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――とうとう黒のダンジョンへの突入――

ドラゴンが俺の体にスリスリしてくる

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 ユーチャが魔法を発動させると刃が一気に鉄の玉になった。何百もの鉄球がコロコロと転がる。
 そういやさっきもこの魔法で刃が球体になったんだった。
 完全に忘れてた。

「これで取りに行けるの」
「さんきゅな。何が入っているかなー? ん?」

 中に入っていたのは卵だった。それも普通のデカさじゃない。ダチョウの卵を見たことあるけど、それよりも一回り大きいぞ。

「え」
 俺が卵を持ち上げると、ぴきぴき、と卵が割れていく。なんだ、何が生まれてくるんだ……!?

「きゅ」
「う――!!!」

 生まれてきたのは真っ黒のドラゴンだった。すでにイグアナぐらいの大きさがある。
「きゅう、きゅ」
「な」
 ドラゴンが俺の体にスリスリしてくる。
『ドラゴン族は最初に見たものを親と思うんだ。それしきの事も知らんのか』
 いつも俺の頭の上か肩の上に乗って惰眠をむさぼっているタマが言う。

「ど、どうしよ……」
「連れていくしか…ない。ここに置いて行くと、餓死してしまう……」

「ですよね! ねんの為にミユクを飲ませるか」
「ミユクー、ユーチャも呑みたいのでつ」

「そうだな。ここらで休憩を取るのもいいじゃろ」
 そう言う子どもたちに、『亀仙人ロウスイ』さんが提案をした。

「じゃあ俺たちも一杯やるか!」
 『ファイヤーボム』が当たり前のように酒を取り出す。
 
 子ドラゴンに小皿に入れたミユクを差し出すと美味しそうに飲んだものの、どこか不機嫌さを感じる。

「まさか……」
 俺はインベントリからエンチャントドラゴンを取り出し、尻尾の部分を切り取る。 それを小皿に乗せると、目をキラキラさせて食べはじめる。

「へぇ、幼体なのに肉も食えるんだな」
「俺たちにも分けてくれよ。つまみにするから」
「ダンジョンの中でお酒は駄目ですよ!」

「きゅーぅきゅーぅ」
 尻尾を食べ終わったドラゴンが俺の体にすり寄ってくる。
 か、可愛いな。
「ドラゴンちゃんだけずるいの! ユーチャもすりすり!」
「マーチャもー!」
「ケンチャもなの!」
「キーチャも……」
 チビ達もすりすりしてくる。

「飼うからには名前をつけないとな。
 何がいいだろ? ドラゴンだからドラゴとか?
 駄目だやっぱり俺にはセンスが無い。
 ここは無難にクロにしておこう。

「よし、今日からお前はクロだ。仲良くしてくれよ」
 頭を撫でると気持ちよさそうに目を閉じた。
『『なでなで』のレベルが8上がりました。ステータス合計は90です』

 ウインドウが出てそう告げる。8も上がったのか! 普通だったらなでなで出来る種類じゃないからかな?

「ぷはー。ミユクおいちいのー」
「うん……。不要なアイテムだと思っていたけど…美味しい……」
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