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PS『横須賀ストーリー』✨🎸✨✨💕

PS『横須賀ストーリー』✨🎸✨✨💕

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「ハッハハ……、ユリアンも充分若いじゃん」


「そうよ。見た目は私たちと全然変わらないじゃン」
 ニコも微笑んだ。




「フフゥン、ッでえェ……、イチゴ。どうするの」
 ユリアンが訊いてきた。



「え、なにが」少しとぼ》けた。


「なにイチゴ。マジでネイビーパーカをやる気?」
 ゴンちゃんが肩を組んで脇腹を突っついてきた。

「ちょっとくすぐったいだろう。突っつくなよ。脇腹を」
 身を捩って避けた。

 
「ううゥン……、どうしようかと思って。一応、あれからネットの予約販売だけしてて。今、千枚を突破してさァ」
 


「スッゲェ……」ゴンちゃんは大げさに驚いてみせた。



「たったの残り五、六十枚を売るためにどぶ板通りで恥ずかしいダンスパフォーマンスをしたって言うのに」



「まァねえェ……。でも○○テレビでドキュメント風にドラマ化したのが大きいよ。あのあと予約が殺到したんだから」



「ああァ、あれねえェ……、あのドラマが放映された時はスッゲェ反響だったからねえェ」
 ゴンちゃんも目を細めた。


「ねえェ……、あのドラマじゃ私の事、全然扱ってなかったンだけど」    
 ユリアンが不満そうに唇を尖らせた。



「だってユリアンは関係なくねえェ……」
 サンタが冷たくつき放した。


「え、なんでよ。私もりっぱなメンバーでしょ!  ねえェ、イチゴ」


「ええェ、どうだっけェ……」肩をすくめゴンちゃんを見た。彼女もサンタも苦笑していた。



「さァ、ユリアンもメンバーなのォ?」
 ニコも微笑んで首をかしげた。


「なによ。酷いじゃン。メンバーよ。どぶ板通りで必死に歌ったじゃン」

「『横須賀ストーリー』を!」
 みんなでハモッた。


「ハッハハ……」全員、良い顔で笑っている。

「安心してよ。もちろんユリアンもりっぱなメンバーだから」
 私は彼女の肩を抱いた。

「良かった。私だけ仲間はずれにされるのかと思ったわ」





「そんなワケないよ」
「そうだッて。そもそもユリアンがあの企画を持ってきてくれたから『横須賀ネイビーパーカ』が誕生したんじゃん」



「そうねえェ……。なにかひとつひとつ乃偶然が積み重なって『ネイビーパーカ』ッて完成形カタチになったのね」



「そうだよ」
 運命って言うと大げさだけど何かひとつでも欠けていたら『横須賀ネイビーパーカ』はなかっただろう。




「信じられないよね。あの顛末が教科書に載るなんて」


「まァねえェ……」
「そしたら、ドラマ化だって夢じゃないわよ」

「いやいやァ……、ムリムリ」

「なんでよ。アンタたちは、まだまだ無限の夢があるでしょ」

「なによ。ユリアンだって、まだこれから育児をして教育現場へ復帰するんでしょう」

「うん、まァねえェ……」











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