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第一章 オレン死(ジ)ジュースから転生

その31

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シュティールは、金髪の前髪をかき上げて、得意げに笑う。相変わらずのムカつきようだ。

普段と変わらない笑顔。でも、それが意外と恐ろしい所。

少しでも表情が変われば、感情のある男と思えるけど、こいつの場合は、9割強が笑顔だ。ほぼ、どんな場合でも。かなりイライラした時だけ、殺意剥き出しみたいな表情になるけど。

「やあ。イクト君。何か進展があったかい?」

とぼけているのか、シュティールはそう言った。

「この状況を作ったのは、お前なんだろう!」

俺の中で、恐怖よりも、裏切られた怒りが勝っている。これが逆転されれば、この場からすぐに逃げる事になるだろうけど。

あ、シュティール、目がちょっと厳しくなったな。口元は笑みを浮かべたままだけど。

「…そういう事か。この世界について、話をしてあげたかと思うけれど。よくわかっていなかったみたいだね」

笑みを浮かべたまま、そう言うシュティール。

猟奇殺人を犯す奴はみんな、こんな感じに笑って恐い事言うんだろうな。

頭は怒りで熱い気がするけど、背筋に冷たい汗が流れる。やっぱり、体は恐怖を感じているのか。

暴言を吐かれながらも、一緒にこの街までやってきたけど、もう限界だ。俺をハメて、殺そうとするとは。

正直、がっかりだよ。

いや、そう思うのが、そもそもおかしいのかもな。

元々、超危険人物だったんだ。話しかけるべきじゃなかった。

「この世界は、誰に対しても気を許してはいけない。それが君には伝わってはいなかったみたいだね」

まだまだ笑顔のシュティールは、そう言ったが、

「それは、お前に対しても、という事だろう?」

俺は威圧感を跳ね返す様に、言い返した。

拍手して、声を出して笑うシュティール。

「そうだよ、その通りだよ。わかってきたみたいだね」

シュティールの目つきに恐さが加わった。

俺の足の裏が、地面に貼りついたみたいに離れねぇ。クソ、まずいぞ。

俺の中に現れた奴のおかげで、クソババアの毒から逃れられたけど、そいつの存在は今は感じられない。

だけど。



そいつは…



いや、何かの間違いだ。取り敢えず、今はこの場を逃れる方法を考えないと。



シュティールを本気にさせたら、俺は生きていられない。



あ!



もう一度、あの力を得るために、右手が燃えればいいんだな。そうしたら、シュティールに対しても互角に戦えるんじゃないか?

よぉし!



燃え…



そう言えば、どうやって燃えていたんだっけ。



勝手に右手が燃えて、その上を青い炎が何かを描いて。紫色の炎に変わって、腕に吸い込まれ、消えていく。

そんな感じだったよな。



どう燃やせばいいんだ?



失笑するシュティール。完全にバカにしているな。見てろ、今に燃え出すから。





うーん。




はぁぁッ!




あああっ!!











あー、あー、あぁぁぁ…



あははは…



「俺は、死なねぇよ!絶対に…日本に帰ってやるよ!!」

俺はそう言って180°c向きを変え、猛ダッシュ!!

また来た道へ突入した。

狭い通路の壁に少しぐらい擦ったところで、俺の勢いは止まらないぜ!

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