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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その4

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「君は、あまりギルロの事を知らないのさ。それなのに、ギルロの体と魂を探している…」




お前が前に推測してただろう。…当たりだよ。ギルロの体と魂を探さないと、地球に帰れないんだよ。それを、口に出して言えば、その先の事も聞かれるよな。くそ…!





「僕の推測通り、ギルロを探さなければ、地球に帰れないんだろう?前に言った時は、返答しなくてもいいと言ったのは、僕さ。でも、敢えて君の口から、今回は答えてもらう事はできるかな?」






シュティールめ。









「フルワットの街で、ギルロによって存在を消された住人達の声を聞いただろう?君は彼らの声を聞いて、どう思ったのかな。僕は…この世界の住人なんて、誰も信用はしていない。だから、ギルロに街の住人達が存在を消されたからといって、彼らの敵討ちをしたいとは思わない。でも、君は情に厚い様な気がしたからさ。その君が、住人達の存在をいたずらに消し去ったギルロの、体と魂を探しているんだ。側から見れば、誰かが悪事を働くギルロをせっかく封じたのに、それを解放し、また同じ惨劇を繰り返す手助けをしようとしてるとしか、思われないんじゃないかと思ってね」






一気に言ってきやがったな。




シュティールは、やっぱりギルロの事を相当嫌っていたんだな。





だけど、ギルロが悪い奴って言うなら、他の住人は何だ?他の住人はいい奴って訳でもない。俺自身、酷く嫌な思いをさせられた。俺は、お前の言う住人達って奴に、2度ほど殺されそうになったんだからな。ギルロが、そいつらよりも悪いって言い切る保証はあるのか?





「俺は…ギルロの体と魂を探す。理由は、お前が好きに考えろよ。邪魔をしても、ムダだぜ…」





ギルロの体と魂を探し出してもいないのに、俺はここで止まるわけにはいかない。俺は、この世界で何が正しくて、何が間違っているかなんて、まだわからないんだ。




フルワットの街で聞いた、住人の『記憶の声』は、ギルロが一方的に住人の存在を消した様な気もする。




だけど、その理由は何かもわかっていない。





その状況で、地球に…日本に戻れて、生き返るチャンスを、無駄にしたくはないんだ!




俺は、この世界で死にたくはない。




一生を過ごすなんて、冗談じゃない!





こんな、気分の悪い…世界なんて、いたくもないんだよ。







止まった地球を動かして、俺も生き返ってやる!





今はその考えを、変えるつもりはない。





お前が何と言おうと…。









「…その決意、この先も変えてはいけないよ…」






え…?シュティール?








「…君がギルロの体と魂を探している理由なんて、言わなくても僕にはわかっているんだ」










シュティール、声が優しげな声になっていった。でも、どうしてだ?どうして先ほどは怒って、そして今は、優しくなった?






「ギルロは、あの街以外でも、住人の存在を消してしまった。ギルロを嫌う住人は、僕だけじゃないのさ。でも、実際は、何故その様な行動を起こしたのか、わかっていないんだ。あの地聖王アーガーベルがさ。その理由を探すのも、悪くはないよね…」






シュティールは、少し困り顔で、笑った。




「本当はね、君はもっと早く死ぬと思っていたんだよ。でもね、君はまだ生きている。アバルマの沼にいたオルドキメラも倒したんだ。だから、本格的に、君と一緒に旅をして、真実を知るのも悪くはないのかな…」









「シュティール…」









「少しは安心してよね。君はたまに、とても強くなるみたいだけど、足手纏いにはならないつもりだよ。ね、先生?」







先生…。さすが日本通。先生という言葉を知ってるのか。ちなみに、俺は数学の先生は苦手だ。1+1は2みたいに、考えの幅がないからな。






「僕は、あやとりができるんだよ」





あやとり?さては俺より日本を知ってるな?古来からの日本を知っているんだよ、お前は。日本博士めが。







正直、お前は強いだろ?お話ライオンと対峙してた時もさ、常に余裕だったもんな。お話しライオンに噛まれていても平然としていたし。





俺の予測だけど、お前、そこらへんにいる住人達より強いんじゃないか?







俺に矛先が向いてなければ、お前が一緒にいると、何処か安心な所もあった。










でも。お前と出会った街で、俺がしもべと一緒にいた事を何故、知っているのか。いつ知ったんだ?まず、その質問を、しなければいけないな。







「じゃあ、気を取り直して、まずはグレンベールを探そうか?」









「…シュティール、質問だ。この湖の街に来る前に、俺達が最初に会った街に戻るなと言った時の事を、覚えているか?」







「…」










「…忘れたよ」










嘘をつけ!この野郎…。









こう来るのか、こいつ。言った言ってないの話になると、今は解決の道はないか?









「俺と、一緒にいたもう1人の奴を探してる厄介な奴がいたとか、言い始めて…」










「何だい、お話を聞かせてくれるのかい?待って、お菓子出すから…。食べながら楽しませてもらうよ」











チッ…!ガキ集めて読んで聞かせる楽しい昔話とかじゃねぇんだよ!自分の好きな様に相手を振り回して話をするのが好きだよな、お前。









「じゃあ、いいよ。他の質問。1つだけ、聞いていいか?」











一緒に旅をするのに、これは重要だ。










俺は、今はあまり、お前を敵と思いたくはないんだよ。













「…俺は、お前に気に入られてんのかな?」













いつもニコニコ笑ってるけどこいつの笑顔は毎回、嘘くさいと思っていた。上っ面で笑ってる気がして。実際に当たってるだろ。







でも、次の言葉を吐いた時の、シュティールの笑みは、何故か信用できたんだ。









「オルドキメラに噛まれていた時、君は僕を助けようとしてくれたよね。だから、僕にとって、君はおもしろい存在なのさ」

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