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不穏な戦いの予感
「全員の記憶をいじったと言うのは本当か?」
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「え!? ぜんっぜん違いますよ! なんでそんな勘違いを……?」
『しかし私でも君たちのウインドウが読み取れないんだ。君も、召喚獣たちも、そして後ろの二人の少女のウインドウも、ガンツのステータスさえ、パーティーに入った瞬間見えなくなった』
え? そなの?
『ウィンドウにはその者の弱点さえ掛かれている。そのステータスを隠すだけで戦況がまるで違ってくる』
『一般の兵士ではウインドウを隠すことさえできない、勇者でさえ自分の分を隠すのがせいぜいだ。パーティー全体をカバーするほどのバカげた力を持つのは『神々に愛されし勇者』だとしか思えない』
「と、とにかく、それは俺じゃありませんよ。大体前提が間違っています。俺はただの保父で勇者じゃない。この子たちを守るだけの存在です。あと勉強教えたりとか」
『そうか……』
あ、この人もキリさんと同じ表情をしている……信じて無いな。無理も無いだろうけど。
「それよりもわしとの話が先だろうが!!」
アステリアがグイっと俺たちの間に割り込んできた。
「あ、忘れてた。というか、ここに居ていいのか? 本業は大丈夫?」
こそっと耳打ちしていまう。
「大丈夫だ。この世界が生まれて滅ぶまでなぞ、わしに取っては一夜の夢にしかすぎん」
「そ、そいういうもんなのか……さすがハブ神様」
ご、と手に持っていた杖で頭をはたかれてしまう。
「ハブ(蛇)の神様みたいないい方をするな! わたしの名はアステリア。貴様が付けた名前じゃろうが!」
「全員の記憶をいじったと言うのは本当か?」
「ああ。ここに居るメンバーから神々、そして街の人までな。お前がフェアリーパテラに入る前からパーティーを組んだことになっておる」
ってことは俺がこの世界に来た瞬間からのパーティーってことか。なるほどな。
ルビーがユーチャを抱いて、俺たちの間にぐっと割り込んだ。
「私達はパーティー……内緒話、よくない……」
「あ、それもそうだな。アステリアのことは知ってるよな」
「仲間…知ってるに決まってる」
「ピンクの髪がユーチャとおなじなの!」
「おう、そうじゃの。ピンクは可愛くて自分でも気に入っている。むろんお前のピンクもな」
「マーチャたちは嫌いなの……?」
「馬鹿なことをいうな。全員可愛いぞ」
「よかったのー」
「えへへへへー」
「の」
チビ四人がアリステアの周りを取り囲む。
アステリア、見た目の年齢は幼くとも、色んな世界を見てきた神様だけある。勇者パーティを簡単に篭絡するんだからな。
まあチビ達が人懐っこすぎるってのもあるんだけど。
「さっきはおかしな事をいっていた…まるでアステリアがいなかったみたいな……」
じーとルビーの視線が刺さる。
「あ、えーとそーの、宿で待ってるって勘違いしててな」
俺の苦しい言い訳が終わると、ガンツさんが動いた。
「ダンジョンに行く前に小さなクエストをこなしてみないか? オレには君たちの力量が未知数だ。君たちにとってもオレの力がわからないだろう? 仲間が入ったら、チュートリアルクエストはパーティーの連携を取るためにも必須だ。お互い後ろから撃たれたくからな」
なるほどなー! さすがSランク、戦いに関しての練度が違うって言うのかな、こういうの。
「いい案ですね! 足手まといにだけはならないようにしますので、こちらこそよろしくお願いします」
「えーめんどいのー。ワシは休養したいのじゃー」
俺にとってはアステリアの実力さえ謎なんだよ! 引っ張ってでも連れて行くからな!
『しかし私でも君たちのウインドウが読み取れないんだ。君も、召喚獣たちも、そして後ろの二人の少女のウインドウも、ガンツのステータスさえ、パーティーに入った瞬間見えなくなった』
え? そなの?
『ウィンドウにはその者の弱点さえ掛かれている。そのステータスを隠すだけで戦況がまるで違ってくる』
『一般の兵士ではウインドウを隠すことさえできない、勇者でさえ自分の分を隠すのがせいぜいだ。パーティー全体をカバーするほどのバカげた力を持つのは『神々に愛されし勇者』だとしか思えない』
「と、とにかく、それは俺じゃありませんよ。大体前提が間違っています。俺はただの保父で勇者じゃない。この子たちを守るだけの存在です。あと勉強教えたりとか」
『そうか……』
あ、この人もキリさんと同じ表情をしている……信じて無いな。無理も無いだろうけど。
「それよりもわしとの話が先だろうが!!」
アステリアがグイっと俺たちの間に割り込んできた。
「あ、忘れてた。というか、ここに居ていいのか? 本業は大丈夫?」
こそっと耳打ちしていまう。
「大丈夫だ。この世界が生まれて滅ぶまでなぞ、わしに取っては一夜の夢にしかすぎん」
「そ、そいういうもんなのか……さすがハブ神様」
ご、と手に持っていた杖で頭をはたかれてしまう。
「ハブ(蛇)の神様みたいないい方をするな! わたしの名はアステリア。貴様が付けた名前じゃろうが!」
「全員の記憶をいじったと言うのは本当か?」
「ああ。ここに居るメンバーから神々、そして街の人までな。お前がフェアリーパテラに入る前からパーティーを組んだことになっておる」
ってことは俺がこの世界に来た瞬間からのパーティーってことか。なるほどな。
ルビーがユーチャを抱いて、俺たちの間にぐっと割り込んだ。
「私達はパーティー……内緒話、よくない……」
「あ、それもそうだな。アステリアのことは知ってるよな」
「仲間…知ってるに決まってる」
「ピンクの髪がユーチャとおなじなの!」
「おう、そうじゃの。ピンクは可愛くて自分でも気に入っている。むろんお前のピンクもな」
「マーチャたちは嫌いなの……?」
「馬鹿なことをいうな。全員可愛いぞ」
「よかったのー」
「えへへへへー」
「の」
チビ四人がアリステアの周りを取り囲む。
アステリア、見た目の年齢は幼くとも、色んな世界を見てきた神様だけある。勇者パーティを簡単に篭絡するんだからな。
まあチビ達が人懐っこすぎるってのもあるんだけど。
「さっきはおかしな事をいっていた…まるでアステリアがいなかったみたいな……」
じーとルビーの視線が刺さる。
「あ、えーとそーの、宿で待ってるって勘違いしててな」
俺の苦しい言い訳が終わると、ガンツさんが動いた。
「ダンジョンに行く前に小さなクエストをこなしてみないか? オレには君たちの力量が未知数だ。君たちにとってもオレの力がわからないだろう? 仲間が入ったら、チュートリアルクエストはパーティーの連携を取るためにも必須だ。お互い後ろから撃たれたくからな」
なるほどなー! さすがSランク、戦いに関しての練度が違うって言うのかな、こういうの。
「いい案ですね! 足手まといにだけはならないようにしますので、こちらこそよろしくお願いします」
「えーめんどいのー。ワシは休養したいのじゃー」
俺にとってはアステリアの実力さえ謎なんだよ! 引っ張ってでも連れて行くからな!
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