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都市、ギアス
モンスター、『ゲル』
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「お兄ちゃ、勝ったのー」
「おめでとうございますなの」
「おめでとーの!」
「の……」
4人が俺の周りを飛び回る。
「あぁ、ありがとうな。ん?」
インベントリに薬草が20個も入っていた。いつの間に拾ったんだろ? 森を歩いてた時にかな?
薬草は『ちょっと回復する。食べても美味しい』と説明が出た。へー、美味しいのか。サラダにしてみようかな。
「きゃああ……」
「モンスターだ、モンスターが出たぞ!」
「みんな逃げろ! 衛兵はまだか!! 冒険者はいないのか……!!?」
「逃げろー!」
突如としてあたりが騒然としだした。街の人たちが散り散りに逃げまどっている。
遠くで悲鳴が聞こえた。こちらに近づいてくるようだ。
「モンスターだと?」
「あ、あなたたち、Bランクの『竜の尾』様ですよね! 街のはずれにモンスターがでたんです、どうかお助けください……!」
ひらひらした服を着た可愛い女の子が銀髪の男に縋りつく。
「あぁいいだろう。報酬は貰うがな」
何を報酬にする気だ。次から次に女の子を欲しがるなんてエロ魔人め。
「モンスターのね。マーチャが行くの」
「おい! 衛兵とBランクがいるんだからそっちに任せておけ! お前は子供なんだぞ!」
「お兄ちゃ、いっちょにビビアン使うの。お兄ちゃとマーチャで止めるのー」
「わたしも……行く」
「おい、待て!」
ユーチャもマーチャも羽を使って飛んでいく。ルビーまでも走り始めた。
俺も慌てて後を追う。
どうか低ランクの相手でありますように!
「――――――!!!!」
モンスターは想像していたよりはるかに大きかった。大通り一杯に広がっている。
透明なゲル状の物体で、中には数えることさえおっくうになるぐらいの眼球が蠢いている。しかも大きさはバスケットボールぐらい。
――ゴブリンとかウルフとかじゃないのかよ! なんだこの物体! キモイ、キモ過ぎるぞ!
「ゲルだと……!」
Bランクズが叫ぶ。
「こ、こんなの相手にできるわけねえ……! 街に出ていいモンスターじゃねぇぞ……!!!」
全員へっぴり腰になり、その場に尻もちをついた。
そんな男たちにゲルと呼ばれた化け物は体を持ち上げ覆いかぶさろうとするが――
「星屑の矢『スターダストアロー』!」
ルビーが弓を引く。放たれた矢は星型のきらめきの尾を引きながらゲルを襲った。
放った矢は一本だったのに、何十にも分裂していくつもの目玉を貫いた。
「な――」
俺も驚いたけどBランクズも驚いている。
さすがAランク! こんなこともできるのか。
「人が飲まれてる……!!」
ゲルは、ゼリーにも似た体内に街の人を呑み込んでいた。口から泡を吐きながらじたばたもがいて逃げようとする人、口を押えて窒息寸前になってる人、気を失ってだらんと浮いてる人もいる!
「おめでとうございますなの」
「おめでとーの!」
「の……」
4人が俺の周りを飛び回る。
「あぁ、ありがとうな。ん?」
インベントリに薬草が20個も入っていた。いつの間に拾ったんだろ? 森を歩いてた時にかな?
薬草は『ちょっと回復する。食べても美味しい』と説明が出た。へー、美味しいのか。サラダにしてみようかな。
「きゃああ……」
「モンスターだ、モンスターが出たぞ!」
「みんな逃げろ! 衛兵はまだか!! 冒険者はいないのか……!!?」
「逃げろー!」
突如としてあたりが騒然としだした。街の人たちが散り散りに逃げまどっている。
遠くで悲鳴が聞こえた。こちらに近づいてくるようだ。
「モンスターだと?」
「あ、あなたたち、Bランクの『竜の尾』様ですよね! 街のはずれにモンスターがでたんです、どうかお助けください……!」
ひらひらした服を着た可愛い女の子が銀髪の男に縋りつく。
「あぁいいだろう。報酬は貰うがな」
何を報酬にする気だ。次から次に女の子を欲しがるなんてエロ魔人め。
「モンスターのね。マーチャが行くの」
「おい! 衛兵とBランクがいるんだからそっちに任せておけ! お前は子供なんだぞ!」
「お兄ちゃ、いっちょにビビアン使うの。お兄ちゃとマーチャで止めるのー」
「わたしも……行く」
「おい、待て!」
ユーチャもマーチャも羽を使って飛んでいく。ルビーまでも走り始めた。
俺も慌てて後を追う。
どうか低ランクの相手でありますように!
「――――――!!!!」
モンスターは想像していたよりはるかに大きかった。大通り一杯に広がっている。
透明なゲル状の物体で、中には数えることさえおっくうになるぐらいの眼球が蠢いている。しかも大きさはバスケットボールぐらい。
――ゴブリンとかウルフとかじゃないのかよ! なんだこの物体! キモイ、キモ過ぎるぞ!
「ゲルだと……!」
Bランクズが叫ぶ。
「こ、こんなの相手にできるわけねえ……! 街に出ていいモンスターじゃねぇぞ……!!!」
全員へっぴり腰になり、その場に尻もちをついた。
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「星屑の矢『スターダストアロー』!」
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放った矢は一本だったのに、何十にも分裂していくつもの目玉を貫いた。
「な――」
俺も驚いたけどBランクズも驚いている。
さすがAランク! こんなこともできるのか。
「人が飲まれてる……!!」
ゲルは、ゼリーにも似た体内に街の人を呑み込んでいた。口から泡を吐きながらじたばたもがいて逃げようとする人、口を押えて窒息寸前になってる人、気を失ってだらんと浮いてる人もいる!
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