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闘技大会:悠一郎

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僕は闘技場の舞台に立っている。
対戦相手は短剣を装備した魔法使いのような身なりをした男。
準々決勝まで上がってきているし、相当な実力者なのだろう。
考えられることは魔法の展開速度が桁違いか、魔力が桁違いか。
短剣が何か特別な能力を持っているのか、短剣主体の戦闘なのか。
はたまた短剣は見せかけで、超接近戦闘に持っていけば拳闘士に化けるのか。
あるいはその全てか。
まぁ、何が来ても関係ない。無傷の完勝を目指して頑張っちゃおうかな。
対戦始めの合図が鳴る。
直後、炎の竜巻が吹き荒れた。
炎だけかと思いきや、風の刃も混じっている。
その巨大な魔法は殲滅魔法レベル。
きっとこれで苦もなく勝ってきたんだろう。
でも僕には通用しないから覚悟してね?
僕も魔法を生み出す。
生み出すのは光の嵐。
炎の竜巻を軽く凌駕する光の嵐は闘技場の床を削り、しかし、闘技場に張ってある観客席と舞台の間の障壁は破壊しない。
自分の最大の魔法を破られたのか、男は呆然としている。
それは致命の隙。
短剣を創り出し、斬りかかる。
その短剣はギリギリ反応を示した男の短剣とぶつかり、甲高い音を響かせる。
男の周囲に幾つも火球が浮かび、全てが僕に殺到する。
その全てを魔力攻撃で相殺し、一瞬の距離を詰めようとして
「ッ!」
全力で障壁を展開した。
障壁に光系魔法最上級の極光が叩きつけられる。
絶大な威力と滅びの光に障壁が端から削り取られていく。
その度に修復仕直し、擦りすらしないように注意する。
極光…見た目はレーザーだが、効果はレーザーのそれよりも強大だ。
触れたものを尽く滅ぼし、塵に還す能力を持つ。
だが、強力故に膨大な魔力が必要でしかも制御が容易ではなく暴発してしまうことが多々ある。
それをほぼノータイムで発動…なかなかやるじゃないか。
でも、もう魔力はないでしょ。
ここからは刀神の面目躍如だ。
右手に刀を作り出す。
地面を踏み割りながら残像を引き連れて移動する。
大上段から刀を振り下ろす。
が、それは短剣で受け止められてしまう。
それどころか短剣から衝撃波が発生し、強制的に距離を取らされてしまう。
やっぱりなんかあるな。
まぁ、衝撃変換でもあるんなら当てなければいい。
足元に滑り込み、膝を蹴りつける。
両手で地面を叩き割って下から顎を蹴り上げる。
顎を跳ね上げられた男は綺麗に後方四回転し地面にドシャリと落ちる。
その首に剣を突きつけ、チェックメイト。
試合終了だ。
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