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ネイビーパーカ……✨⚔️✨✨

アパレルメーカー……✨✨✨

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 原宿にあるアパレルメーカー『XXX』のあるビルは目の前だ。



 3時に担当者と会う約束だ。
 まだ三十分前だが遅れるよりは良いだろう。



 受付けの女性から四階の会議室で待っていて欲しいと言われた。
 
 しばらく待つと秘書の方が現れた。
「申し訳ありません。担当の者が急用で」


「そうですか……。突然、参りましてこちらこそ申し訳ありません」
 そうか。せっかく来たのにどうしようか。


「ぜひ社長が会ってお話しがしたいと申しておりますが、どうしますか……」



「ええェ……、社長さんが」
 私とサンタは顔を見合わせた。

「もちろんお会いします」ここで退散するわけにはいかない。
 こうなれば、本丸へ出陣だ。



 やがて社長が姿を現した。
 さすがアパレルメーカーの社長だ。若々しいイケメンだ。


「ああァ、こんにちは。はじめまして」
 白い歯が特徴的だ。


「はじめまして、横須賀Y高校の野原イチゴです」

「同じく三田有紀です」
 立ち上がり丁重に挨拶をした。


「ネイビーの件ですか。どうぞ楽に座って下さい」
 手で促した。


「ハイ……、まったく知らずにネイビーパーカを作ってしまい、あとは販売するだけだと言う時に、こちらが商標登録をされていると知りまして、ご相談に参りました」



「なるほど、その今、着ているそのパーカが作ったと言うものなんですか」



「ハイ、こちらがグレイです」
「私のはブラックです。他にも四色あります」
 サンタが資料を提出した。



「なるほど、ちなみにどの色が人気なんでしょうか」
 手元の資料を確認しながら尋ねてきた。




「人気はシーガルホワイトと言って白です。これは着ていたモデルが抜群なので人気なのかもしれませんが……」
 シーちゃんが着ていたので商品が映えたのかもしれない。予約が殺到した。



「シーガルホワイト……?」

「ハイ、色それぞれに横須賀にちなんだネーミングを考えまして、シーガルは海カモメです」


「ほほぉ、面白いですね」


「ハイ、他にも……」
 手応えがあったので、ここぞとばかりネイビーパーカの良さをアピールした。


「わかりました。ですが、こちらもビジネスなので無闇に商標権を侵害されると大変困るのですよ」
 さすがにシビアだ。


「ええェ……、あ、ハイ、そうですね」
 一気にシリアスになった。
 ビジネスならば知らなかったでは済まない。
 不穏な空気が流れた。



「ですが、こうしていらっしゃって戴いたので、作ってしまった分だけは目をつぶりましょう」



「本当ですか……」


「ええェ……、三百枚ですね。こちらの分は商品権を無料でサービスしますよ」
 


「ハイ!  買取りになるので、よろしくお願いします」
 サンタも必死だ。


「わかりました。今日も横須賀からいらっしゃったのですか」



「ハイ、そうです」
「頑張って下さい。今度、遊びに行きたいと思います」


「ハイ、是非いらっしゃってください。ご案内します」

 取り敢えず、会談は成功した。




 こうして、なんとか無事に販売までこぎつける事が出来そうだ。








 


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