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ダイイングメッセージは『81』
金倉金造《かねくらキンゾウ》
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戦後最大級と言われる台風が美浦半島を直撃していた。
耳をつんざくような雷鳴が轟いた。
どしゃ降りの雨の中、八神一は金倉金造の邸宅を訪ねた。
何度もインターフォンを鳴らすが反応はない。
無理もない話しだ。
暴風雨でインターフォンの音もかき消されているのだろう。
「チィッ」思わずハジメは舌打ちをした。
できればこの屋敷の門は二度とくぐりたくなかった。
父親の金倉に頭を下げるくらいなら死んだ方がマシだと思っていた。
金倉金造は女好きで有り余る財産を盾に、若い女と結婚離婚を繰り返していた。
八神ハジメの母親とも三度目の結婚をした。
だが子供が出来ると若い愛人のマリアにうつつを抜かした。
その後、母親を追い出しマリアと四度目の再婚を果たした。
以来、父親の邸宅へは来たことがなかった。
けれども八神一は苦渋の選択を強いられた。
たったひとりの肉親の母親が倒れ、その治療費に莫大な金がかかるのだ。
ハジメはどうしても大金が必要だった。
唯一のツテが十年前に追い出された父親の金倉金造だった。
自分の趣味や愛人には湯水のように金を使うが、別れた母親には雀の涙の慰謝料しか渡さなかった。
だが他に借金のアテはない。
じくじたる思いで、ハジメは父親の金倉邸を訪ねた。
傘などなんの役にも立たない。
全身ずぶ濡れの状態だ。
約束の時間の三十分前。
屋敷の当主、金倉金造は自分には甘いが、時間にはうるさい男だ。
少し遅刻しただけで、烈火のごとく激怒した。
ハジメも嵐なのでかなり前に家を出た。
再度、インターフォンを鳴らすと、家政婦の八田一子が重いドアを開けてくれた。
「申し訳ありません。ハジメ様」
相変わらずキレイな人だ。
金倉は借金で首の回らないキャバ嬢や風俗嬢を愛人にしているのだ。
おそらく美人家政婦の八田一子も大金で雇われたのだろう。
金倉金造は別名、『美浦のドンファン』と呼ばれていた。
耳をつんざくような雷鳴が轟いた。
どしゃ降りの雨の中、八神一は金倉金造の邸宅を訪ねた。
何度もインターフォンを鳴らすが反応はない。
無理もない話しだ。
暴風雨でインターフォンの音もかき消されているのだろう。
「チィッ」思わずハジメは舌打ちをした。
できればこの屋敷の門は二度とくぐりたくなかった。
父親の金倉に頭を下げるくらいなら死んだ方がマシだと思っていた。
金倉金造は女好きで有り余る財産を盾に、若い女と結婚離婚を繰り返していた。
八神ハジメの母親とも三度目の結婚をした。
だが子供が出来ると若い愛人のマリアにうつつを抜かした。
その後、母親を追い出しマリアと四度目の再婚を果たした。
以来、父親の邸宅へは来たことがなかった。
けれども八神一は苦渋の選択を強いられた。
たったひとりの肉親の母親が倒れ、その治療費に莫大な金がかかるのだ。
ハジメはどうしても大金が必要だった。
唯一のツテが十年前に追い出された父親の金倉金造だった。
自分の趣味や愛人には湯水のように金を使うが、別れた母親には雀の涙の慰謝料しか渡さなかった。
だが他に借金のアテはない。
じくじたる思いで、ハジメは父親の金倉邸を訪ねた。
傘などなんの役にも立たない。
全身ずぶ濡れの状態だ。
約束の時間の三十分前。
屋敷の当主、金倉金造は自分には甘いが、時間にはうるさい男だ。
少し遅刻しただけで、烈火のごとく激怒した。
ハジメも嵐なのでかなり前に家を出た。
再度、インターフォンを鳴らすと、家政婦の八田一子が重いドアを開けてくれた。
「申し訳ありません。ハジメ様」
相変わらずキレイな人だ。
金倉は借金で首の回らないキャバ嬢や風俗嬢を愛人にしているのだ。
おそらく美人家政婦の八田一子も大金で雇われたのだろう。
金倉金造は別名、『美浦のドンファン』と呼ばれていた。
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