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――ふたたびギアスへ――
「勇者さま……? 本物だ! ゲルを倒した勇者さまだ!!」
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それにハードルを上げないでください。俺はスライム相手に死ぬんだからね!
「勇者さま……? 本物だ! ゲルを倒した勇者さまだ!!」
「勇者さまが居るなんて心強い……!」
「おお、勇者さま、まだこの街にいらっしゃったとは……!」
「この戦い、勝ったも同然だ!!」
周りが一気に色めきだつ。
完全に勇者扱いになっちゃったよ。どうするんだよこれ。俺が死んだら士気が下がるどころか瓦解するんじゃないか? モブランクの戦闘力なのに期待が重すぎる。
戦いは盾部隊、弓部隊、魔法部隊、剣部隊と四層で展開するらしい。
モンスターの魔法の攻撃は人間の魔法より遠くまで届くからだ。
盾部隊で最初の攻撃を食い止め、次に弓矢部隊が迎え撃つ。魔法は詠唱が長いし、遠くから撃つと威力が弱まるから引き寄せてからの攻撃だ。そして最後に俺たち近接が迎え撃つ。
「わたしは弓使い達と動く。死ぬことは許さない……ユイ……」
「善処するよ」
「マーチャは魔法使いさんのとこに混じるのー」
「キーチャも、盾部隊にいく……」
第一陣がキーチャ達盾部隊、
第二陣がルビー達弓部隊、
第三陣がマーチャとケンチャが混じった魔法部隊で、俺たち剣士組は第四陣だった。フルアーマーさん達もここだ。
「あれ? 『竜の尾』はいないんですか?」
ガンガスさんに聞くと、
「あいつらならとっくに逃げたぞ。口ばっかだからなあ。Bランクに行けたこと事態が奇跡みたいな連中なんだ」
えー。Bランクって威張ってたのにそりゃないだろ……。
モンスターたちの影がはっきりと見え始めた。多い。少なく見積もっても百体はいる。飛んでいる魔物もいるし、しかも体が山のように巨大なモンスターまでも!
「敵の攻撃が来る! 盾部隊、構え!!」
陣のあちこちに敷かれた伝達用の魔法陣から司令官の声が響く。
「多重シールド『タンホイザー』」
敵も味方も関係なく大勢の咆哮が響き渡るのにキーチャの声だけははっきりと聞こえた。
何十もの盾が空中に出現する。
「え……!?」
盾部隊も狼狽したようだが、モンスターの攻撃が盾に当たると攻撃がすべて敵に反射された。
「うおおお、すげええ」
「これが反射盾か……初めて見た……!!」
倒れた魔物は数十匹にも上るのに、魔物たちはそれを踏み越えこちらへ攻め込んでくる。
「次はルビーちゃん達なの」
盾部隊が広がり、弓部隊が前に出る。
「弓部隊構え――――放て!!!」
「千の矢『カヴァレリア・ルスティカーナ』」
弓部隊の中ではルビーが一番身長が低い。小柄な彼女の持つ弓からは一本の矢が放たれ、一気に千本に膨れ上がって魔物の大群を襲った。
ギャアアとかん高かったり、地の底から響く低音だったり、モンスターの叫び声が戦場に響く。
「すげえ……さすが勇者パーティー…女なのにこの強さか……」
「このぐらいは当然…」周りの賞賛など気にも留めずルビーが下がる。
「勇者さま……? 本物だ! ゲルを倒した勇者さまだ!!」
「勇者さまが居るなんて心強い……!」
「おお、勇者さま、まだこの街にいらっしゃったとは……!」
「この戦い、勝ったも同然だ!!」
周りが一気に色めきだつ。
完全に勇者扱いになっちゃったよ。どうするんだよこれ。俺が死んだら士気が下がるどころか瓦解するんじゃないか? モブランクの戦闘力なのに期待が重すぎる。
戦いは盾部隊、弓部隊、魔法部隊、剣部隊と四層で展開するらしい。
モンスターの魔法の攻撃は人間の魔法より遠くまで届くからだ。
盾部隊で最初の攻撃を食い止め、次に弓矢部隊が迎え撃つ。魔法は詠唱が長いし、遠くから撃つと威力が弱まるから引き寄せてからの攻撃だ。そして最後に俺たち近接が迎え撃つ。
「わたしは弓使い達と動く。死ぬことは許さない……ユイ……」
「善処するよ」
「マーチャは魔法使いさんのとこに混じるのー」
「キーチャも、盾部隊にいく……」
第一陣がキーチャ達盾部隊、
第二陣がルビー達弓部隊、
第三陣がマーチャとケンチャが混じった魔法部隊で、俺たち剣士組は第四陣だった。フルアーマーさん達もここだ。
「あれ? 『竜の尾』はいないんですか?」
ガンガスさんに聞くと、
「あいつらならとっくに逃げたぞ。口ばっかだからなあ。Bランクに行けたこと事態が奇跡みたいな連中なんだ」
えー。Bランクって威張ってたのにそりゃないだろ……。
モンスターたちの影がはっきりと見え始めた。多い。少なく見積もっても百体はいる。飛んでいる魔物もいるし、しかも体が山のように巨大なモンスターまでも!
「敵の攻撃が来る! 盾部隊、構え!!」
陣のあちこちに敷かれた伝達用の魔法陣から司令官の声が響く。
「多重シールド『タンホイザー』」
敵も味方も関係なく大勢の咆哮が響き渡るのにキーチャの声だけははっきりと聞こえた。
何十もの盾が空中に出現する。
「え……!?」
盾部隊も狼狽したようだが、モンスターの攻撃が盾に当たると攻撃がすべて敵に反射された。
「うおおお、すげええ」
「これが反射盾か……初めて見た……!!」
倒れた魔物は数十匹にも上るのに、魔物たちはそれを踏み越えこちらへ攻め込んでくる。
「次はルビーちゃん達なの」
盾部隊が広がり、弓部隊が前に出る。
「弓部隊構え――――放て!!!」
「千の矢『カヴァレリア・ルスティカーナ』」
弓部隊の中ではルビーが一番身長が低い。小柄な彼女の持つ弓からは一本の矢が放たれ、一気に千本に膨れ上がって魔物の大群を襲った。
ギャアアとかん高かったり、地の底から響く低音だったり、モンスターの叫び声が戦場に響く。
「すげえ……さすが勇者パーティー…女なのにこの強さか……」
「このぐらいは当然…」周りの賞賛など気にも留めずルビーが下がる。
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