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那奈……✨✨✨

焼きソバ……✨✨✨

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「なによ。スゴくイイ匂いがするんだけど……、お好み焼きでも買ってきたの」



「ううゥン、焼きソバだよ……」
 リビングへ入るとショーリは人懐っこい笑顔で出迎えた。


「よォ、彼女がサンタちゃん?」


「ええェ……、誰?   イチゴの彼氏」
 サンタが私を振り返って訊いた。

「いやいや、まさか……」即座に私は否定した。


「あ、オレ川崎勝利君ねえェ……。フロンターレって呼ばないで!」


「はァ……」サンタは目が点だ。

「バカなの。自分で君をつけるな」私はショーリを睨みつけた。小学生でももう少しマシな挨拶をするだろう。




「フロンターレって何……」サンタは小声で私に訊いてきた。



「ハッハハ……、コイツの言う事は基本、シカトしてイイから」
 私は苦笑いを浮かべた。


「うわァァ、酷ッでえェな……。イチゴ。オレは命の恩人じゃん」
 走水海岸でのアクシデントを猛アピールしてきた。



「え、命の恩人?  マジで」またサンタは振り返った。



「ンうゥ……、ショーリねえェ」

「そうだな。Jリーグを知らないとシャレにならないかな」
 ショーリは一人で納得している。


「ええェ……」

「つまりサンタちゃん。Jリーグに川崎フロンターレって、チームがあるんだよ。
 だから川崎勝利って言うと、漏れなくフロンターレのサポーターに間違われるんだよ」



「ふぅン……」

「ほら、オレはどっちかって言うと湘南ベルマーレのサポーターだからさ」




「湘南……?」

「いやいや、女子は基本、サッカーは日本代表しか知らないから」
 私は、サンタに加勢した。




「そ、横須賀も、さァ……。いっそのこと鎌倉とか逗子とか三浦半島と一緒になって、そっくりまとめて湘南にしちゃえば」



「はァ、なに言ってるのよ」

「だって過疎化が心配なら合併して湘南にすれば、百万都市になって横浜と対等に闘えるじゃん。
 打倒、横浜!」
 ショーリは拳を握りしめアピールした。



「闘わねえェよ……。ッていうか。何で闘うんだよ。横浜と」


「だからさ。横須賀は横浜の永遠のライバルだと思ってるじゃん」

「思ってねえェよ……。どんだけ思い上がってるんだよ。周回遅れも良いトコだろう。もう何周、離されていると思ってるのよ」




「わかってるよ。だって過疎化してるんだろ。もう絶望的じゃん。横浜を追いかける気力もないんだろう」



「ハイハイ、もう過疎化の事は、ここで話してても埒が明かないから。今夜はサンタの話しを聞くために来たんだからさ」

「フフ……」サンタも苦笑いをした。




「ねえェ……、焼きソバ食う?」
 ショーリは性懲りもなくサンタに話しかけた。








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