えるけど。



「これは一種の祟りとも捉える事もできよう。なぁ?あのゼドケフラーの怨念がその幼獣に取り憑き、この街へと向かわせたのだ。そうだろう?その中にいるんじゃないのか、エズア…」



じじいの言葉を聞いたパルンガが、急に立ち止まった。目を丸くして、驚いてる。



「パルンガ?」



「オデ達の、ゼドケフラーの中ですごく強かったのが、エズアだど…!」



まずいな、パルンガを落ち着かせないと。この街の奴らが、ゼドケフラーの、そのエズアって奴に何かやったな。多分、殺されてるのかも知れない。



「パルンガ、あのじじいは頭がおかしいんだ、だから適当な事を言ってるんだろ?信じても仕方がない、行こうぜ?」



「オデ…」



「パルンガ、俺達は、奴が話してる事が真実だって証拠は、何も目にしてないじゃないか。考えるだけムダだろ?」



「ガルルルルッ…!」



「パルンガ、俺達はやらなきゃならない事があるんだよ。な?お前はまず、ベルダイザーを探して、倒さなきゃならないし、そして成獣にならないと、お前の未来は何もないだろう?ここで、立ち止まっても、意味がないんだよ」



「テテとそこにいる黒と一緒に行く場所に、オデの未来はあるのか?」



未来はあるだろう?ただ、明るいか暗いかは別として。まぁ、お前次第だ。いや、俺次第とも言えるな。

ただ、この場に立ち止まってそのじじいを殺したところで、何の未来もないだろう。

この街に来て、何の情報も得られないまま、北に向かい続けても、森は何も答えてくれないぞ。



「テテ、オデは…信じるど」



あのじじいの言葉をか?随分と信仰深いじゃないか、今会ったばかりのじじいを信じるなんて!



「テテを信じる…!」



そうか!いいぞ、パルンガ!その調子だ!


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