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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その55裏

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「…何と」











私の魔法詠唱の最後、言葉を書き換えて違うものにした?大した魔力も感じなかったのに、何故、その様な真似を…。









「ホホホ…」








高天魔こうてんま四大将の炎真えんま大将グレンベール・アルシオンが、救おうとしただけの事はあるのでしょうか。









幾度となく崩壊するこの星に、私の様にかつての愛着など程遠い感情を持つ者達がこの世界には溢れている。しかし、再び心と心を繋ぐその礎を築こうとしているのがグレンベール・アルシオンですが。








その手助けをする者達など、この世界にそう多くはいない。








救いの手を差し伸べれば、その手を掴む者はいても、私達の参列に加わろうとする者はいないでしょう。








この世界の住人2人が、ただの一度、法を犯し、星を崩すほどの獣化を果たし、己の私怨をいとわず、争えば、多くの犠牲者を出し、グレンベール・アルシオンの思いも虚しく、わずかに紡がれた絆も、再び破綻するのですから。








無駄なものと、思われるのでしょうね。










他の星からこの星に住む者達は、わずかに存在はする。しかし、排他的なこの世界の住人からは忌み嫌われる存在、新たな火種になる事もあり得る。










しかし、そういった異国の地からやって来た者の中に、住人達の破綻した絆を繋ぎ、信頼を得かけた者がいたと聞く。








名前は、忘れましたが。









生まれ育った星も、幾度も崩壊する中で、形を変え、握られた互いの手も払い、各々の住人が生存の道を模索した結果が、この現状です。









多少の住人の絆を紡いだところで、たかが知れているのかも知れませんね。











異国の地から訪れる者に、新たな息吹をと期待する気持ちもわからなくはないです。









そうか…。











彼の目は、確かにあの時、違った色を見せた。










「ホホホ…」












私の魔法を阻害したのは、貴方なのでしょう?











もしかして、貴方のかけた思いは、先ほどの者に託されたのでしょうか?










貴方が長年、夢を描き、研究に没頭していたその成果が、彼だとしたら…。










その力は、計り知れない。










もし、私の思惑が的中しているのなら、彼はまだその力の本領を発揮してはいないのでしょうね。









彼が身に受けた魔法は、緊急回避とも言える魔法、最終的にはこの場所また舞い戻る。







その時まで、待つ事にしましょうか。









グレンベール・アルシオンだけに限らず、貴方までも先ほどの彼を気にかける存在ならば。











この私も、彼を拒絶する事など、出来はしませんよ。











可能な限りの力添えは、させて頂くとしましょうか。









今は、何処かで身を隠しているのでしょうけれど。











またいつの日か、会いましょう。











我が、師匠。



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