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砂の城……✨✨✨

病院✨🏥✨✨

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 ようやく退院の日取りが決まった。


 しかし歓びもつかの間、あの男が私の前に現われた。現在、もっとも会いたくない男のひとりだ。



 
 さっきから病室の前で看護師の高松みいなと揉めている。
「ちょっと困ります。お嬢様は関係者以外の方とは面会しないンです」



「まァまァ、ほんの十分……、いや五分でもいいんで。怪しいモノじゃないんだ。県警のモノだよ」
 男はまったく引く気はないようだ。



「ううゥ……」あの声は。
 間違いない。あの時の刑事、矢作だ。なんでこの事件にアイツが首を突っ込んでいるんだ。



「困りますよ。いくら県警の方でも、お嬢様は事件以来、ショックで声が出ないのですから」
 堪らず弁護士のアキラも対応に当たった。
 


「ええェ、声が……?」

「そうです。ですから事情聴取もできません。お引き取り下さい」



「まァ、そう言わずに良いだろう。顔を覗かせて貰って、たったの二言、三言だ」
 無理やり病室へ入ってきた。相変わらず厚かましいヤツだ。




「恩着せがましく言いたくはないが、命の恩人だぜ。
 このオレは!!」
 矢作は不敵にニヤリと微笑んだ。


『ええェ……?』命の恩人……。


「ハイ、ハギさんは燃え盛るバスの中へ突っ込んで、命がけで、お嬢様を救出したんですよ」
 イケメンの富田刑事が補足した。



「ううゥ……」マジか。あのバスから救出してくれたのは、矢作だったのか。
 知らなかった。今までアキラだと思っていた。



「わかりました。ですが、お嬢様は声が出ないので無駄だと思いますが……」
 弁護士のアキラが間に割って入った。



「なるほど、じゃァ頷くか、首を横に振るかだけでも結構ですので」
 どうしても矢作は事情聴取する気なのだろう。 


「むウゥ……」アキラも仕方がないようだ。


「どうも……、県警の矢作です。宜しく」
「同じく富田です」
 警察手帳を提示した。



「……」私は視線を逸らし無言で頭だけ下げた。


「フフゥン」
 矢作は私の顔を見て意味有りげに微笑んだ。










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