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四階層ボス攻略戦

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その場から姿を消し、狼の真横に出現。
噛みつきを避け、握り固めた拳を横腹に叩き込む。
いくらか衝撃を逃した狼だが、魔衝波や、剛腕など様々な強化を掛けられた拳の威力は逃せなかったようだ。
少なからず吐血し、手下の狼を呼んで壁にする。
回復するつもりだろう。
だがそうはさせない。
纏雷を発動し、紫の魔弾となって壁を破砕する。
断末魔の悲鳴すら上げれない手下の狼を不憫に思いながら脚を振り上げる。
顎に直撃した脚が脳震盪を起こさせ、狼が震える。
早希の援護射撃が入り、悲鳴が上がった。
鯨のほうがまだまだ強いね。
脳震盪から復活した狼の噛みつきを躱し、爪での攻撃を受け流す。
背後の木を楽々切り倒す威力に背筋に氷塊が滑るような感覚を味わいながら前へ踏み込む。
狼の腹の下へ滑り込み、両手で地面を叩き割りながら蹴り上げる。
狼を浮かせたその足で狼を受け止め、吹き飛ばす。
刀を創り出し、斬撃を飛ばす。
大気を破る斬撃が狼の腹を袈裟に切る。
鮮血が溢れ出し、砂を固まらせる。
その砂を踏んで飛ぶ。
空中で身動きが取れない狼を踏み台にしてさらに飛ぶ。
砂煙を上げて落下した狼に追撃をかけるべく天駆を使って急降下。
狼は本能で察したのかその場を飛び退いて追撃を回避する。
固まる僕に突っ込み爪牙を振るう。
一つ一つが四階層の硬質な木を切り倒す威力を秘めたもの。
当たればただでは済まない。
障壁を展開して右の爪を防ぎ、逆の爪はさらに踏み込んで躱し、牙は下からの殴り上げで顎を強制的に閉じさせて防ぐ。
その場で回転し、右脚で回し蹴りを放つが、狼はこれを避ける。
お腹斬られてるのに動き良くなってないか?
しゃがんで噛みつきを回避し、頭突きで傷に追い打ち。
苦悶の声が聞こえ、頭に血が降りかかる。
吐血するような音が聞こえ、狼が倒れ伏す。
苦し紛れに手下を呼ぶが、それは纏雷で処理。
刀を創り出して大上段に構え、狼の首へ振り落とす。
もはや動く力も残っていなかったのか刀は狼の首をあっさりと切断した。
なんともあっけない終わり方に、道中の苦労を思い出して溜息を吐く。
疲れた。
さて、さっさともう一個のダンジョンに行こうか。
早希を連れて樹海磁軸まで歩き、やはり増えているワープ先を選択。
もはや慣れた感覚が体を襲い、次の瞬間には硬質な地面に足が着いていた。
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