4 / 119
平家伝説財宝殺人事件✨✨
キヨマサ✨平家の末裔✨✨
しおりを挟む
深川清住町(現・東京都江東区清澄)にある居酒屋『お藤』。
そこに知り合いの平賀源内が馴染みにしていた。
平賀源内は現在の香川県、高松藩の中心地から離れた志度《しど》と呼ばれる港町で生まれた。親は下級武士だったそうだ。
二十四歳の時に運命が変わることになった。高松藩から長崎へ遊学することとなり、そこで大いに見聞を広めることになった。
宝暦六年、二十八歳の頃に江戸へ到着し画期的な閃きを発揮し、物産展を催し江戸の人々の注目を浴びた。
また『土用の丑の日に鰻を食べると元気になる』と言うキャッチコピーを考えたのも源内である。それまで夏に鰻を食べる習慣はなかったとされている。
安永三年、源内が四十六歳の時、盟友、杉田玄白の刊行した『解体新書』に参加したとされている。
なお、安永八年十一月に門人、九五郎を殺め翌十二月に獄中死したと記されていた。
その死を看取ったのが盟友の杉田玄白であり、その後、墓へ埋葬されたのだが後日、墓を暴いたところ遺体はなかったとされている。
実は源内は亡くなっていなくて、杉田玄白が手助けし、田沼意次の所領・遠江へ逃亡したと言う説もあった。
また亡くなった五十一歳まで独身だったことから同性愛者だったと言う噂も残っている。
俺はその曰くつきの平賀源内に相談を持ちかけた。
「あん、なんだ。キヨ。折り入ってワシに話しがあるそうだが……」
昼間から酒を酌み交わしていた。
最近は酒くらいしか愉しみはない。
「ハイ、実は……、こんな話しをしても信じてもらえないでしょうけど」
俺は幼少の頃から何度も見ている夢の話しをした。
おっ母ぁからは、決して人様に聞かせてはならないと固く禁じられていた。
そのおっ母ぁも亡くなってからすでに三年の月日が流れていた。
「ほォ、じゃァ、幼い頃からその同じ夢に魘されるのか」
源内は酒を飲みながら聞き返した。
「ええェ……、そうなんですよ。それがいつも決まってどっかの洞窟の中を土蜘蛛衆ッて言う忍者に追いかけ回されるんです」
「ほほォ、そりゃァ、面白いな。今度の浄瑠璃に使えるかもしれねぇな」
源内は嬉《たの》しそうに微笑んだ。
平賀源内は物産展を開催したことやエレキテルを発明したことで名を馳せた。
『土用の丑の日に鰻を食べて元気になろう』と言った今で言うコピーライターと言った顔も持つが、浄瑠璃作家としても有名だ。
「なんでェ、なんでェ……、源内先生よォ。良いねえェ、金儲けか」
山師のヒデが首を突っ込んできた。
名ばかりの山師で、胡散臭く金の話には鼻が効いた。愛嬌のあるサル面だ。
しかし年齢不詳で素性も良くわからない。
「もォ、ヒデさんには関係ないわよ」
お蘭が唇を尖らせた。
彼女は源内が養女のように可愛がっている美少女だ。彫りが深く西洋人形のように可愛らしい子だ。
いつの間にか、周りには源内、俺、そしてヒデとお蘭が酒を酌み交わしていた。
もちろんお蘭は酒など飲んではいないが、源内らの酌をしていた。
「まァまァ、そう言わず、キヨ。どうせ暇なんだ。オイラにも話しを聞かせてくれよ」
馴れなれしくヒデは肩を組んできた。
「ぬうぅ、わかったから離れろよ」
だいぶ出来上がっているようだ。
「ケッケケ、キヨが由緒正しいどこぞの落とし胤だって、噂は聞いてるぜ」
旧知の仲のように親しげに話しかける。
まだ知り合ってそれほどでもないのに図々しい男だ。
「フフゥン、どこで聞いたのよ。いい加減なヤツねえェ……」
お蘭がヒデを横目で睨んだ。
話しの最中、編笠をかぶった男たちが店へ入ってきた。
目つきが悪く見るからに怪しげな男たちだ。
「酒を四本もらおう……」
ひとりが女将に頼んだ。編笠を取ると精悍な顔立ちをしている。凛々しい色男だ。
「ハイ……」女将も会釈し用意した。
どうにも俺には編笠をかぶった謎の男たちが気になって仕方がない。
編笠の男たちは酒を酌み交わしながら、俺や源内たちの話しに耳を傾けている。
はじめは源内も眉唾ものだとタカをくくっていたが、隠し財宝の件を話すと、かなり乗り気になってきた。
「ははァン、ッで、その夢から醒めたッてわけか。面白いじゃねえェか……」
源内も気に入ったみたいだ。
なにしろ改革、改革で娯楽はご法度だ。
派手な事は出来ない。
浮世絵や浄瑠璃も大人しいモノばかりで、源内等も辟易していた。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
そこに知り合いの平賀源内が馴染みにしていた。
平賀源内は現在の香川県、高松藩の中心地から離れた志度《しど》と呼ばれる港町で生まれた。親は下級武士だったそうだ。
二十四歳の時に運命が変わることになった。高松藩から長崎へ遊学することとなり、そこで大いに見聞を広めることになった。
宝暦六年、二十八歳の頃に江戸へ到着し画期的な閃きを発揮し、物産展を催し江戸の人々の注目を浴びた。
また『土用の丑の日に鰻を食べると元気になる』と言うキャッチコピーを考えたのも源内である。それまで夏に鰻を食べる習慣はなかったとされている。
安永三年、源内が四十六歳の時、盟友、杉田玄白の刊行した『解体新書』に参加したとされている。
なお、安永八年十一月に門人、九五郎を殺め翌十二月に獄中死したと記されていた。
その死を看取ったのが盟友の杉田玄白であり、その後、墓へ埋葬されたのだが後日、墓を暴いたところ遺体はなかったとされている。
実は源内は亡くなっていなくて、杉田玄白が手助けし、田沼意次の所領・遠江へ逃亡したと言う説もあった。
また亡くなった五十一歳まで独身だったことから同性愛者だったと言う噂も残っている。
俺はその曰くつきの平賀源内に相談を持ちかけた。
「あん、なんだ。キヨ。折り入ってワシに話しがあるそうだが……」
昼間から酒を酌み交わしていた。
最近は酒くらいしか愉しみはない。
「ハイ、実は……、こんな話しをしても信じてもらえないでしょうけど」
俺は幼少の頃から何度も見ている夢の話しをした。
おっ母ぁからは、決して人様に聞かせてはならないと固く禁じられていた。
そのおっ母ぁも亡くなってからすでに三年の月日が流れていた。
「ほォ、じゃァ、幼い頃からその同じ夢に魘されるのか」
源内は酒を飲みながら聞き返した。
「ええェ……、そうなんですよ。それがいつも決まってどっかの洞窟の中を土蜘蛛衆ッて言う忍者に追いかけ回されるんです」
「ほほォ、そりゃァ、面白いな。今度の浄瑠璃に使えるかもしれねぇな」
源内は嬉《たの》しそうに微笑んだ。
平賀源内は物産展を開催したことやエレキテルを発明したことで名を馳せた。
『土用の丑の日に鰻を食べて元気になろう』と言った今で言うコピーライターと言った顔も持つが、浄瑠璃作家としても有名だ。
「なんでェ、なんでェ……、源内先生よォ。良いねえェ、金儲けか」
山師のヒデが首を突っ込んできた。
名ばかりの山師で、胡散臭く金の話には鼻が効いた。愛嬌のあるサル面だ。
しかし年齢不詳で素性も良くわからない。
「もォ、ヒデさんには関係ないわよ」
お蘭が唇を尖らせた。
彼女は源内が養女のように可愛がっている美少女だ。彫りが深く西洋人形のように可愛らしい子だ。
いつの間にか、周りには源内、俺、そしてヒデとお蘭が酒を酌み交わしていた。
もちろんお蘭は酒など飲んではいないが、源内らの酌をしていた。
「まァまァ、そう言わず、キヨ。どうせ暇なんだ。オイラにも話しを聞かせてくれよ」
馴れなれしくヒデは肩を組んできた。
「ぬうぅ、わかったから離れろよ」
だいぶ出来上がっているようだ。
「ケッケケ、キヨが由緒正しいどこぞの落とし胤だって、噂は聞いてるぜ」
旧知の仲のように親しげに話しかける。
まだ知り合ってそれほどでもないのに図々しい男だ。
「フフゥン、どこで聞いたのよ。いい加減なヤツねえェ……」
お蘭がヒデを横目で睨んだ。
話しの最中、編笠をかぶった男たちが店へ入ってきた。
目つきが悪く見るからに怪しげな男たちだ。
「酒を四本もらおう……」
ひとりが女将に頼んだ。編笠を取ると精悍な顔立ちをしている。凛々しい色男だ。
「ハイ……」女将も会釈し用意した。
どうにも俺には編笠をかぶった謎の男たちが気になって仕方がない。
編笠の男たちは酒を酌み交わしながら、俺や源内たちの話しに耳を傾けている。
はじめは源内も眉唾ものだとタカをくくっていたが、隠し財宝の件を話すと、かなり乗り気になってきた。
「ははァン、ッで、その夢から醒めたッてわけか。面白いじゃねえェか……」
源内も気に入ったみたいだ。
なにしろ改革、改革で娯楽はご法度だ。
派手な事は出来ない。
浮世絵や浄瑠璃も大人しいモノばかりで、源内等も辟易していた。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
永き夜の遠の睡りの皆目醒め
七瀬京
歴史・時代
近藤勇の『首』が消えた……。
新撰組の局長として名を馳せた近藤勇は板橋で罪人として処刑されてから、その首を晒された。
しかし、その首が、ある日忽然と消えたのだった……。
近藤の『首』を巡り、過去と栄光と男たちの愛憎が交錯する。
首はどこにあるのか。
そして激動の時代、男たちはどこへ向かうのか……。
※男性同士の恋愛表現がありますので苦手な方はご注意下さい
時代小説の愉しみ
相良武有
歴史・時代
女渡世人、やさぐれ同心、錺簪師、お庭番に酌女・・・
武士も町人も、不器用にしか生きられない男と女。男が呻吟し女が慟哭する・・・
剣が舞い落花が散り・・・時代小説の愉しみ
シンセン
春羅
歴史・時代
新選組随一の剣の遣い手・沖田総司は、池田屋事変で命を落とす。
戦力と士気の低下を畏れた新選組副長・土方歳三は、沖田に生き写しの討幕派志士・葦原柳を身代わりに仕立て上げ、ニセモノの人生を歩ませる。
しかし周囲に溶け込み、ほぼ完璧に沖田を演じる葦原の言動に違和感がある。
まるで、沖田総司が憑いているかのように振る舞うときがあるのだ。次第にその頻度は増し、時間も長くなっていく。
「このカラダ……もらってもいいですか……?」
葦原として生きるか、沖田に飲み込まれるか。
いつだって、命の保証などない時代と場所で、大小二本携えて生きてきたのだ。
武士とはなにか。
生きる道と死に方を、自らの意志で決める者である。
「……約束が、違うじゃないですか」
新選組史を基にしたオリジナル小説です。 諸説ある幕末史の中の、定番過ぎて最近の小説ではあまり書かれていない説や、信憑性がない説や、あまり知られていない説を盛り込むことをモットーに書いております。
16世紀のオデュッセイア
尾方佐羽
歴史・時代
【第12章を週1回程度更新します】世界の海が人と船で結ばれていく16世紀の遥かな旅の物語です。
12章では16世紀後半のヨーロッパが舞台になります。
※このお話は史実を参考にしたフィクションです。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
故郷、甲賀で騒動を起こし、国を追われるようにして出奔した
若き日の滝川一益と滝川義太夫、
尾張に流れ着いた二人は織田信長に会い、織田家の一員として
天下布武の一役を担う。二人をとりまく織田家の人々のそれぞれの思惑が
からみ、紆余曲折しながらも一益がたどり着く先はどこなのか。
楽将伝
九情承太郎
歴史・時代
三人の天下人と、最も遊んだ楽将・金森長近(ながちか)のスチャラカ戦国物語
織田信長の親衛隊は
気楽な稼業と
きたもんだ(嘘)
戦国史上、最もブラックな職場
「織田信長の親衛隊」
そこで働きながらも、マイペースを貫く、趣味の人がいた
金森可近(ありちか)、後の長近(ながちか)
天下人さえ遊びに来る、趣味の達人の物語を、ご賞味ください!!
狩野岑信 元禄二刀流絵巻
仁獅寺永雪
歴史・時代
狩野岑信は、江戸中期の幕府御用絵師である。竹川町狩野家の次男に生まれながら、特に分家を許された上、父や兄を差し置いて江戸画壇の頂点となる狩野派総上席の地位を与えられた。さらに、狩野派最初の奥絵師ともなった。
特筆すべき代表作もないことから、従来、時の将軍に気に入られて出世しただけの男と見られてきた。
しかし、彼は、主君が将軍になったその年に死んでいるのである。これはどういうことなのか。
彼の特異な点は、「松本友盛」という主君から賜った別名(むしろ本名)があったことだ。この名前で、土圭之間詰め番士という武官職をも務めていた。
舞台は、赤穂事件のあった元禄時代、生類憐れみの令に支配された江戸の町。主人公は、様々な歴史上の事件や人物とも関りながら成長して行く。
これは、絵師と武士、二つの名前と二つの役職を持ち、張り巡らされた陰謀から主君を守り、遂に六代将軍に押し上げた謎の男・狩野岑信の一生を読み解く物語である。
投稿二作目、最後までお楽しみいただければ幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる