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やっぱり体は休めないとね
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空がうっすらと紫に染まり始めた頃。
ようやくギルドに帰ってきた。
「いやー、すまないね。遅くなっちゃった。」
クリアカードを出しながら言葉を発する
「お帰りなさい。こちらが報酬になります。」
「ありがとう。今度もまた紹介頼むよ。」
「ええ。また来てくださいね。」
報酬を受け取ってギルドを出る。
執政院からの名指しの依頼なので報酬はかなり多い。
これだけあったら宿屋に2、30回泊まり込んでも大丈夫そうだね。
やること無いけど。
あ、そうだ。
「早希。ダンジョンって知ってるかい?」
「うん。ちょっとだけ行ったことある。」
これだったら別に今のところは無理しなくてもいいかな。
いや、でもなぁ…近いうちに行っとこうか。
「近いうちに行こうと思うんだけどどう?大丈夫そう?」
「…うん。銃もちょっとだけ使えるから。」
「そっか。じゃあ今度一緒に行こうか。」
早希は返事はしなかったけどちょっとだけ嬉しそうな表情を見せた。
ほんのちょっと微笑んだだけ。
それでも初めて見せた表情だった。
初めて見た表情が笑顔だなんて、嬉しいなぁ。
と、頬が緩んでしまう。
気付かれる前に普通の顔に戻したけれど。
あぁ、もうそろそろ宿屋が見えてきたね。
「さて、早希。宿屋で部屋はどうする?二つで別れる?一つで一緒に寝る?」
あ、今のはちょっとダメだったかもしれない…仮に一緒になっても僕は立って寝てよう。
だって知らない男が同じベッドで寝てたら眠れないよね。
「……一緒がいい。」
「そっか。じゃあそうしよっか。」
宿屋の扉を開けて中に入る。
「女将さん。一人部屋の中で比較的大きい部屋って空いてる?」
「ええ。一番大きい部屋が一つ空いてますよ。」
「じゃあ、そこに泊まらせてもらって問題無いね?」
「もちろんです。」
財布からお金を出して女将さんに渡す。一番大きい部屋ってだけあってかなり高い。
けど僕の懐もそこそこ温かいからある程度は大丈夫。
「いつもお世話になってばっかりで、ごめんね。」
「いえいえ。ご利用していただけるだけで結構ですよ。」
「そうかい?ならこれからもありがたく利用させてもらうよ。」
少しだけの会話を交わして階段を上がっていく。
鍵に書かれた番号は307と書いてある。
だから三階だね。
この宿屋、めちゃくちゃ広くて、部屋を探すだけでも一苦労だ。
何たって全部で500部屋もあるんだから。
いやー、本当に広いよね。どうやって作ったんだろう。
気にならないかい?気にしたところで分からないけど。
「お、ここだね。」
鍵を開けて中に入る。
「うわー、凄い広いね。もうちょっと小さい部屋にしとけば良かったかも…」
うーん…もったい無い感が凄い。
いや、ここは美少女のためにちょっと奮発したって考えればいいんだ。
ほら。もったいないおばけがどっかに飛んでった。
さて、この部屋の大半をベッドが占めているわけなんだけど。
これなら十分二人で寝れそうかな。
体が密着することもなさそうだ。
あ!これお風呂じゃない?
珍しいね。へ~、大きい部屋にはお風呂が付いてるのか。
いやまぁ、洗面器だけあればお風呂の役割は果たせるんだけどね?
水魔法で水を作り出して浴槽の半分よりちょっと多いくらいに水を入れる。
それを炎魔法であっためる。
はい完成。
「早希。お風呂入っといたほうが良いんじゃない?」
「ん…分かった。」
僕はその間何をしてようかな。普通の冒険者なら武器の手入れをしたりするんだろうけど…僕は武器持ってないし。
あぁ、そうだ。僕って確か風魔法のスキルレベルが低かったと思うんだよね。
その他の魔法は10でカンストしてたはずだけど。
今の間にちょっとでもあげれるようにしておこうか。
宿屋を破壊するわけにはいかないから風弾とかカマイタチとかそんなのしか出来ないけど。
対象を自分に設定して右手で風弾を、左手でカマイタチを放ちまくる。
でもダメージは通らない。
魔力がかなりの勢いで減っていくけどまだまだ余裕だ。
「…ユウ?何してるの?」
「ん?早希。これはね…って!?ちょちょちょちょ、早希!?服着てよ!」
早希はバスタオル一枚の状態だった。
精神衛生上あまりよろしくない姿だ。
「ちょ、ちょっと待っててね!」
扉を開けて、部屋を出る。もちろん閉める。
速度全開で階段を駆け下りる。
秒速で女将さんのところへ到着。
「女将さん。女の子用の替えの服と下着貸してもらえないかな?連れの女の子が替えの服持ってなくてね。」
その一言で宿屋で酒盛りをしていた男達が全員こちらを見た。ちょっとだけ威圧を乗せて見返す。
「ええ。どうぞ。」
女将さんが棚から取り出してくれた女の子用の服を持って階段を駆け上がる。
部屋の扉を開けて戻ってくる。
「ふぅ…早希。とりあえずこれ着といて。」
何とか大丈夫かな。うん。
「さて、じゃあ僕もお風呂入ってくるよ。何か困ったことがあったら言ってね。」
「ん…分かった。」
さて。久し振りのちゃんとしたお風呂だね。ゆっくり楽しませてもらおう。
ようやくギルドに帰ってきた。
「いやー、すまないね。遅くなっちゃった。」
クリアカードを出しながら言葉を発する
「お帰りなさい。こちらが報酬になります。」
「ありがとう。今度もまた紹介頼むよ。」
「ええ。また来てくださいね。」
報酬を受け取ってギルドを出る。
執政院からの名指しの依頼なので報酬はかなり多い。
これだけあったら宿屋に2、30回泊まり込んでも大丈夫そうだね。
やること無いけど。
あ、そうだ。
「早希。ダンジョンって知ってるかい?」
「うん。ちょっとだけ行ったことある。」
これだったら別に今のところは無理しなくてもいいかな。
いや、でもなぁ…近いうちに行っとこうか。
「近いうちに行こうと思うんだけどどう?大丈夫そう?」
「…うん。銃もちょっとだけ使えるから。」
「そっか。じゃあ今度一緒に行こうか。」
早希は返事はしなかったけどちょっとだけ嬉しそうな表情を見せた。
ほんのちょっと微笑んだだけ。
それでも初めて見せた表情だった。
初めて見た表情が笑顔だなんて、嬉しいなぁ。
と、頬が緩んでしまう。
気付かれる前に普通の顔に戻したけれど。
あぁ、もうそろそろ宿屋が見えてきたね。
「さて、早希。宿屋で部屋はどうする?二つで別れる?一つで一緒に寝る?」
あ、今のはちょっとダメだったかもしれない…仮に一緒になっても僕は立って寝てよう。
だって知らない男が同じベッドで寝てたら眠れないよね。
「……一緒がいい。」
「そっか。じゃあそうしよっか。」
宿屋の扉を開けて中に入る。
「女将さん。一人部屋の中で比較的大きい部屋って空いてる?」
「ええ。一番大きい部屋が一つ空いてますよ。」
「じゃあ、そこに泊まらせてもらって問題無いね?」
「もちろんです。」
財布からお金を出して女将さんに渡す。一番大きい部屋ってだけあってかなり高い。
けど僕の懐もそこそこ温かいからある程度は大丈夫。
「いつもお世話になってばっかりで、ごめんね。」
「いえいえ。ご利用していただけるだけで結構ですよ。」
「そうかい?ならこれからもありがたく利用させてもらうよ。」
少しだけの会話を交わして階段を上がっていく。
鍵に書かれた番号は307と書いてある。
だから三階だね。
この宿屋、めちゃくちゃ広くて、部屋を探すだけでも一苦労だ。
何たって全部で500部屋もあるんだから。
いやー、本当に広いよね。どうやって作ったんだろう。
気にならないかい?気にしたところで分からないけど。
「お、ここだね。」
鍵を開けて中に入る。
「うわー、凄い広いね。もうちょっと小さい部屋にしとけば良かったかも…」
うーん…もったい無い感が凄い。
いや、ここは美少女のためにちょっと奮発したって考えればいいんだ。
ほら。もったいないおばけがどっかに飛んでった。
さて、この部屋の大半をベッドが占めているわけなんだけど。
これなら十分二人で寝れそうかな。
体が密着することもなさそうだ。
あ!これお風呂じゃない?
珍しいね。へ~、大きい部屋にはお風呂が付いてるのか。
いやまぁ、洗面器だけあればお風呂の役割は果たせるんだけどね?
水魔法で水を作り出して浴槽の半分よりちょっと多いくらいに水を入れる。
それを炎魔法であっためる。
はい完成。
「早希。お風呂入っといたほうが良いんじゃない?」
「ん…分かった。」
僕はその間何をしてようかな。普通の冒険者なら武器の手入れをしたりするんだろうけど…僕は武器持ってないし。
あぁ、そうだ。僕って確か風魔法のスキルレベルが低かったと思うんだよね。
その他の魔法は10でカンストしてたはずだけど。
今の間にちょっとでもあげれるようにしておこうか。
宿屋を破壊するわけにはいかないから風弾とかカマイタチとかそんなのしか出来ないけど。
対象を自分に設定して右手で風弾を、左手でカマイタチを放ちまくる。
でもダメージは通らない。
魔力がかなりの勢いで減っていくけどまだまだ余裕だ。
「…ユウ?何してるの?」
「ん?早希。これはね…って!?ちょちょちょちょ、早希!?服着てよ!」
早希はバスタオル一枚の状態だった。
精神衛生上あまりよろしくない姿だ。
「ちょ、ちょっと待っててね!」
扉を開けて、部屋を出る。もちろん閉める。
速度全開で階段を駆け下りる。
秒速で女将さんのところへ到着。
「女将さん。女の子用の替えの服と下着貸してもらえないかな?連れの女の子が替えの服持ってなくてね。」
その一言で宿屋で酒盛りをしていた男達が全員こちらを見た。ちょっとだけ威圧を乗せて見返す。
「ええ。どうぞ。」
女将さんが棚から取り出してくれた女の子用の服を持って階段を駆け上がる。
部屋の扉を開けて戻ってくる。
「ふぅ…早希。とりあえずこれ着といて。」
何とか大丈夫かな。うん。
「さて、じゃあ僕もお風呂入ってくるよ。何か困ったことがあったら言ってね。」
「ん…分かった。」
さて。久し振りのちゃんとしたお風呂だね。ゆっくり楽しませてもらおう。
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