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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その80

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ドガァッ!!









「く…ふっ!」








はぁっ…。










はぁっ…。









「…その落ちた剣は、飾りだったのか…なぁ」










飾りだと…?これは、俺の命綱になってんだよ!それを、かんたんに落としちまう俺も、アホだ…。










「フフ…フ。鎧に身を包み、手に剣を持った住人が、私に何を食らわせたのかなぁ…」







「何だ、よ…」








「私は黒煙に紛れ、確実に君の背後を取ったはずなのに、その私の場所を特定したばかりじゃなく、私より先に攻撃してきたねぇ…。その突きは、思った以上に深く入った…」






俺、そう言えば、剣を持ってなかったのに、この女をうまく跳ね除けたな。適当に足掻いてみたのが良かったのか?







「君、何か格闘術を使える様だねぇ。一発の突きだけど、私の顔に一つフェイントを混ぜて、私の鳩尾みぞおちに撃ち込んできた。君は私の幻影術、アルヴァロ・スティッカーを見た事があるの?」







女は俺との距離を取って、少し身を屈めている。黒い煙は薄くなって、今にも消えそうだ。



俺のまぐれパンチに驚いて、いらない警戒をしてくれたんなら、これはついてるとしか言いようがないな。





まだ多少ふらつくけど、目を回してたのが、少しは回復したかも知れない。後、もう少しだ。





「お前の幻影術とやらは、俺の目を欺く事はできないんだよ。…わかったら、そのまま俺の前からいなくなれよ…!」






…と。いきなりこの発言は、高望みし過ぎたか?でも、どうだ?






「私と一度、拳を交えたのなら、決着がつくまでは終わらないのさぁ。今度は、君が格闘術の使い手だと認識した上で、戦わせてもらうよ…」








相手の過剰な警戒心が、俺をより不利な状況にしている様な気がする。俺、確実に余計な事言ったのか?






さりげなく、剣を拾うか…。






少し、余裕の笑みを浮かべながら。








カチャッ。







よし、再び、剣を手に取ったぞ。









「…そうなんだ。君が不得意そうにしているその剣を手に取って、戦うというのなら、それは私にとってありがたい事なのさ。フフフ…。君は意外な子さぁ…。もしかして、私が想定したよりも魔力がたくさんありそうだねぇ?これは、楽しみだ…」









意外な子…か。俺より少しだけ若そうに見えるけど、意外とババァなのかもな。まぁ、どうでもいいか。









「!?」









構えた後ろ足を、一瞬引きずったな…?もしかして、俺のさっきのまぐれパンチが、みぞおちに入って、まだ効いてるんじゃないのか?だとしたら、この後の戦いは、お前の…。











負けだ。









少しだけまだ頭が痛いけど、目は正常に戻った。俊敏な動きができないのなら、俺もこのままお前なんかに殺されたくはない。決着をつけてやる。










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