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とにかく寒い三階層:一日目-戦闘編-
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今、僕達は次から次へと湧き出る魔物達に追いかけられている。
って言うのもポカやって転移罠に引っ掛かっちゃってモンスターハウスに転移しちゃったからなんだよね。
ちょっとのんびりし過ぎたかもしれない。
全部斬っちゃおうか。
自分への戒めとミスへの決別のために。
刀を創り出して手の中で一回転。
右手で柄を持ち、左手の親指、人差し指、中指で刃を軽く押さえる。
得意とする焔と光の複合魔法に更に斬撃を複合させ、飛ぶ斬撃を実現させる。
別に腕力だけで飛ばせないでもないけどそっちの方がカッコいいじゃないか。
魔力を最大限込め、暴れ出す刀を左手で抑える。
刀が音を立てて軋み、敵を喰らうのを今か今かと殺意を尖らせる。
最前列の魔物を近くまで引き寄せた時、透き通ったような深緑の魔力と全てを焼き尽くす白が世界を埋め尽くす。
それは魔物の群れを横に一刀両断する。
これは僕が戦争なんかで披露する万人を斬り倒す絶技。
味方に士気を与え敵を恐怖に叩き落とす技。
特に名前はないけれど後に聞いた名前では【万人一刀】なんて呼ばれてたようだ。
意外と正鵠を射ている名前であるし、語呂もまぁ悪くない。
なので今度からは無名の技ではなく【万人一刀】で通そうと思う。
魔物の群れはこれで全てを殲滅し終え、これで戦いは一旦終わり。……となるはずだった。
大気を揺るがす大音量の咆哮がその場にいた魔物達の死骸を粉砕するまでは。
血肉のシャワーが止み、 その奥の魔物が露わになる。
腕が4本、頭の横に2対4つの目、頭の天辺から顎まで縦に口が裂け、牙が横に並んでいる。
体はよくわからない粘液でぬらぬらと光り、漆黒の皮膚には一文字に傷が付いている。
どうやら殺しきれなかったようだ。
というか、こんなやつ初めて見たな。
なんだろうか。
いや、なんにしろ邪魔するなら叩き潰すだけだ。
先ほどの刀を手の中でくるりと一回転。
飛び出して斜めから袈裟に斬る。
化物はこれをその腕についた凶悪な爪で受け止める。
鍔迫り合いに持ち込み、相手が刀に意識を集中したところで刀を霧散させながら体を低くして懐へと潜る。
それはもう一本の腕と爪に迎撃され、すんでのところで引き返す。
魔力を駆使して縮小版巨人の腕を創り出す。
これで手数の多さは同等。
それに爪を付け、一気に接近する。
巨人の腕は性能こそ良いけれども自在に動かすのは少々厳しい。
瞬光を使えばわけないけどね。
化物と爪を打ち合わせる。
上段二本の腕は本体の腕が押さえ込み、下段二本で超至近距離の戦闘を行う。
爪と爪がぶつかり合う気持ち高めの音が断続的に響き、雪が踏み荒らされる音がする。
一歩、深く踏み込み、漆黒の肌に蹴りを入れる。
意外に硬質な感触が伝わってきた。
そのまま吹き飛んだ化物を追いかけ、四つの腕で殴打する。
爪で外皮を剥ぎ取り、鮮やかなピンク色の筋肉を引き千切る。
苦悶の悲鳴を挙げるが構わず殴る。
そうして終わりに近づいたとき、化物の口から「何か」が発射された。
地面を踏みしめて一気に離脱。
なんだかわからない液体が飛び退る僕を一瞬追尾するけど、速度で置き去りにする。
刹那、何かが焼けるような音が聞こえ、化物に目をやると筋肉と皮が再生していた。
面倒な。
再生するなら再生の暇もないほどに高速で斬り裂いてあげよう。
双剣を創り出す。
2対。
巨人の腕にももたせる。
こっちには攻撃させない。
飛んでくる攻撃の対応だけだ。
流石に四対ニじゃあ部が悪い……ってことはないけれども楽したい。
刃を地面に擦り付けながら低い姿勢で迫る。
攻撃を避けつつ、到達した瞬間右の剣を振り上げ、次いで右脚を振り上げる。
右の刃を地面に突き立てて体を固定しつつ残った左手での刃を斬り上げる。
変則的な側転だ。
地面を凹ませながら飛び、縦横無尽に刀を振るう。
大気を容易に切り裂きながら漆黒の肌に傷を刻み込む。
足を撓め、瞬発力を存分に乗せた膝を叩き込む。
苦悶の悲鳴があがり、化物が打ち上げられる。
クナイで天井に縫い留め、最後に刀を投擲する。
進路上にある全てを切り裂きながら、化物へと到達した刀は狙い違わず化物の心臓を貫きその命を奪った。
このあとも色々と戦闘はあったけれど特筆すべきことはなかったから割愛しておこう。
で、今は夜。
戦闘を繰り返している内に夜になっちゃったわけだ。
今回は二人だから結界を張ったほうが良いかな。
寒いしね。
それで無くとも殺風景な白い世界を延々と一人で見張るっていうのも気が滅入るだろうしね。
って言うのもポカやって転移罠に引っ掛かっちゃってモンスターハウスに転移しちゃったからなんだよね。
ちょっとのんびりし過ぎたかもしれない。
全部斬っちゃおうか。
自分への戒めとミスへの決別のために。
刀を創り出して手の中で一回転。
右手で柄を持ち、左手の親指、人差し指、中指で刃を軽く押さえる。
得意とする焔と光の複合魔法に更に斬撃を複合させ、飛ぶ斬撃を実現させる。
別に腕力だけで飛ばせないでもないけどそっちの方がカッコいいじゃないか。
魔力を最大限込め、暴れ出す刀を左手で抑える。
刀が音を立てて軋み、敵を喰らうのを今か今かと殺意を尖らせる。
最前列の魔物を近くまで引き寄せた時、透き通ったような深緑の魔力と全てを焼き尽くす白が世界を埋め尽くす。
それは魔物の群れを横に一刀両断する。
これは僕が戦争なんかで披露する万人を斬り倒す絶技。
味方に士気を与え敵を恐怖に叩き落とす技。
特に名前はないけれど後に聞いた名前では【万人一刀】なんて呼ばれてたようだ。
意外と正鵠を射ている名前であるし、語呂もまぁ悪くない。
なので今度からは無名の技ではなく【万人一刀】で通そうと思う。
魔物の群れはこれで全てを殲滅し終え、これで戦いは一旦終わり。……となるはずだった。
大気を揺るがす大音量の咆哮がその場にいた魔物達の死骸を粉砕するまでは。
血肉のシャワーが止み、 その奥の魔物が露わになる。
腕が4本、頭の横に2対4つの目、頭の天辺から顎まで縦に口が裂け、牙が横に並んでいる。
体はよくわからない粘液でぬらぬらと光り、漆黒の皮膚には一文字に傷が付いている。
どうやら殺しきれなかったようだ。
というか、こんなやつ初めて見たな。
なんだろうか。
いや、なんにしろ邪魔するなら叩き潰すだけだ。
先ほどの刀を手の中でくるりと一回転。
飛び出して斜めから袈裟に斬る。
化物はこれをその腕についた凶悪な爪で受け止める。
鍔迫り合いに持ち込み、相手が刀に意識を集中したところで刀を霧散させながら体を低くして懐へと潜る。
それはもう一本の腕と爪に迎撃され、すんでのところで引き返す。
魔力を駆使して縮小版巨人の腕を創り出す。
これで手数の多さは同等。
それに爪を付け、一気に接近する。
巨人の腕は性能こそ良いけれども自在に動かすのは少々厳しい。
瞬光を使えばわけないけどね。
化物と爪を打ち合わせる。
上段二本の腕は本体の腕が押さえ込み、下段二本で超至近距離の戦闘を行う。
爪と爪がぶつかり合う気持ち高めの音が断続的に響き、雪が踏み荒らされる音がする。
一歩、深く踏み込み、漆黒の肌に蹴りを入れる。
意外に硬質な感触が伝わってきた。
そのまま吹き飛んだ化物を追いかけ、四つの腕で殴打する。
爪で外皮を剥ぎ取り、鮮やかなピンク色の筋肉を引き千切る。
苦悶の悲鳴を挙げるが構わず殴る。
そうして終わりに近づいたとき、化物の口から「何か」が発射された。
地面を踏みしめて一気に離脱。
なんだかわからない液体が飛び退る僕を一瞬追尾するけど、速度で置き去りにする。
刹那、何かが焼けるような音が聞こえ、化物に目をやると筋肉と皮が再生していた。
面倒な。
再生するなら再生の暇もないほどに高速で斬り裂いてあげよう。
双剣を創り出す。
2対。
巨人の腕にももたせる。
こっちには攻撃させない。
飛んでくる攻撃の対応だけだ。
流石に四対ニじゃあ部が悪い……ってことはないけれども楽したい。
刃を地面に擦り付けながら低い姿勢で迫る。
攻撃を避けつつ、到達した瞬間右の剣を振り上げ、次いで右脚を振り上げる。
右の刃を地面に突き立てて体を固定しつつ残った左手での刃を斬り上げる。
変則的な側転だ。
地面を凹ませながら飛び、縦横無尽に刀を振るう。
大気を容易に切り裂きながら漆黒の肌に傷を刻み込む。
足を撓め、瞬発力を存分に乗せた膝を叩き込む。
苦悶の悲鳴があがり、化物が打ち上げられる。
クナイで天井に縫い留め、最後に刀を投擲する。
進路上にある全てを切り裂きながら、化物へと到達した刀は狙い違わず化物の心臓を貫きその命を奪った。
このあとも色々と戦闘はあったけれど特筆すべきことはなかったから割愛しておこう。
で、今は夜。
戦闘を繰り返している内に夜になっちゃったわけだ。
今回は二人だから結界を張ったほうが良いかな。
寒いしね。
それで無くとも殺風景な白い世界を延々と一人で見張るっていうのも気が滅入るだろうしね。
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