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――ふたたびギアスへ――
防具を買いに行こう
しおりを挟む――街へ帰ろう――
「あ、おかえりなさいませ勇者さま! 無傷のようで何よりです。さっすがですね!」
ギルドに帰ると、猫耳のキリさんに褒められてしまった。
「スライムを倒したのはほとんどチビ達とルビーですけどね……。あ、そだ、カレンさん、ここで薬草の買い取りはしてもらえますか? カラの瓶、ヒノキの棒、スライムの欠片もあるんですけど」
「ええもちろんよ。出して」
「はい。まずは俺のインベントリから……」
バサバサ音を立てて薬草が積みあがっていく。最終的に天上に付きそうなぐらいの量になってしまった。
「な、こ、こんなにですか!?」
キリさんが驚いて眼鏡を上げる。
「まだありますよ」
子供を抱き上げて振ると、打ち出の小槌さながらに大量の薬草が出てきた。
「ちょ――! 待って待って、どれだけあるの!?」
「後千個ぐらいかな?」
「せ……」
「マーチャ、キーチャ、ケンチャ、向こう側にカラのポーション出して」
「はいですの」
こっちもピラミッド状にポーション入れが溢れていく。
「待って待って待って! ここに入りきれませんよ! 数えなきゃだし」
「キリ、期待してるわよ」
カレンさんが笑う。
「はい! キリ、全力で1つの誤差も出さずに計算して見せます!」
「ヒノキの棒はどこに出せばいい?」
「店の前でお願い。もうここにスペースが無いんだもの」
「ひいいい……!」キリさんが悲鳴を上げた。
☆――
「はぁ、はぁ、」
キリさんが息せき切らせてる。
「薬草7032個、カラのポーション2080個、ポーション380個ヒノキの棒180本! その他もろもろ130個! 桁が違いますよ勇者さま! 採取しすぎです!」
「ごめんごめん。スライムのドロップ品だよ。一万匹以上いたからなぁ」
「そ、そんなに……!? ならこの量も納得です」
「薬草とカラのポーションは錬成術師のところに持って行って。ポーションにしてくれるわ。売れ残ったらレストランや雑貨店に回して。ヒノキの棒は……そうね、武器屋と木工師に引き取ってもらいましょうか」
「かしこまりました! 早速手配いたします」
ビシッと敬礼して品物を手に走り出した。
「はい、これがダンジョン攻略の報酬と、こっちが買取したアイテムの金額ね。どうする? 持ち歩く? 不安ならここで預かるけど」
「え、そんなこともできるんですか?」
「ええ。引き出すときは全国のどこのギルドでも引き出せるわ。便利でしょ?」
「すっげー便利ですね。そうしてください。こんな大金を持ち運ぶのは怖いので……。ルビーはどうする? 持ち歩くか?」
「え? ……わたし…?」
「うん。分け前は半分こな」
「わたしは必要ない……。勝手に、ユイについてきただけだから…」
「そんなわけいくかよ。はい、半額。ルビーは俺よりずっと役に立ってるんだから遠慮しないでくれよな」
「……、あ、ありがとう……」
庭掃除でもらった報酬だけでもしばらくは楽に生活できるからな。
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