宝石のお姫さま

近衛いさみ

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宝石姫とエルフ

宝石姫とエルフ3

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「まずは、お洋服よね。王子さまに会うには、もっと華やかにしてあげないといけませんね」

 ベリルはパンと手を叩きました。

「で、でも私お洋服なんて持ってません」

 ミイナは動物の皮で出来た、シンプルな洋服を着ています。エルフの一般的な衣装です。

「ここは俺の出番だな」

 メノウが言いました。

「俺は姫さまを手助けするために生まれた精霊だ。姫さまの望んでる物はなんでも形にできるんだよ」

 メノウは右手の指をクルクルと回しました。するとどうでしょう。指の先から光る糸が伸びてきて、洋服を編み始めました。

「出来た」

 あっという間に1着のドレスが出来上がりました。透き通るような薄いピンク色のドレスです。

「わぁー‼︎」

 ミイナは目を輝かせて喜んでいます。

「あら。綺麗ね」

 ベリルも気に入ったようです。ミイナは目の前の不思議な光景に見惚れていました。ドレスはまるで真珠のように輝いています。

「じゃあミイナさんはこれに着替えてください。私が髪の毛を結ってあげますよ」

 そう言うとベリルはミイナの背中を押して、お店の奥に入っていきました。


 しばらくすると、店の奥から着飾ったミイナがベリルに連れられて出てきました。ピンクのドレスを着て、胸にはルビーのネックレスが輝いています。

「似合ってるね。よかった、よかった。すごく綺麗だよ」

 メノウは着飾ったミイナに言いました。ミイナは照れているようです。

「いいですね。これで、王子さまのいる森の国のお城に会いに行けますね」

 ベリルは嬉しそうに言いました。しかし、ミイナの顔はすぐに暗くなりました。

「どうした?」

 メノウはミイナが心配になって聞きました。

「やっぱり、私、ダメです。エルフの私が王子さまに会うなんてできません」

 ミイナは目に涙を溜めて言いました。ベリルもミイナの気持ちになって考えていました。

「では、宝石の力を借りましょうか?私は宝石の中に込められている力を引き出すことができるんです」

「私を人間にできるんですか?」

 ミイナは嬉しそうに聞きました。

「はい。この宝石の力を借ります」

 そう言ってベリルは一粒の宝石を棚から取り出しました。氷のような透き通る青の宝石です。

「ブルークォーツの宝石です。この石で見た目を人間に変えることができますよ」

 そう言うと、ベリルはブルークォーツをミイナの掌にそっと握らせてあげました。
 宝石に語りかけます。

「ブルークォーツの宝石さん。彼女の願いを叶えてあげてください」

 そう言うと、ミイナの手の中のブルークォーツが優しく光始めました。

「ま、まぁ!」

 鏡を見たミイナは驚きました。自分の姿がエルフではなく、人間の姿になりました。特徴の長い耳は、すっかり短くなっています。

「う、嬉しいです。これで、私も人間になれたんですね」

 ミイナは飛び上がって喜びました。

「ええ。では、これで王子さまに会いに行けますね。ちょうど、明日は森のお城でパーティがありますよ」

「で、でも。私なんかが、お城の中に入れるのでしょうか?」

「私に任せてください」

 ベリルはそう言うと、宝石が一つついたネックレスをミイナの首にかけました。

「この宝石はプルームアゲートの宝石です。その名前の由来に羽を持つ宝石です。この宝石の力を借りて空を飛んで行きましょう。私はよく、この宝石と空の旅を楽しんでいるんですよ」

 そう言うと、ベリルはプルームアゲートの宝石に語りかけます。

「宝石さん。今日も一緒にお空を飛びましょう」

 ベリルとミイナの背中に白い翼が生えてきました。まるで天使のようです。

「では、行きましょうか。メノウも来るわよね?」

「もちろん。姫さまが問題を起こさないか、心配ですから」

 メノウは答えました。ベルリは「もう」と頬を膨らませました。

 ベリルはミイナの手を引くと、店の外に出て、そのまま大空へと羽ばたいていきました。
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