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――ふたたびギアスへ――

『猫館』の主人を連れてきて欲しいの

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 宿に戻って酒で騒いでもいいんだけど――「ユイ」

 カレンさんに呼び止められた。

「はい? 何か御用っすか?」
「貴方に『猫館』の主人を連れてきて欲しいの。これはギルド全体からの要望よ」
「猫館?」

「ええ。Aランクが2組とSランクが挑戦したけど主人の元にさえたどり着けさえしなかった」
「ええええ!? 俺らDランクですよ!? Sが攻略できなかったダンジョンなんてとても……!!」
「猫、好き?」
「え、ええ、まぁ、好きですが……? 」

 唐突に質問が変わって頭が付いていかない。が、実家では保護猫を四匹飼っているぐらいだ。嫌いなはずがない。

「主人のもとにたどり着くには、その猫ちゃん達に好かれなきゃ駄目なのよね。ほかのチームではそれが出来なかったの」
「ああ、猫に好かれる自信ならありますよ」
「ネコ型モンスターにも好かれそうだしね」
「も、モンスター? 居るんですか?」
「えぇ。この国にいるすべての種のネコ型モンスターが『ツガイ』で主までの道を守ってるの。館には、館に住む猫を一体でも傷つけたら、その瞬間に屋敷の前に戻っちゃう呪いが欠けられてる。Sランクの連中はモンスターに攻撃を加えてしまったんでしょうね。貴方達ならひょっとして、と思って。これが屋敷までの地図ね。頑張って頂戴」

「ね、猫に好かれる自信はあってもモンスターに好かれる自信はありませんよ!!?」
「ユーチャ、にゃんこだいしゅきなの」
「リライオンにゃんこいるかなー?」
「マーチャはパンサちゃんちゅき!」
「キーチャ、ぜんぶすき」
「私もネコは嫌いじゃない……。ふかふかも……ふにふにも……」

 うーん、全員が乗り気になっちゃってるな。カレンさんも引いてくれ無さそうだし、行けるところまでいってみよう。

「分かりました。依頼を完遂できるかはわかりませんが、全力を尽くしますよ」

「ありがとう、幸運を祈るわ……あの屋敷、普通のネコでさえ敵意丸出しで襲ってくるからSランクでも厄介なダンジョンなのよね。くれぐれも攻撃はしちゃ駄目よ。モンスターが相手でも、『回避』で何とかしてね♡ ユイ」


 え――――!!!
 そ、そんなの無理すぎるような……どうすれば……!

「猫のお屋敷ならケンチャの魔法でプーンよも」
「よもか……。いや、その前に、集めたいものがあるんだ。この街に道具屋はあるか?」
「ある。こっち……」
 ショルダーバッグのように弓を自分の体に引っ掛けたルビーが歩き出す。
「弓と矢、荷物になるだろ? 俺が預かろうか?」
「必要ない。武器は私と一心同体にある……なければならない……」
「そうか……」

 確かに、俺と別行動の時丸腰じゃ落ち着かないよな。こんな世界じゃ。
「でも、こっちは預かっててほしい」
 袋をずい、と渡された。今回の報酬だ。
「おっけー」

「ここ、おどーぐ屋さんなのー! んー、色んな香りがするのー」

 ユーチャがふわふわ浮きながら鼻をスンスンしている。
 確かに、香料や雑貨、漢方薬っぽい匂いまでが入り混じっていた。

「ゆ、勇者さま!? いらっしゃいませ、さっきの戦闘拝見しておりました、まさかお一人であそこまで……!」
「一人じゃありませんよ。皆が居たからできたことです。あの、ここに――――は置いてませんか?」
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