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フリージア
マリア
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「夜半からずっと雨が降っていた。オレはボロボロになりながらもようやくレッドスパイダーの追撃を振り切ったんだ。だがオレは瀕死の状態だった。まったく動けず、血だらけでごみ捨て場に転がっていたんだ」
「ふぅん」
美人弁護士のクリスも眉をひそめた。
「道行く人たちもオレと関わり合わないように目をそむけた。当然だろう。まるできたないゴミ扱いだ。けれどそんなオレに唯一、手を差し伸べてくれたのが彼女だった」
『本城マリアさん?』
ナポレオンが聞き返した。
「ああァ彼女だけが、オレに傘を差しかけてくれたんだ」
岬由真は懐かしそうに微笑んだ。
『大丈夫?』
ただひとりだけ彼女はオレのことを気に掛けてくれたんだ。
「彼女の笑顔を見た瞬間、まるで天使かと思ったよ」
一瞬、由真の顔も和らいだ。
『ねえェ、救急車を呼ぶ?』
「だがオレにもプライドがあった。見知らぬ美女に助けてもらう義理はない。『放っておけよ』とつっけんどんに応えたんだ」
蝉しぐれの中、ボクたちは岬由真の話しに聞き入っていた。
『わかったわ。このままにしておけないから、さァ、部屋へ来なさい』
「そう言って彼女は、血で汚れるのも構わず動けないオレに肩を貸して、部屋まで運んでくれたんだ」
「そりゃァ由真がイケメンだったから放っておけなかったのよ」
美人弁護士のクリスもジョークを交えた。
「ああァ言えたなァ」
ヤンキーのジョーもうなずいた。
「そうですよ。鰐口警部補みたいな怖モテだったらそのままごみ捨て場に放っておかれますよ」
ボクもジョークを飛ばした。
「フフゥン、どうかな。オレは彼女の部屋へ着いた途端、気を失っていたらしい」
「ふぅん」
美人弁護士のクリスも眉をひそめた。
「道行く人たちもオレと関わり合わないように目をそむけた。当然だろう。まるできたないゴミ扱いだ。けれどそんなオレに唯一、手を差し伸べてくれたのが彼女だった」
『本城マリアさん?』
ナポレオンが聞き返した。
「ああァ彼女だけが、オレに傘を差しかけてくれたんだ」
岬由真は懐かしそうに微笑んだ。
『大丈夫?』
ただひとりだけ彼女はオレのことを気に掛けてくれたんだ。
「彼女の笑顔を見た瞬間、まるで天使かと思ったよ」
一瞬、由真の顔も和らいだ。
『ねえェ、救急車を呼ぶ?』
「だがオレにもプライドがあった。見知らぬ美女に助けてもらう義理はない。『放っておけよ』とつっけんどんに応えたんだ」
蝉しぐれの中、ボクたちは岬由真の話しに聞き入っていた。
『わかったわ。このままにしておけないから、さァ、部屋へ来なさい』
「そう言って彼女は、血で汚れるのも構わず動けないオレに肩を貸して、部屋まで運んでくれたんだ」
「そりゃァ由真がイケメンだったから放っておけなかったのよ」
美人弁護士のクリスもジョークを交えた。
「ああァ言えたなァ」
ヤンキーのジョーもうなずいた。
「そうですよ。鰐口警部補みたいな怖モテだったらそのままごみ捨て場に放っておかれますよ」
ボクもジョークを飛ばした。
「フフゥン、どうかな。オレは彼女の部屋へ着いた途端、気を失っていたらしい」
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