ビジュアル系弁護士✨💕シンゴ✨✨💕『ラストソングは歌えない』✨💕 鳴かぬなら裁いてくれようホトトギス✨💕天に代わってお前の悪事を

秩父クリス✨💕

第９話 秩父クリス✨

　オレは散らかった部屋の中を片づけながらクリスに言った。



「この前……、会った時、ユウキは自殺するような素振りを見せなかった」
　少なくともオレの目には。


「そう、でもそれは､きっとプライドでしょう。
　彼の……。
　親友のアナタにも弱みを見せまいとして……」
　クリスの言葉が剣のようにオレの胸を貫いた。


「うゥ……」そう言われると返す言葉が見つからない。


「男は見栄とプライドと嫉妬の生き物なんでしょ」

「ン……、どこのドラマだよ。日曜劇場か？！」



「そうそう、どんなに近くに居ても結局は本人じゃなきゃァ､わからないからね。
　いっくら順風満帆に行ってると思っても､自ら命を絶っちゃうし……」
　半分茶化すようにヒデは苦笑いを浮かべ嘆いた。



「ン……」
　確かに最近､人気の芸能人にも自殺する人が多い。

　傍《はた》から見れば成功して､羨望の眼差しで見られているような芸能人なのに。



　見栄やプライドがあるため他人には相談できず、自死を選ぶパターンが見受けられる。


　だが､それでもオレは信じられない。



「ユウキは『お母さん思い』だったンだ……
　お母さんを一人遺して､先に自ら死ぬなんて……」


「そうね……。でも遺書があったから」
　クリスも辛そうに応えた。


「そうか……。じゃ、その遺書を見せてくれよ。
　いったいどんな内容の遺書だったンだ……」



「無理よ。そんな証拠品を……　シンゴみたいなワケのわからないビジュアル系ミュージシャンに……
　おいそれと､見せられるワケないでしょ！！」


「ぬゥ、オレは弁護士だ！！」



「じゃ……、お母さんに頼めば？！」


「お母さん……　そうか。ユウキの」
　
「ええ、きっと証拠の遺書も返っているはずよ」


「そうか。解った！　行こう！！」
　さっそくオレたちはユウキの実家へ向かうことにした。







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