【完結】毒花【SS】

綴子

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本編

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 細く開いた襖を覗くと、乱れた布団に投げ出された頼りない肢体を煌々と輝く月明かりが照らしていた。

 なまっ白い肌とかすかに見える栗色の頭髪。その色を持っているのは久瀬の家ではただ1人、父の腹違いの弟である久瀬千草しかいない。



 千草は久瀬の兄弟の中で1人だけ歳が離れている。彼の母が久瀬家の後妻であるからだ。
 つまり、久瀬の現当主の妻と父たちや私は血の繋がりがない。

 そのせいで、私は父方の祖母とはあまり話したことはない。
 ただ、外国の血が入っているらしく色素の薄い彼女は西洋人形のように美しいと思ったことはよく覚えている。

 千草も、彼の母の血を濃く継いだのか、人形ように美しく整った顔立ちをしていた。

 また、年齢が父たちのの代より私に近かったこともあり久瀬の本家へ遊びに行った時はよく遊んでもらっていた。
 そんなこともあり私は、彼のこと慕いを「叔父さん」ではなく、「千草くん」と呼んでいた。
 よく世話を焼いてくれる彼が、私はとても大好きであった。



 千草の寝巻きは肌蹴ていて、普段晒される事ない肌には、目を覆いたくなるほど痛々しい火傷の紅い斑点がまるで毒花のように至る所に咲いている。

 どんなに暑くても、彼が肌を晒さないのはあの傷のせいだったと知った私は、思わず身を震わせた。

(誰があんな酷いことを──)

 まるで糸の切れた人形のようにピクリとも動かない千草が死んでしまっているのではないか、と想像した私は襖の引き手に恐る恐る指をかけた。

 しかし次の瞬間、室内に他の気配を感じたので、私は息を殺して音をたてぬよう半歩さがった。

 もう一度、僅かに開いた襖に近づき、ぎょろぎょろと眼球を精一杯動かして室内を見回すと、布団の足元の方にも人がいることに気がついた。

 その人物は、久瀬勝治。
 父の兄──、久瀬本家の次男であった。
 彼は四兄弟の中で群を抜いて恰幅のいい人物である。

 私は、あの伯父のことがあまり好きではなかった。
 というのも、普段から表情がとにかく硬く、おまけに用事があって話しかけても「ああ」「いや」「そうか」と無愛想な返答しか返ってこないのだ。
 私にはそれが酷く恐ろしく感じられたのだ。

 事後の一服だろうか。
 上半身を晒したまま煙管を吸っていた伯父の口から吐き出された煙は、ゆらゆらと揺れながら、窓から外に流れ出ていった。

 最後のひと口を吸った伯父は、灰落としに燃え殻を捨て、高温になっている雁首を千草のふくらはぎに押し付ける。

 千草は掠れたほとんど聞こえないような弱々しい声で悲鳴を上げ、体をびくりと跳ねさせた。

「いつまで寝ている。起きろ」

「ごめん、なさい……」

 伯父の言葉で体を起こした千草は、よたよたと這って頭を伯父の方へ向けた。
 伯父は下着から逸物を取り出し、千草の口に近づける。

 千草はよく躾られているようで、唇にモノが触れる前に口を開き受け入れた。
 伯父の体格に見合った立派な陰茎は、千草の口の中に全てが収まるはずもなく、竿の半分以上は外気に晒されていた。

 伯父は千草の頭を両手で掴み、腰を押し進めた。

「根本まで咥えろと教えたはずだが?」

 喉奥を突かれ千草の口からは「ゔっ……ごぐ……」と苦しそうな音が鳴る。

 それでも容赦なく伯父は腰を前後に揺らし、千草の口内を犯し続ける。
 千草の顔が赤くなり喉やこめかみに血管が浮き始めると、伯父は頭から手を離して千草を布団に放った。

 倒れ込んだ千草は激しく咳き込み粘度の高い涎を垂らし苦しそうにしており、その様子を伯父は満足気に見下ろしていた。

 未だ咳の収まらぬ千草を這いつくばらせた伯父は、千草の蕾に主張を続ける陰茎を宛てがい、最奥まで一気に貫いた。

「あっ……んくっ……」

 千草の喉が鳴る。
 与えられる苦痛と快感から逃れようと千草は体を前進させるが、大柄な伯父に覆い被さられてしまえば逃げ場は無くなってしまう。

 伯父が腰を打ち付ける度にぐちぐちとくぐもった水音と千草の嬌声が聞こえてきた。

 下腹部がちりちりと熱くなる。
 まだ小学生だった私は精通こそ迎えてはいなかったが、その感覚が性的興奮だと言うことにすぐ気がついた。

 こうなった時の対処の仕方は、既に精通を迎えた友人から聞いたことがあったので、教えて貰った通りパンツの中に手を突っ込んだ。
 存在を主張するかのように立ち上がった小さな塔を軽く右手で包み上下に動かす。

 何往復かすると、パンツの中でもぬちぬちと小さな水音がし始め時々快感が背筋を掠めていった。
 コツを掴んで、気持ちのよい角度で手を動かすと大きな快感の波に襲われ、手の中に吐精してしまった。


 その後、逃げるようにその場から立ち去った私は洗面所で汚れた手を洗い、ふわふわした頭のまま布団に潜り込み眠りについた。

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