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都市、ギアス
「だからわたしが追放されてきた。セルフ追放で!」
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「……見つけた……このわたしに敗北を味合わせた男……」
「う」
街に入ると同時に、昨日の女の子に道を塞がれた。
俺に絡んできた黒服チームの弓使いの子だ。黒服のフードを目深にかぶり口元をマフラーを巻いている。のに、ズボンはケツのラインが見えそうなぐらい短いショートパンツの子。
「また出た……。誤解は解けたんじゃなかったのか?」
「…………」
女の子がしょんぼりとしてしまう。
「……何かあったのか?」
「昨日……三人が……、『一人パーティーから追放して貴方をパーティーに勧誘しよう』と言い出したんだ……。わたしが一人の時に傍に寄ってきて、こっそりと……。三人……三人ともが三人の中の誰かを追い出したがっていた……」
女の子の瞳に涙が浮かぶ。
「わたしたちは幼馴染で……団結力だけはどんなパーティーにも負けないと思っていたのに……! 簡単に追放すると言い出すなんて……!!!」
下を向いた女の子の瞳からとうとう涙が流れた。
「だからわたしが追放されてきた。セルフ追放で!」
えと、それ追放じゃなくない? 脱退っていうんじゃないかな?
「……わたしを貴方のパーティーに入れて欲しい……。わたしが所属していた『漆黒の闇』はCランクだけど、わたし自身はAAA(トリプルエー)…絶対に役に立って見せる!」
「えと……。」
どうしたらいいんだこれは。説得して元のパーティーに戻すべきか?
「お姉ちゃなら大歓迎なの!」
「泣かないでほちいの。ユーチャの胸までじくじくしちゃうから」
子供たちが飛んで、ハンカチを差し出したり涙でぬれる頬っぺたに頬っぺたを当ててスリスリする。
「いいのか? パーティーを抜けたことを後悔するんじゃないか?」
「…するかもしれない……。でも今は…皆の傍にいる気になれない……」
それもそうかぁ。
けど、あの三人今頃どうしてんのかね。Cランクになれたのはこの子の力おかげだろうし、三人パーティーになって慌ててんじゃないかな。
「じゃあお試し期間ということにするか。戻りたくなったらいつでも戻っていいからな。友達と縁を切ったら結構後悔するからさ」
「いいの!?」
女の子がガバッと顔を上げた。
「うんいいぞ」
「じゃあギルドに行って申請しよう! わたしもパーティー変更の手続きするから!」
また無邪気な言葉に変わり、嬉しそうに俺の腕を引っ張る。
女の子がは、と息を呑む。
「……今のは……わたしじゃない……わたしの中にいるもう一人の私の声……」
真っ赤になった顔をマフラーで隠す。
「はいはい、そういうのいいから」
嬉しいなら素直に嬉しいって言ってくれた方がいい。
「…戦士はいつも冷静でなければ…ならない……」
「その心意気は立派だけどさ。オンオフは切り替えていこうよ」
「……善処……する……勇者殿……」
「ユイでいいよ。第一俺は勇者じゃなくてただの保父だから。勇者はこっち」
あちこち飛び回っているピンク髪のユーチャを捕まえる。
「なぜ…そんなウソをつくのかわからない……。人がスキルの祝福を受けるのは十歳になってからだ。その子たちでは不可能……」
え、そうなの!?
「う」
街に入ると同時に、昨日の女の子に道を塞がれた。
俺に絡んできた黒服チームの弓使いの子だ。黒服のフードを目深にかぶり口元をマフラーを巻いている。のに、ズボンはケツのラインが見えそうなぐらい短いショートパンツの子。
「また出た……。誤解は解けたんじゃなかったのか?」
「…………」
女の子がしょんぼりとしてしまう。
「……何かあったのか?」
「昨日……三人が……、『一人パーティーから追放して貴方をパーティーに勧誘しよう』と言い出したんだ……。わたしが一人の時に傍に寄ってきて、こっそりと……。三人……三人ともが三人の中の誰かを追い出したがっていた……」
女の子の瞳に涙が浮かぶ。
「わたしたちは幼馴染で……団結力だけはどんなパーティーにも負けないと思っていたのに……! 簡単に追放すると言い出すなんて……!!!」
下を向いた女の子の瞳からとうとう涙が流れた。
「だからわたしが追放されてきた。セルフ追放で!」
えと、それ追放じゃなくない? 脱退っていうんじゃないかな?
「……わたしを貴方のパーティーに入れて欲しい……。わたしが所属していた『漆黒の闇』はCランクだけど、わたし自身はAAA(トリプルエー)…絶対に役に立って見せる!」
「えと……。」
どうしたらいいんだこれは。説得して元のパーティーに戻すべきか?
「お姉ちゃなら大歓迎なの!」
「泣かないでほちいの。ユーチャの胸までじくじくしちゃうから」
子供たちが飛んで、ハンカチを差し出したり涙でぬれる頬っぺたに頬っぺたを当ててスリスリする。
「いいのか? パーティーを抜けたことを後悔するんじゃないか?」
「…するかもしれない……。でも今は…皆の傍にいる気になれない……」
それもそうかぁ。
けど、あの三人今頃どうしてんのかね。Cランクになれたのはこの子の力おかげだろうし、三人パーティーになって慌ててんじゃないかな。
「じゃあお試し期間ということにするか。戻りたくなったらいつでも戻っていいからな。友達と縁を切ったら結構後悔するからさ」
「いいの!?」
女の子がガバッと顔を上げた。
「うんいいぞ」
「じゃあギルドに行って申請しよう! わたしもパーティー変更の手続きするから!」
また無邪気な言葉に変わり、嬉しそうに俺の腕を引っ張る。
女の子がは、と息を呑む。
「……今のは……わたしじゃない……わたしの中にいるもう一人の私の声……」
真っ赤になった顔をマフラーで隠す。
「はいはい、そういうのいいから」
嬉しいなら素直に嬉しいって言ってくれた方がいい。
「…戦士はいつも冷静でなければ…ならない……」
「その心意気は立派だけどさ。オンオフは切り替えていこうよ」
「……善処……する……勇者殿……」
「ユイでいいよ。第一俺は勇者じゃなくてただの保父だから。勇者はこっち」
あちこち飛び回っているピンク髪のユーチャを捕まえる。
「なぜ…そんなウソをつくのかわからない……。人がスキルの祝福を受けるのは十歳になってからだ。その子たちでは不可能……」
え、そうなの!?
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