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どうしたらいいのか

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朝のことをぐるぐる考えていたら、もう今日最後の授業になってた。時の流れは早いね。

もしかしたら、キスなんてしてないんじゃないかとも考えた。でも思い返してみると、唇の感触は確かに感じたのでキスはしたと思う。

…これ以上考えると危ない。一旦考えるのをやめ、前を向く。
ペンを持ったはいいが話が全然入って来ない。ここで覚えておかないと大変なことになるのに。主にテストが。

無理矢理に意識を授業に集中させる。
だが、ふと見慣れた後ろ姿が見えてしまった。蓮は俺の斜め前にいるからどうしても目に入る。

真剣な顔…かっこいい…。
いや蓮はどんなときでも格好いいな。

さっきまで気を逸らそうと頑張っていたことも忘れ、蓮の後ろ姿に見惚れてしまう。
こうやって一方的に見つめるのは平気なんだけど、会話するとなるとすぐ顔が赤くなって、どうにもできなくなる。

窓から風が吹き抜けて、蓮の艶やかな黒髪が揺れる。そういえば、少しでも蓮に意識して欲しくて、触らせてもらったこともあったなぁ。
そんな好きな人との思い出に浸っていると、俺の視線を感じたらしい蓮がこちらを振り返る。

「見すぎ」
口の形だけで発せられた言葉。俺に見られているのはいつものことなので、蓮も本気で文句を言っているようではなかった。

だが、目が合ってしまった。こうなるともうダメだ。顔が熱い。どうしよう…。
普段の俺だったら笑って返すかなんとかしただろうが、今の俺にはそんなことできず、紅潮した頬を隠すように俯いてしまった。

♦︎

やっと放課後になった。最後の1時間がこんなに長いことあるんだね。
もうほとんどの人が帰ってしまい、教室に残っている人はまばらだ。

周りを執拗に見回している自分に気付く。いつもの癖で蓮を探してしまっていた。
どこを見ても蓮の姿はない。どうやら先に帰ってしまったようだ。

…やっぱり蓮と帰りたかったな。今日はあんまり一緒に居れなかったし。

俺と蓮の家は真反対で本当なら一緒にはならないんだけど、いつも俺が途中まで付いて行ってる。
蓮には無理しなくていいって言われたけど、別に無理してない。蓮との時間が減っちゃうほうが無理。
ちなみに朝は一緒じゃない。蓮の家の前で待ってたときもあったんだけど、「姉貴に見られたらめんどいからやめて」と言われた。
家族に見られるの嫌なのかな。

そんな事を思っていると、ますます蓮が恋しくなる。
はぁ…とため息をつく。
早く蓮と普通に話せるようになりたい。今のままなんて耐えられない。
でも、どうしてもあのことが頭から離れない。

ずっと蓮としか関わって来なかったから、相談できる友達なんていない。
兄弟もいないし、親に話すのはちょっと気が引ける。

うーん…。

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