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2022年 お正月SS
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※お正月に書いたものですが、ほんのり謎時空です。ご注意下さい。
元旦。
百合斗からおせち料理を食べに来ないかと誘われた晴人は手土産に信州産のワインを持ってクレオメを訪れた。
ドア看板には『CLOSE』の文字が刻まれていたが、百合斗から受け取ったメッセージには「お店に集合」と会ったので、晴人は迷わずドアを開ける。
すると、暖かい空気が晴人の冷えきった頬を撫でた。
「いらっしゃい、ハル。あけましておめでとう」
「あけましておめでとうございます、先輩」
店内には2人の人物がいた。1人は、この店のオーナーである安芸百合斗、もう1人は晴人が若干苦手意識をもっている大学時代の後輩の神代柊真である。
まさか新年早々顔を合わせるとは思っていなかった人物が目の前にいることに驚いた晴人は思わず口をあんぐりと開けたまその場で固まってしまった。
「ハル、暖かい空気が逃げちゃうからそんなところに突っ立ってないで早くこっちにおいで」
カウンター内でおせち料理と飲み物を用意していた百合斗がドアも閉めずに入口で立ち止まってしまった晴人に対して早く中に入るよう促した。晴人を驚かせた本人である柊真は「先輩、こちらにどうぞ」と椅子を引いて手招きをしている。
状況を上手く飲み込めないままとりあえず晴人は店の入口を閉め、カウンターの方へ足を進めた。
「あけましておめでとうございます。なんで、神代までいるんだ?」
「ランニングの途中で偶然百合斗さんに会って、お誘い頂いたんですよ」
そう言った神代の服装は確かにらしい服装であった。
「そ、そうか」
「元旦だから初日の出見るついでに走ってたんだって。健康的だよねぇ」
「健康的……」
神代の前には江戸切子のグラスが置かれている。朝からおせちを肴に飲んで健康的か……と思っていると晴人の前にもおせちと江戸切子のグラスが置かれた。
「さて、全員揃ったし仕切り直し仕切り直し」
百合斗もカウンターから出てきて晴人の隣に腰を下ろした。
いつの間にやらカウンターにら料理と酒瓶が並べられていた。
「あ、これ諏訪土産。日本酒にしようかと思ったけど、試飲でこっちの方が好みだったからこっちにした」
細いボトルのデザートワインをカウンターに並んだ酒瓶たちの横に置いた。
「なになに。このお酒は初めて見るな。諏訪って言うと長野県?」
「クリスマスに同窓会も兼ねてスキーに行って来たんだ」
「どおりで。クリスマス来ないなって思ったら」
百合斗は「てっきり恋人でも出来たのかと思った」と揶揄う。そんな百合斗発言に一瞬表情を消した神代が
「誰と行ってきたんですか?」
と聞いてきた。
「河瀬と長嶺、それから今井さん」
隠す必要も無いので晴人が一緒にスキーに行ったメンバーを上げると神代が意外そうな顔をした。
「演劇サークルの同窓会ですか?」
「正しくは裏方組の同窓会だな」
「先輩って学生の頃からサークルの飲み会にはほとんど参加しなかったですよね」
神代が少々不満そうにそう言った。参加人数と比例して騒がしくなる飲み会が苦手で晴人は学生時代サークルで開かれる飲み会にはほとんど参加してこなかった。
「ハルってグループで遊ぶのは苦手そうだよね」
「否定はできないな。スキーも各々好き勝手に滑って夜に宿で一緒になった感じだ」
「なかなか珍しい遊び方しますね」
「でも、ハルが団体行動してるってのも想像できないかも」
「俺だけじゃなくて、裏方組はみんなそんな感じだ。今回も、今井さんがグループ割が使えるからスキー行くぞって感じだったしな」
「クリスマスだからカップル多かったんじゃない?」
「確かにゲレンデにはカップルいたが、近場にイルミネーションがすごいところがあったらしくて想像より人は少なかったな」
「それより、俺的には先輩がウィンタースポーツできる方が意外でした」
「普通にスキーなら年に一度くらい行くぞ。体動かすのはそんなに嫌いじゃないからな」
「ハルって顔に似合わず運動神経がいいタイプだよね」
「ちょっと待て。あんたたち、さっきからちょっとずつ俺のことバカにしてないか?」
晴人が、ふと聞き流していた2人の発言に苦言を呈す。
「別にバカにしてるつもりはないよ」
百合斗は誤魔化すように晴人が持ってきた長野土産のワインに手を伸ばした。神代もカウンターに並べられている酒瓶に視線を移している。
「なんか誤魔化された気分なんだが……」
「気のせい、気のせい。それより、ハルのお土産のこれデザートワインなんだ。美味しそ」
百合斗は「飲む人ー」と言いながらグラスを取りに行った。神代が「はいはーい」と子供のようにはしゃぎながら手を挙げた。
晴人は特に何も言わなかったが、百合斗の手には小ぶりのワイングラスが3脚用意していた。
グラスの半分くらいまでワインが注がれる。
「ではでは、グラスを持って頂きまして」
ほどほどに酔い始めているらしい百合斗が上機嫌にグラスを持って話し始める。
「昨年も当店をご利用いただき、誠にありがとうございました。今年もよろしくお願いします。かんぱーい」
今更の挨拶に晴人も神代も笑いながらグラスを合わせた。
元旦。
百合斗からおせち料理を食べに来ないかと誘われた晴人は手土産に信州産のワインを持ってクレオメを訪れた。
ドア看板には『CLOSE』の文字が刻まれていたが、百合斗から受け取ったメッセージには「お店に集合」と会ったので、晴人は迷わずドアを開ける。
すると、暖かい空気が晴人の冷えきった頬を撫でた。
「いらっしゃい、ハル。あけましておめでとう」
「あけましておめでとうございます、先輩」
店内には2人の人物がいた。1人は、この店のオーナーである安芸百合斗、もう1人は晴人が若干苦手意識をもっている大学時代の後輩の神代柊真である。
まさか新年早々顔を合わせるとは思っていなかった人物が目の前にいることに驚いた晴人は思わず口をあんぐりと開けたまその場で固まってしまった。
「ハル、暖かい空気が逃げちゃうからそんなところに突っ立ってないで早くこっちにおいで」
カウンター内でおせち料理と飲み物を用意していた百合斗がドアも閉めずに入口で立ち止まってしまった晴人に対して早く中に入るよう促した。晴人を驚かせた本人である柊真は「先輩、こちらにどうぞ」と椅子を引いて手招きをしている。
状況を上手く飲み込めないままとりあえず晴人は店の入口を閉め、カウンターの方へ足を進めた。
「あけましておめでとうございます。なんで、神代までいるんだ?」
「ランニングの途中で偶然百合斗さんに会って、お誘い頂いたんですよ」
そう言った神代の服装は確かにらしい服装であった。
「そ、そうか」
「元旦だから初日の出見るついでに走ってたんだって。健康的だよねぇ」
「健康的……」
神代の前には江戸切子のグラスが置かれている。朝からおせちを肴に飲んで健康的か……と思っていると晴人の前にもおせちと江戸切子のグラスが置かれた。
「さて、全員揃ったし仕切り直し仕切り直し」
百合斗もカウンターから出てきて晴人の隣に腰を下ろした。
いつの間にやらカウンターにら料理と酒瓶が並べられていた。
「あ、これ諏訪土産。日本酒にしようかと思ったけど、試飲でこっちの方が好みだったからこっちにした」
細いボトルのデザートワインをカウンターに並んだ酒瓶たちの横に置いた。
「なになに。このお酒は初めて見るな。諏訪って言うと長野県?」
「クリスマスに同窓会も兼ねてスキーに行って来たんだ」
「どおりで。クリスマス来ないなって思ったら」
百合斗は「てっきり恋人でも出来たのかと思った」と揶揄う。そんな百合斗発言に一瞬表情を消した神代が
「誰と行ってきたんですか?」
と聞いてきた。
「河瀬と長嶺、それから今井さん」
隠す必要も無いので晴人が一緒にスキーに行ったメンバーを上げると神代が意外そうな顔をした。
「演劇サークルの同窓会ですか?」
「正しくは裏方組の同窓会だな」
「先輩って学生の頃からサークルの飲み会にはほとんど参加しなかったですよね」
神代が少々不満そうにそう言った。参加人数と比例して騒がしくなる飲み会が苦手で晴人は学生時代サークルで開かれる飲み会にはほとんど参加してこなかった。
「ハルってグループで遊ぶのは苦手そうだよね」
「否定はできないな。スキーも各々好き勝手に滑って夜に宿で一緒になった感じだ」
「なかなか珍しい遊び方しますね」
「でも、ハルが団体行動してるってのも想像できないかも」
「俺だけじゃなくて、裏方組はみんなそんな感じだ。今回も、今井さんがグループ割が使えるからスキー行くぞって感じだったしな」
「クリスマスだからカップル多かったんじゃない?」
「確かにゲレンデにはカップルいたが、近場にイルミネーションがすごいところがあったらしくて想像より人は少なかったな」
「それより、俺的には先輩がウィンタースポーツできる方が意外でした」
「普通にスキーなら年に一度くらい行くぞ。体動かすのはそんなに嫌いじゃないからな」
「ハルって顔に似合わず運動神経がいいタイプだよね」
「ちょっと待て。あんたたち、さっきからちょっとずつ俺のことバカにしてないか?」
晴人が、ふと聞き流していた2人の発言に苦言を呈す。
「別にバカにしてるつもりはないよ」
百合斗は誤魔化すように晴人が持ってきた長野土産のワインに手を伸ばした。神代もカウンターに並べられている酒瓶に視線を移している。
「なんか誤魔化された気分なんだが……」
「気のせい、気のせい。それより、ハルのお土産のこれデザートワインなんだ。美味しそ」
百合斗は「飲む人ー」と言いながらグラスを取りに行った。神代が「はいはーい」と子供のようにはしゃぎながら手を挙げた。
晴人は特に何も言わなかったが、百合斗の手には小ぶりのワイングラスが3脚用意していた。
グラスの半分くらいまでワインが注がれる。
「ではでは、グラスを持って頂きまして」
ほどほどに酔い始めているらしい百合斗が上機嫌にグラスを持って話し始める。
「昨年も当店をご利用いただき、誠にありがとうございました。今年もよろしくお願いします。かんぱーい」
今更の挨拶に晴人も神代も笑いながらグラスを合わせた。
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