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妄念を断ち切る光の刃
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姿勢を低くして犬の様に駆け抜け、天駆と縮地を使って複雑に動く。
長剣と短剣を順手、逆手で構えて戦場を駆け回る。
硬質な音が響き、周りに搭載された武装が火を噴き、僕へ襲いかかる。
火は水で消化し、刃は刃で折る。
巨体を駆け上って天井近くへ飛翔し、落下の力を使った一撃を叩き込もうとして
横から飛んできた光線に邪魔をされ、体勢を崩された。
纏雷を発動し、神槍への対応も疎かにしない様にしつつもう一つの兵器にも注意する。いや、便宜上、マイクと呼称しよう。
直後、神槍が発光を始め、マイクが走る。
そして僕達は神槍の真の意味を知ることとなった。
----
そこに突き立つのは一本の槍だ。紅の槍。
そしてそれを握るのは一つの兵器。
漆黒の機体に金線が入った兵器が。
独特の駆動音を響かせて機体が動く。
巨体に見合わない俊敏な動きで槍を振るい、大気を薙ぐ。
穂先を刀で受け止め、上に弾きあげる。
槍の石突が迫るが、頭を振って躱し、踏み込み、巨体を駆け上って独楽の様に回転しながら下り降りる。
黒の塗装が剥げるが、本体へ損傷は見受けられない。
無力さに歯噛みしながら薄く極光を纏わせた刀を振るう。
刀が、腰に装備された砲塔から放たれた粒子砲とでも言うべきものを切り裂き、奥の機体の塗装を剥ぐ。
金属がぶつかり合う音が響き、そこへ銃声が混じる。
音は間延びしたものが一つ。
だが飛来する閃光は六筋。
狙い違わず同じ場所に着弾した弾丸は絶大な衝撃を撒き散らしながら機体へダメージを入れる。
天井へ飛翔し、天井を床にして、体をマイクに向かって撃ち出す。
障壁を纏わせ、纏雷を発動し、魔力攻撃を発動し、剛腕で強化し、魔衝波も合わせ、射出による落下ダメージが追加された拳を弾丸と同じ場所へ放つ。
回避はされない様速度は全開だ。
硬質のものがぶつかり合う音と、何かが砕ける様な音が響く。
僕の拳はマイクのど真ん中に突き込まれている。
それでもマイクは機能を停止しない。
片脚を振り上げ、神槍を薙ぎはらう様に振るう。
腕を引き抜いて片脚を防ぎ、神槍を刀で受け止める。
が、受け止めきれずに吹き飛ばされる。
靴底を削りながら減速し、飛び出す。
股の間をくぐり抜け、背後から斬撃を放つ。
甲高い音と腕に僅かな痺れ。
一瞬動きが止まり、振り上げられた足に体を強かに打たれ、天井まで吹き飛んで停滞の後、落下する。
気管を塞ぐ血を口から吐き棄て、破損箇所を治療しながら天井を駆け上る。
光線が後を追って放たれ、熱が背中に触れるのを感じながら縦横無尽に走り回る。
攻撃のタイミングを計っていたその時、光線が一本、別の場所に放たれた。
そちらを見ると早希の方。
歯噛みしながら攻撃を喰らうことを厭わず駆け抜ける。
障壁を張ったマントを盾にしつつ飛び込むが
「ユウッ!」
「っつぁ…! 」
腹部を光線が貫通し、相当なダメージを受ける。
だがそのお陰で早希にはダメージが通らなかった。
出血はない。攻撃が光線であったことが幸いするとはなんとも皮肉だ。
流石に貫通するほどのものを治せる程の腕ではない。
出血がないだけマシというべきか。
気休め程度ではあるが治療をしながら衣服に掠めるギリギリの距離で避けていく。
奇妙な音を響かせながら光線を避ける。
魔力を回復力に変換しつつ、回復魔法を掛けて復帰を急ぐ。
ある程度治り、戦線に復帰しようとした時、独特の駆動音が鳴り響いた。
音に視線を向けると神槍が一段変化し、こちらに銃口の様なものが向いている。
一部元の戦車化…!
ならここで飛び出すのは砲弾!
「早希っ!」
魔力を衝撃波に変換して早希をその場から吹き飛ばす。
障壁を幾十枚も張り、受け止める覚悟で行く。
絶大な威力を誇る砲弾は障壁を幾枚も撃ち破り、最後の三枚の所まで破り、失速して地へ落ちる。
直前に砲弾を包み込む様に障壁を展開し、爆炎を封印する。
凄まじい熱量に歯を食いしばり、破られそうになる障壁を必死で維持する。
その間にも続くマイクの光線による攻撃にも気を払う。
そして燃える炎が小さくなった時、マイクの方の障壁を解き、一直線の障壁の道を作る。
するとーーー
----
バックドラフトという現象がある。
酸素が欠乏した炎に大量の酸素を与えることで、酸素の方向へ向かって爆発的に炎が燃え上がるというものだ。
それを魔神討伐用の砲弾の爆炎で実演するとどうなるか。
それはーーー
----
酸素を与えられた蒼色の爆炎が一直線にマイクへ伸び、装甲を融解させる。
漆黒の装甲が融け落ち、固まる。
装甲が剥がれたマイクに刀を構える。
極光を刀に宿らせ、両手で大上段に構える。
研ぎ澄まされた剣気が周囲の景色を揺らがせ、洗練された新緑の魔力と光魔法の白銀が混ざり合った魔力が部屋全体を埋め尽くし
裂帛の気合いと共に斬撃が飛び、マイクの残りの体を両断する。
そして、その奥の部屋の機械を切り裂き、消滅させた。
あぁ、疲れたね。
長剣と短剣を順手、逆手で構えて戦場を駆け回る。
硬質な音が響き、周りに搭載された武装が火を噴き、僕へ襲いかかる。
火は水で消化し、刃は刃で折る。
巨体を駆け上って天井近くへ飛翔し、落下の力を使った一撃を叩き込もうとして
横から飛んできた光線に邪魔をされ、体勢を崩された。
纏雷を発動し、神槍への対応も疎かにしない様にしつつもう一つの兵器にも注意する。いや、便宜上、マイクと呼称しよう。
直後、神槍が発光を始め、マイクが走る。
そして僕達は神槍の真の意味を知ることとなった。
----
そこに突き立つのは一本の槍だ。紅の槍。
そしてそれを握るのは一つの兵器。
漆黒の機体に金線が入った兵器が。
独特の駆動音を響かせて機体が動く。
巨体に見合わない俊敏な動きで槍を振るい、大気を薙ぐ。
穂先を刀で受け止め、上に弾きあげる。
槍の石突が迫るが、頭を振って躱し、踏み込み、巨体を駆け上って独楽の様に回転しながら下り降りる。
黒の塗装が剥げるが、本体へ損傷は見受けられない。
無力さに歯噛みしながら薄く極光を纏わせた刀を振るう。
刀が、腰に装備された砲塔から放たれた粒子砲とでも言うべきものを切り裂き、奥の機体の塗装を剥ぐ。
金属がぶつかり合う音が響き、そこへ銃声が混じる。
音は間延びしたものが一つ。
だが飛来する閃光は六筋。
狙い違わず同じ場所に着弾した弾丸は絶大な衝撃を撒き散らしながら機体へダメージを入れる。
天井へ飛翔し、天井を床にして、体をマイクに向かって撃ち出す。
障壁を纏わせ、纏雷を発動し、魔力攻撃を発動し、剛腕で強化し、魔衝波も合わせ、射出による落下ダメージが追加された拳を弾丸と同じ場所へ放つ。
回避はされない様速度は全開だ。
硬質のものがぶつかり合う音と、何かが砕ける様な音が響く。
僕の拳はマイクのど真ん中に突き込まれている。
それでもマイクは機能を停止しない。
片脚を振り上げ、神槍を薙ぎはらう様に振るう。
腕を引き抜いて片脚を防ぎ、神槍を刀で受け止める。
が、受け止めきれずに吹き飛ばされる。
靴底を削りながら減速し、飛び出す。
股の間をくぐり抜け、背後から斬撃を放つ。
甲高い音と腕に僅かな痺れ。
一瞬動きが止まり、振り上げられた足に体を強かに打たれ、天井まで吹き飛んで停滞の後、落下する。
気管を塞ぐ血を口から吐き棄て、破損箇所を治療しながら天井を駆け上る。
光線が後を追って放たれ、熱が背中に触れるのを感じながら縦横無尽に走り回る。
攻撃のタイミングを計っていたその時、光線が一本、別の場所に放たれた。
そちらを見ると早希の方。
歯噛みしながら攻撃を喰らうことを厭わず駆け抜ける。
障壁を張ったマントを盾にしつつ飛び込むが
「ユウッ!」
「っつぁ…! 」
腹部を光線が貫通し、相当なダメージを受ける。
だがそのお陰で早希にはダメージが通らなかった。
出血はない。攻撃が光線であったことが幸いするとはなんとも皮肉だ。
流石に貫通するほどのものを治せる程の腕ではない。
出血がないだけマシというべきか。
気休め程度ではあるが治療をしながら衣服に掠めるギリギリの距離で避けていく。
奇妙な音を響かせながら光線を避ける。
魔力を回復力に変換しつつ、回復魔法を掛けて復帰を急ぐ。
ある程度治り、戦線に復帰しようとした時、独特の駆動音が鳴り響いた。
音に視線を向けると神槍が一段変化し、こちらに銃口の様なものが向いている。
一部元の戦車化…!
ならここで飛び出すのは砲弾!
「早希っ!」
魔力を衝撃波に変換して早希をその場から吹き飛ばす。
障壁を幾十枚も張り、受け止める覚悟で行く。
絶大な威力を誇る砲弾は障壁を幾枚も撃ち破り、最後の三枚の所まで破り、失速して地へ落ちる。
直前に砲弾を包み込む様に障壁を展開し、爆炎を封印する。
凄まじい熱量に歯を食いしばり、破られそうになる障壁を必死で維持する。
その間にも続くマイクの光線による攻撃にも気を払う。
そして燃える炎が小さくなった時、マイクの方の障壁を解き、一直線の障壁の道を作る。
するとーーー
----
バックドラフトという現象がある。
酸素が欠乏した炎に大量の酸素を与えることで、酸素の方向へ向かって爆発的に炎が燃え上がるというものだ。
それを魔神討伐用の砲弾の爆炎で実演するとどうなるか。
それはーーー
----
酸素を与えられた蒼色の爆炎が一直線にマイクへ伸び、装甲を融解させる。
漆黒の装甲が融け落ち、固まる。
装甲が剥がれたマイクに刀を構える。
極光を刀に宿らせ、両手で大上段に構える。
研ぎ澄まされた剣気が周囲の景色を揺らがせ、洗練された新緑の魔力と光魔法の白銀が混ざり合った魔力が部屋全体を埋め尽くし
裂帛の気合いと共に斬撃が飛び、マイクの残りの体を両断する。
そして、その奥の部屋の機械を切り裂き、消滅させた。
あぁ、疲れたね。
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