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それは甘い毒
Chapter4-8 ※
しおりを挟む俊哉が早苗のバスローブの腰紐を解くと白い肌が顕になった。まるで壊れ物に触れるかのような優しい手つきで、俊哉は早苗の胸部から下腹部にかけて手のひらを這わせた。早苗の無防備な体は、そんな僅かな刺激にも反応してしまう。
「あ……っん……」
普段の発情期とは違い平常時ほどではないものの、意識がはっきりとしているせいで羞恥心が残っていた。自らの口から漏れる嬌声を隠すように早苗は腕で口元を隠した。しかし、目の前のアルファがそれを許さない。俊哉は早苗の両腕を左手でベッドに縫い付けた。
「隠さないで。聞かせてよ、早苗くんの気持ちいい声……」
「はず、かしい……」
「これから番になるのに、早苗くんの全部見せてくれないの?」
「だって……けい、やく……あっ……」
そう早苗が言いかけると、俊哉が早苗の胸の突起を摘んだ。ビリビリと痛みを孕んだ快感が早苗を襲い、言葉は口の中で霧散して行く。
「そうだね。だけど、おれは番になった早苗くんを丸ごと大切にするつもりだよ。君はおれだけの宝物になるんだから……」
「え……?」
早苗は番になったあとは、俊哉との付き合いは最低限になるのだと勝手に思い込んでいたし、それ以上を望むつもりもなかった。俊哉と番うのは、京介と伊織に対する当てつけなのだから、番が成立したあと彼に望むのは最低限のケアだけのつもりだった。
「契約だから、番ったらおしまいだと思ってた? おれ、そこまで無責任なアルファじゃないよ……」
「オレ、そこまでしてもらわなくていいです……」
早苗の言葉に俊哉の眉尻が下がる。すごく悲しそうなその表情は、親に見捨てられた子供を連想させて、まるで彼のことをいじめたような感覚に陥る。
(なんで、そんな縋るような顔をしてるんですか……)
「大切にしたらダメ……?」
自分の胸に甘えるように擦り寄ってくる、俊哉に早苗は今ままでなりを潜めていた母性本能を擽られた。
「別に……だめ、じゃないです……」
「よかった」
起き上がった俊哉の顔には、さっきまでの不安そうな色が一切ない。早苗は、彼に揶揄われたのだと気がついた。
「ぜ、前言撤回します。番っても、お付き合いは最低限でお願いします!」
「そう言わないでよ。たくさん可愛がってあげるから……」
拗ねる早苗を宥めるように俊哉が耳元でそう囁きながら、アルファのフェロモンをかすかに放出させる。その匂いに発情していた早苗の体が反応しないはずはない。腹の奥がキュンとする。早苗の体はとうに俊哉を受け入れる準備はできているのだ。
後孔からあふれた蜜が尻の谷間を伝う感覚に早苗が身をよじると、俊哉は横から腕を入れて早苗を裏返す。いつの間にかうつ伏せになっていることい驚いていると、つぷりと俊哉の指が1本挿し込まれる。ゆっくりと根元まで侵入させたかと思うと、ギリギリまでゆっくり引き抜き再び挿し込まれる。
「――んあっ」
「少し柔らかいね。家で準備してきてくれたんだ」
「……だって、すぐにすると思ったから」
「もしかして、早苗くんの中でおれって結構酷い人間だったりする?」
「あ……ふっ……ん。契約だし……そこまでしてくれると、思わなくて……」
「心外だな。セックスするなら、相手を思いやるのはマナーだよ? もしかして、京介はこんなことしてくれない?」
俊哉の指が早苗のいいところを擦る。しかし、その一瞬ではイきそびれて腰が揺れる。
「ひっ……ぁかんない……」
「ふーん……」
ゆっくりと、ナカを弄ったかと思うと、さらに指が増えた。2本の指に慣れてくると、次は3本。バラバラと動かし、早苗のソコが十分に解れると、俊哉は指を抜いて早苗から離れていく。
何度もイきそうになっていたのに、お預けにされていた早苗が不満をぶつけるべく睨むと、俊哉は余裕のなさそうな表情を浮かべており、彼の男根はバスローブを割るように屹立していて涎を垂らしていた。お預けされていたのは早苗だけではなかったのだ。
「それ……」
「もう、入っていいよね」
早苗の返事も聞かずに、俊哉の熱く昂ったそれが侵入してくる。
「は……ぅん……あっ……」
指とは全く違う熱と快感が早苗を襲う。根元まで挿し込まれたそれは、早苗のナカで更に質量を増した。
「う、あ……これはすごいや……」
のしかかってきた俊哉が耳元で声を漏らす。吐息がくすぐったくて逃れようとすると、俊哉の腕の中に閉じ込められてしまい早苗は身動き一つ取れなくなってしまった。その状態のまま俊哉は腰を揺らす。すると、動きに合わせてぐちゅぐちゅと濡れた音が聞こえてきて、抽挿を重ねるたびにその音は大きくなっていった。俊哉の動きが大きくなると、早苗のナカは彼から精を搾り取ろうと収縮する。
「……イきそっ?」
「あっ……くぅ……っきそう」
「イっていいよ……!」
激しく腰を打ちつけられ、最奥が抉られると早苗のペニスから白濁が溢れる。それと同時に腹の中に俊哉の熱が放たれ、頸の皮膚が噛み破られた。眼前で白が明滅しする。全身を大きな衝撃が襲った。首筋を暖かい液体が伝う。それは早苗の血液と俊哉の唾液が混ざったものだった。
――――――。
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