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王都へ

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冒険者ギルドでリヴァー様とリアス様の存在がバレる騒ぎがあってから、リヴァー様はギルドマスターにS級モンスターの素材を押し付け「不正でもしようものなら、俺とリアスが敵対すると思え」と言い残してから、私とリアス様を連れて街の宿に来ました。

その宿は街一番の宿屋で二人部屋に一泊二食付きで金貨3枚(銅貨1枚で日本円の100円。銀貨1枚は銅貨100と等価。金貨1枚は銀貨100枚と等価。白金貨1枚は金貨100枚と等価)も取られる程の高級宿でしたが、それの高級宿で二人部屋と一人部屋を取りました。

因みに、金貨3枚はリアス様がSランク素材を一体分、商会に持ち込んで売り払い、白金貨1枚に変えました。
Sランク素材なら最低でも白金貨2枚は取れるのですが、リアス様曰く「交渉が面倒くさくなりましたので、安くしました」との事でした。

それとは別件ですが、ギルド証(他の商人ギルド等もある為、纏めてギルド証と呼んでいます)の機能の1つである口座のお2人の金額を見せて頂いた時に驚き過ぎて気絶しそうになりました。
何せ、白金貨が見た事も無い程の枚数(少なくとも我が国の国家予算10年分)がありましたので、仕方の無い事です。

私はこの金額を見た時に「何故、ギルドでお金を下ろさなかったのですか?」と質問した所、「今は冒険者ギルド本部に私達の金銭は全てありますから、冒険者ギルド本部に行かなければ金銭を引き出せないのですよ」と答えて頂きました。

そんな事が色々とありましたが、既に外は暗くお酒を飲んだ人が騒いでいるのが分かるくらいには声が聞こえて来ていました。
私はそんな声を聞きながら、今日は早めに寝ようと思い、食事、入浴が既に済んでいた為にベットに入りました。



リヴァー視点

ホテルで出た夕食を食べた後に街で買って来た酒と露店の食べ物を摘みながら隣の部屋に居るスノウに1割程度、意識を向けているとリアスが俺に言った。

「それにしても良かったのですか?ダンジョンを出る前、いえスノウと出会う前は新しく冒険者証を発行して、私達は行方不明のままで通すと言っていたのに、冒険者証を再発行なんかして」

そう言ったリアスに白々しいと思いながら、言い返した。

「お前も再発行しただろ?別にお前は再発行しなくても良かったのに、ギルドマスターに『そろそろ再発行しても良いかと思いまして』とか言ってたくせに」

俺がそう言うと、リアスは酒を飲みながら笑った。

「まあ、そうなんですけどね。私達がSSSトリプルエスランクの冒険者ならば、スノウをスノウの婚約者馬鹿な下半身野郎から守れますしね」

リアスが言った言葉に少しツボり、笑いながら言葉を返した。

「ぷっ、くく、この国の王太子を馬鹿な下半身男って、ぶっは!!」

俺が笑っていると、リアスが何かに反応して顔をスノウの部屋に向けながら不思議そうに呟いた。

「おや?少しうなされていますね。何か悪い夢でも見ているのでしょうか?」

俺はリアスの言葉に反応して、スノウの様子を見る事にした。
今の時刻は夜の10時(この世界の時間は地球と同じ基準)で、ちょうど寝始める人間が多い時間帯だ。
ただスノウは少し早めに寝ていたらしく、8時半くらいから、既に寝ていた。

そんなわけでスノウは一時間半程、寝ていて先程までは普通に寝ていたが、どうしてうなされているのか、少しだけ頭を覗いてみるか。
俺はスノウの頭を覗く為に、『全てを見通す目ゴッドアイ』を発動させた。

これはどんな物でも望めば見る事が出来る意外と重宝している魔法だ。
これならば相手の思考を読んだり、未来を見たり、過去を見たりと使用者が見たいと思いついた物に関しては全てを見せてくれる。
まあ、そんな魔法だから、発動している間は常時魔力(一秒で宮廷魔導師の魔力を全て持っていくレベル)を持っていく。

だが俺ならば『全てを見通す目ゴッドアイ』は常に使用していても回復する魔力量の方が上なので問題無い。
まあ、そんな面倒な事はしないがな。

とにかく、便利な魔法を使ってスノウの頭の中を見てみると、どうやら悪夢に分類される夢を見ているらしい。
俺はその事をリアスに伝えながら、魔法『快眠』を行使した。

「どうやら悪夢に分類される夢を見ていたらしいな。内容は『婚約者にハメられて、大量のS級モンスター囲まれて、嬲られながら殺される』だな。

まあ、たった今『快眠』の魔法をスノウにかけたから、夢を見る事も無く明日の朝まで、ぐっすりと眠れるさ」

オレがそう言うと、リアスは何かを考えながら言った。

「婚約者にハメられる夢ですか。スノウの婚約者は確かこの国の王子でしたか?どうするのですか、リヴァー。スノウが生きていると分かれば、またスノウが狙われると思いますよ?」

俺はどうせ俺と同じ事を考えているだろう、リアスに笑いながら言った。

「あっはっはっ。どうせお前も同じ事を考えているだろう?

スノウは俺が気に入った数少ない人間だぞ?当然守るし、スノウの婚約者が王子だろうがなんだろうが俺達が黙らせれば良いだけの話だ」

俺がそう言うとリアスも笑いながら答えた。

「ふふ、ですね。スノウには私達に気に入られたのだから仕方無いと諦めてもらいましょう」



スノウ視点

今朝はなぜだかとてもいい気分でした。
というか今も程よい日差しのお陰で、気を抜くと寝てしまいそうです。

今の私達は王都の中をゆっくりと歩き、時々お店に入りながら移動しています。
というのも、今朝リアス様の「スノウは色々と問題を抱えているでしょうから、それを解決してから1週間私達に付き合ってもらいましょう」という言葉で、王都に着くまでの間に予定していた観光も後回しにし、私の問題を片付けてくれるそうです。

本当ならとても嬉しいのですが、私の問題は私の婚約者による問題なので、下手をするとリヴァー様とリアス様が王家と敵対してしまう可能性も上げたのですが、2人共「問題無い」と言い切ってしまい、私には抵抗の余地がありませんでした。
せめてもの抵抗として、危険になったら依頼を無視して逃げて下さいとお願いをしたのですが、2人共「そんな状況になったらな」と言って笑って返されてしまいました。

そんな訳で朝の少し遅い時間に街を出たのですが、お昼前の時間には王都に着いてしまいました。
ただ今回は王都から少し離れた場所に降りて、王都に歩いて向かっています。
王都に空を飛ぶ絨毯で直接向かわれるよりは良かったのですが、リヴァー様に帽子を渡されて「俺かリアスが良いと言うまで取るな」と言われました。

私はその言葉に首を傾げながらも頷きました。
そんな私達は王都に入るのにも、一般の方が並ばれる列に並びました。
それを指示されたのがリアス様でしたので、まるで目立たない様にしているのかと思う程でした。

そして、そんな私の考えは当たり、門兵に身分証を出せと言われた際には、リアス様が「田舎から出できたばかりで、この王都で冒険者になろうと思っていたのですが」と言っていました。
本来ならば身分証を持っていない者は門兵に名前を告げ、身分証代わりに銀貨1枚を預け、身分証を得てから再び戻って来ると言う手続きになります。

ですが今回は金貨1枚を要求されました。
私がその事に驚き、一体どういう事かと問い質そうとした所で、リヴァー様が門兵に「金貨1枚!?かなりの大金じゃないか!!今までは銀貨1枚だと聞いたぞ!!」と叫び、リアス様もそれを肯定する様に首を縦に振っていました。

私はリヴァー様とリアス様が途轍もないお金持ちだと知っているで、何故そんな事を言うのかと思いましたが、この次の門兵の「悪いな。なんでも公爵令嬢が身分証を出さずに、王都に入るのを防ぐ為に行えって上から言われてるんだよ。ここは身分証を持っていない者が一時的に借金出来るから、一人金貨一枚を持ってないなら一時的に借金して入ってくれ。もちろん、身分証を作って来たら借金も無くなるし、銅貨1枚払えば王都に入れるからさ」と言った言葉で理解しました。

王都に入る際の金額を変更出来るのは王族だけです。
つまり、これは私が王都に入った事を王族が一番先に掴む為と言うことです。
そして、現国王陛下は私の婚約者である第一王子殿下を一番愛しており、周りの者は止めるのにそれを押し退けて、どうにか第一王子殿下を王太子にしようと躍起になっています。

と言う事は、これは万が一の時の為に私を探し出し迅速に始末する為の布石?






公開設定を間違え、昨日の9時から50分程同じ物を公開しておりましたが、お許し下さい。
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