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嵐の中の惨劇✨✨✨

嵐の中の惨劇……

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『それが清丸様の祟りだとおそれられてきました』

「ぬうぅ、祟りか……」
 都合の悪い不祥事は祟りとして忌み嫌われていた時代だ。
『ハイ、その後、生まれたお世継ぎも次々と変死しました。そして、マサ様との間に双子の子宝が授かりました』
「双子……」
『そうです。その双子の一人が清貴様でもうお一人が清雅様です』
「ぬうぅ、俺には双子の兄がいるのか……」

『ハイ、ですが清雅様にも祟りが及ぶと考えた清国様は、おマサ様と清雅様を江戸へ逃したのです』
「ぬうぅ、そうでしたか……」
『ですが清丸様の祟りでしょうか。清貴様も病いに伏してしまい、余命わずか……』 
「ええェ……」

『そこで私どもが江戸へ赴き清雅様をお迎えした次第なのです』
「そ、そうなのですか……」
『これも全ては清丸様の祟りだと云われております』
「ぬうぅ、清丸様の祟り……」
 そんなはずはないのだが。

『もちろん祟りなどと云うのは如何様まやかしでしょう。
 もっぱら清丸様の首を斬らせたのは、闇御前の放った土蜘蛛衆によるモノだと云われています』


「ぬうぅ……、闇御前?」
『ハイ、闇御前は清国様の弟君、清継《キヨツグ》様だと云われています』

「ン、云われているというのは、どういう事です?」
『わかりません。闇御前の正体は誰も見てはならないのです』
「ぬうぅ、正体を見てはならない」

『そうです。清継様は幼き日、火事に巻き込まれお顔を火傷ヤケドされて以来、清継様のお顔を見た者は、ごく近親者のご家族やお医者様しかおりません』
「なるほど……」
 さすが平家だ。曰くや因縁に満ちている。
 知らぬ間に俺とお蝶は抱きあったまま、かなり長いこと話し込んでいた。

「ああァ、清雅様……、よろしいでしょうか」
 お蝶は喘ぐような吐息を漏らし俺に身体を預けてくる。

「は、はァ……」だが俺は女人を知らぬ身だ。
 勝手がわからない。ただ下半身が火のついたように熱く火照っていた。
「清雅様……」ゆっくりと紅く艶かしい唇が俺のものに寄せられた。

 唇同士が重なり合って俺は全身が震えてきた。
「ああァ……、お蝶」
 小刻みに全身が戦慄わななくようだ。

 ぬめるような舌が俺の上唇を舐めていく。
 お蝶の舌は、まるで生き物のように俺の口の中へと侵入していく。

 その刹那……。
『ぐっわァァァァァーーッ』
 不意に旅籠内に男のものと思われる断末魔の叫び声が轟いた。


「うッ、ううゥ……!!」いったい何ごとだろう。








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