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――とうとう黒のダンジョンへの突入――

全員で戦場へ

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「しょうがないのぉ、行くしかないじゃろ」
 アステリアが腕を組んだ。
「だが、ワシに命令したことを爪の先から心臓まで後悔させてやる」
「……今のお言葉は利かなかったことにします。ユイ様、扉を開いてください」

「え? 俺が?」
 なぜか指名されてライオンの扉を開いた。

「あれ? 魔法陣がある」
 昨日は無かったはずの魔法陣だ。ただっぴろかった一階は、六畳ほどの部屋まで小さくなっていた。

「その魔法陣はユイ様が下られた36階まで続いております。皆さま、お入りください」
「やっと大物と戦えそうね」
 シスター、マリアがまず入った。光の柱が伸び、すぐにその姿は消えてしまう。
「ユーチャ達も行くの!」
 パタパタと子ども達が行こうとして「待て、一緒にいくぞ」ガンツさんが四人を抱きとめて一緒に魔法陣へ乗る。

 居残りはサカズのチームのBランクの女の子だけだ。どちらも少し派手目だが可愛い。
 絶対あいつ顔で仲間を選んだな。

「さぁ、ユイ様も魔法陣へ」
「あぁ」

 魔法陣に乗る――と、「うわああああ」めちゃくちゃ早いエレベーターに乗ってるような速度で下り始めた。

 ここの魔法陣ってこんななの!?
 着地したら死ぬじゃねえか!
 と1人阿鼻叫喚してたけど、目的地に近付くとふわりと停止した。

「ユイ」
「これで全員集まったわね」
 付いた場所は魔法陣があるだけの小部屋だった。皆のランプでかろうじて見える程度。これじゃ戦いに不利だ。

「『マワ・リヲ・テ・ラス』」

 呪文を使うと狭い部屋が一気に明るくなった。
「な――――!」
「なによこれ、こんな魔法見たことない!」
 ジュリアが怒ってるのか驚いてるのかわからない感じで俺に迫ってくる。

「昔からあった魔法だと思うぞ。俺の両親から受け継いだからな」
 嘘だけど。
「こりゃ助かるぜ。ランプを持つ必要がないからな」

 皆持っていた灯りをその場に置いた。
「良かったら俺が預かりましょうか? またここに取りに来るのはめんどうでしょ?」
「ん? あぁ、捨てるつもりで置いたんだけどな。そうしてもらえると助かるぜ。なにせインベントリが埋まっちまっててよ」
 全員の灯りを集める。


 続く扉を開くと――。



「うわあああまたこんな状態かよ!」
 小声ながら叫んでしまう。モンスターがぎゅうぎゅう詰めになっていたのだ。

「魔素が高すぎてモンスターが増え続けているのね。素敵」
 マリアさんがウットリと言う。貴方ホントに聖職者ですか!?

 開いたドアにモンスターたちが雪崩れ出てくる。
「全面盾展開『アダージェット』」

 まずはキーチャが盾を広げてくれた。ほぼ同時に黒いシーツのようなモンスターが盾に阻まれる。

「では、次はわたくしが」
 マリアさんが掌から光を走らせる
「聖呪文『愛のあいさつ』」
黒いモンスターが一瞬で砂みたいになって溶けて行った。しかも範囲攻撃だ。一直線上に居た闇属性モンスターが全部消えていく。
 3メートルぐらいあるゴーレムの影みたいなモンスターまで一撃で消え去った。

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