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19話

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翌日の朝、馬鹿と第二王子が学園に到着するくらいの時間に、『本日、城に登城し、王への謁見を願う』と貴族の文面で長ったらしく書いた前触れを、王城へと届けさせた。

王城からはお昼頃の時間を指定された。
王子達が王城を出た後の朝一番で前触れが到着するように出したが、前日よりも前に謁見を願い出ている訳では無いので王家として都合の良い時間に指定させるのは分かってはいた。
しかし、昼前という時間には苛ついてしまった。

何故なら、せっかく馬鹿と第二王子が学園に到着してから前触れが届くようにしたのに、この時間指定では2人を余裕で城に呼び戻し、謁見の間に入場する準備をする時間まである。
しかし、一度前触れを出し、それの返答を見たのに、返答よりも先に到着するのは戦争を仕掛けるのと同義と取られてもおかしくはない。

基本権力には靡かず、逆に上手く権力を使って自由にしている私でも、これは破れなかった。
流石に、今すぐ私から王家に全面戦争を仕掛ける訳にはいかなかったのだ。


そんな理由から昼前に王城に着くように屋敷を出たが、今は王城前の門で待たされている。
しかも、完全に昼を超えて、もうそろそろ3時になりそうな時間だ。

正直に言えば、ここまで待たされたならば屋敷に帰ってゆっくりとしていたいが、流石にこちらから前触れを出したのに、勝手には帰れない。
まあ、王城の門が閉まる時間になれば、帰ることが出来るようになるので、それまではフィーナと話をしているのも悪くない。

それに王城は前触れを受け取り、返答までしておいて、伯爵家当主を王城に入れる事すらしないというのは、中々良い醜聞になる。
それを広める為に、王城に行くと言うと着いてきたそうにしていたミサを、わざわざ連れてきたのだ。

一応、私は学園でも、学園の外でも好き勝手しているので周囲の貴族からは嫌われていて、この程度の嫌がらせを受けるのは想定していた。
だからこそ、私とフィーナは馬車の中で待ち、唯一侍女であるミサが馬車から降りて、何かを買って来るという理由付けが必要だった。

もちろん、ミサに好き勝手をさせるつもりはなく、何かを買って来させると言っても、馬車の中から目視できる範囲にある飲み物屋で、飲み物を買ってこさせるくらいだ。

この飲み物を買うのだって、金が居る。
しかし、領地に戻っている馬車の中ならともかく、王都の中の屋敷から王城に向かう為の馬車には金なんて積んでない。

そこで私達はフロービス伯爵家にツケて貰うしか無い。
それにより、この周囲に居る平民はフロービス伯爵家当主が乗っている馬車が長時間、王城の外で待たされているという印象付けが出来る。

これにより、傍目から見れば、学園生を学園があるにも関わらず呼び付けた王と、王に呼ばれたので文句も言わずに健気に入城するのを待ち続けている伯爵家が出来上がる。

私が王城に来た狙いは、一番はフィーナの事だったが、王家の評判を落とすことも狙っていたのだ。
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