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Ⅲ
8:いつもそばに
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アビエルは、ドノバンから「騎士の寮に侵入者があり、レオノーラの部屋が荒らされた」と聞いて、背筋がぞくっとした。グレゴールの事件が頭をよぎったの。
これまで、レオノーラと距離を取ることで皇室信望者を刺激しないように努めてきた。
しかし、どんなに距離を置いても、狂信的な者たちは考えを改める気配がないのかもしれない。ならば、むしろ彼女を身近に置き、いつでも守れるようにするべきかと考え、政務の補助をする名目で、彼女を自分の執務室に出仕させることにした。
もっと早くこうするべきだった。帝都にレオノーラが戻ってからの数カ月、一緒に過ごすことを避けていたことを後悔した。毎日、彼女に会える満足感はもちろんだが、レオノーラは自分の周りで働く誰よりも優秀だった。
出仕初日、アビエルは宰相との会議中に、届いた書簡を翻訳しておいてほしいと頼んだ。会議を終えて執務室に戻ると、机に高く積まれていた書類がいくつかの山に整理され、各大臣と相談が必要なものはすでに大臣たちに話が通っていた。
レオノーラは「補佐官の皆さんがおいでになって、自分たちの部署の書類を受け取りたいとおっしゃったので、各大臣様に写し書きをお渡ししておきました」と報告した後、「申し訳ありません、差し出がましいことをしたかもしれません」と伺うように言った。アビエルは思わず彼女を引き寄せて抱きしめた。
「もっと早くこうすれば良かった。」
・・・・・・
先日の貫通式に向かう道中は、レオノーラとずっと一緒にいることができた。
神聖祭の夜会の時に、
『―寂しかったの、会いたかったー』
そう言って自分に抱きついてきた彼女を、あれから毎晩思い出しては、今、この瞬間も寂しい思いをさせていると感じて、会いたくて抱きしめたくてどうしようもない気持ちになった。訓練場で会って、他の騎士たちを交えて話をする間、時折、互いに目が合っては想いをかわす。そんな切ない日々から、貫通式への帯同を知らせ、出立までがどれほど待ち遠しかったか。
帝都からロンテアまでの道中の一週間。他の大臣たちを馬車に押し込めて、レオノーラと馬で移動した。大臣たちに帯同する侍従やら文官やらが多いので、自分にはレオノーラ一人で十分と伝え、侍従は連れて来なかった。宿の上階は貴賓室と侍従用の続き部屋しかない。宿ではずっとそこにレオノーラと閉じこもった。
「アビエル、さすがに大臣方は不審に思わないかしら。その‥‥こう毎日ずっと一緒にいたらどう思われるか」
4日目の夜、いつものように湯桶に入り、後ろ向きに抱いたレオノーラの体を洗っていると、上目遣いで心配そうな顔をしてアビエルの顔を見る。
「どうせ、何もなくても何かあっても『何かあった』と思われるだろう? だったら、我慢せず、何かある方をちゃんとやろうと思って」
可愛い胸を泡で丸く洗っていると、その真ん中が赤く主張してくる。泡のついた親指で押すように触れる。レオノーラの体がピクンと揺れて、声を出さないように下唇を噛むのが見えた。
「ん‥‥なんだか理屈が通ってるような、通ってないような‥‥あ、もう、変なところを触ったらダメ」
するすると下腹部に降りるアビエルの手を制して、自分の脇腹に戻す。
「変なところじゃないよ。疲れた足をマッサージしてあげようと思っただけだ」
手をレオノーラの引き締まった太ももに置く。膝の上から徐々に足の付け根に向けて揉み上げていく、黙ってマッサージされていたレオノーラだが、足を開かされ持ち上げられている自分のあられも無い格好に気付き、顔を真っ赤にする。
「やめて、アビエル、もういいわ、や、あ、」
開いた足の間に見える秘裂にアビエルの指が滑り込む。レオノーラの肩に顎を置き、自分の指が滑らかな襞の間に吸い込まれるのをうっとりと見つめる。レオノーラの体がのけぞり、より深く指を咥え込む。
蜜口の中が入ってくる指に吸い付くように蠢いている。いつの間にか指の動きに合わせて腰を揺らし、浅い息を吐きながらアビエルの腕にしがみついていた。指で襞を割ると中に小さな蕾が見える。
「レオニー、あぁ、可愛いね。どこもかしこも可愛い」
首筋を吸いながらその赤い蕾を親指でそっと触れる。ビクンとはじけるように体が弾む。
「ダメ、アビエル、あ‥‥」
アビエルの二の腕を縋るように掴み、首をのけぞらせる。親指で撫でさすっていた蕾をギュッと摘み上げた瞬間レオノーラは全身をこわばらせた。嬌声を飲み込むようにその唇に深い口付けをする。粗い息をするレオノーラの胸郭が大きく上下を繰り返す。しばらく落ち着くのを待った後、湯桶から出て体を拭いてやる。
「‥‥私にも拭かせて」
小さい声で恥ずかしげに言う姿がまた愛おしい。大きなタオルでアビエルの胸を拭きながら寄り添って口付けをねだる。腰を抱いて寝台まで運び、そっと下ろすと離れたくないというように首に腕を回しギュッと抱きつく。レオノーラのこういう甘える仕草にアビエルはどうしようもなく弱いのだった。
「レオニー、愛してるよ」
耳元でそう囁くと、レオノーラはさらに首に回した腕にギュッと力を込めて抱きつき、
「アビエル、愛してるわ。私を離さないでね」
縋るように言ってアビエルの肩に唇をつける。
「離さない。これから先、ずっと、ずっと一緒にいよう。何があっても」
体を起こし、レオノーラの火照った体ととろんとした表情を見つめて囁く。そして口付けを落としながら、足の間に膝を割り入れ体を押し込む。
「私たちはずっと一つだよ」
アビエルはそう呟きながら、愛しいレオノーラの中に自分を沈み込ませた。
・・・・・・
貫通式への行き帰りですっかり別離の寂しさを解消した。なおかつそのまま「彼女の能力が必要」と言い張ってレオノーラに政務を手伝ってもらうことにした。
やってもらってわかった。自分には本当に公私ともに彼女が必要だったのだ。
合理的で効率の良い彼女の整理法はアビエルの執務時間を恐ろしく短縮した。よく考えれば彼女ほど自分のことを知ってくれている人がいるはずがなかった。
彼女の働きぶりによって、アビエルの猛烈な政務により逼迫していた皇宮の業務内容は劇的に改善した。彼女のことを「あれ」だの、「あの者」だのと言っていたアーノルド宰相でさえ、その能力を認めざるを得なかった。
当初は国外からの書簡のやり取りに関する業務を主にやってもらうつもりだったが、出仕を始めて三ヶ月もするとアビエルの秘書的業務全般がレオノーラの仕事になっていた。最初の数日はアビエルの執務室のティーテーブルで仕事をしていたが、来客がある時などに居場所がなくなってしまうので、アビエルの執務室の隣にあった休憩室がレオノーラの執務室になった
レオノーラは自分用の仕事机を貰えたことがとても嬉しかったようで、以前にアビエルにもらった羽ペンなどを持ってきて自分好みの書き物机をしつらえていた。
「こんな立派な執務机を使わせていただけるなんて、ありがとうございます」
こんなことで頬を赤らめながら嬉しがるレオノーラに、もっと贅沢をさせたくて、グリエルド製のソファセットを部屋に置き、いつでも休憩に利用したらいいと伝えると、「アビエルも時々ここで休憩したらいいと思うわ」と可愛いことを言う。あまりに可愛いので、その後小一時間、執務室に鍵をかけてソファで休憩を楽しんだ。
これまで、レオノーラと距離を取ることで皇室信望者を刺激しないように努めてきた。
しかし、どんなに距離を置いても、狂信的な者たちは考えを改める気配がないのかもしれない。ならば、むしろ彼女を身近に置き、いつでも守れるようにするべきかと考え、政務の補助をする名目で、彼女を自分の執務室に出仕させることにした。
もっと早くこうするべきだった。帝都にレオノーラが戻ってからの数カ月、一緒に過ごすことを避けていたことを後悔した。毎日、彼女に会える満足感はもちろんだが、レオノーラは自分の周りで働く誰よりも優秀だった。
出仕初日、アビエルは宰相との会議中に、届いた書簡を翻訳しておいてほしいと頼んだ。会議を終えて執務室に戻ると、机に高く積まれていた書類がいくつかの山に整理され、各大臣と相談が必要なものはすでに大臣たちに話が通っていた。
レオノーラは「補佐官の皆さんがおいでになって、自分たちの部署の書類を受け取りたいとおっしゃったので、各大臣様に写し書きをお渡ししておきました」と報告した後、「申し訳ありません、差し出がましいことをしたかもしれません」と伺うように言った。アビエルは思わず彼女を引き寄せて抱きしめた。
「もっと早くこうすれば良かった。」
・・・・・・
先日の貫通式に向かう道中は、レオノーラとずっと一緒にいることができた。
神聖祭の夜会の時に、
『―寂しかったの、会いたかったー』
そう言って自分に抱きついてきた彼女を、あれから毎晩思い出しては、今、この瞬間も寂しい思いをさせていると感じて、会いたくて抱きしめたくてどうしようもない気持ちになった。訓練場で会って、他の騎士たちを交えて話をする間、時折、互いに目が合っては想いをかわす。そんな切ない日々から、貫通式への帯同を知らせ、出立までがどれほど待ち遠しかったか。
帝都からロンテアまでの道中の一週間。他の大臣たちを馬車に押し込めて、レオノーラと馬で移動した。大臣たちに帯同する侍従やら文官やらが多いので、自分にはレオノーラ一人で十分と伝え、侍従は連れて来なかった。宿の上階は貴賓室と侍従用の続き部屋しかない。宿ではずっとそこにレオノーラと閉じこもった。
「アビエル、さすがに大臣方は不審に思わないかしら。その‥‥こう毎日ずっと一緒にいたらどう思われるか」
4日目の夜、いつものように湯桶に入り、後ろ向きに抱いたレオノーラの体を洗っていると、上目遣いで心配そうな顔をしてアビエルの顔を見る。
「どうせ、何もなくても何かあっても『何かあった』と思われるだろう? だったら、我慢せず、何かある方をちゃんとやろうと思って」
可愛い胸を泡で丸く洗っていると、その真ん中が赤く主張してくる。泡のついた親指で押すように触れる。レオノーラの体がピクンと揺れて、声を出さないように下唇を噛むのが見えた。
「ん‥‥なんだか理屈が通ってるような、通ってないような‥‥あ、もう、変なところを触ったらダメ」
するすると下腹部に降りるアビエルの手を制して、自分の脇腹に戻す。
「変なところじゃないよ。疲れた足をマッサージしてあげようと思っただけだ」
手をレオノーラの引き締まった太ももに置く。膝の上から徐々に足の付け根に向けて揉み上げていく、黙ってマッサージされていたレオノーラだが、足を開かされ持ち上げられている自分のあられも無い格好に気付き、顔を真っ赤にする。
「やめて、アビエル、もういいわ、や、あ、」
開いた足の間に見える秘裂にアビエルの指が滑り込む。レオノーラの肩に顎を置き、自分の指が滑らかな襞の間に吸い込まれるのをうっとりと見つめる。レオノーラの体がのけぞり、より深く指を咥え込む。
蜜口の中が入ってくる指に吸い付くように蠢いている。いつの間にか指の動きに合わせて腰を揺らし、浅い息を吐きながらアビエルの腕にしがみついていた。指で襞を割ると中に小さな蕾が見える。
「レオニー、あぁ、可愛いね。どこもかしこも可愛い」
首筋を吸いながらその赤い蕾を親指でそっと触れる。ビクンとはじけるように体が弾む。
「ダメ、アビエル、あ‥‥」
アビエルの二の腕を縋るように掴み、首をのけぞらせる。親指で撫でさすっていた蕾をギュッと摘み上げた瞬間レオノーラは全身をこわばらせた。嬌声を飲み込むようにその唇に深い口付けをする。粗い息をするレオノーラの胸郭が大きく上下を繰り返す。しばらく落ち着くのを待った後、湯桶から出て体を拭いてやる。
「‥‥私にも拭かせて」
小さい声で恥ずかしげに言う姿がまた愛おしい。大きなタオルでアビエルの胸を拭きながら寄り添って口付けをねだる。腰を抱いて寝台まで運び、そっと下ろすと離れたくないというように首に腕を回しギュッと抱きつく。レオノーラのこういう甘える仕草にアビエルはどうしようもなく弱いのだった。
「レオニー、愛してるよ」
耳元でそう囁くと、レオノーラはさらに首に回した腕にギュッと力を込めて抱きつき、
「アビエル、愛してるわ。私を離さないでね」
縋るように言ってアビエルの肩に唇をつける。
「離さない。これから先、ずっと、ずっと一緒にいよう。何があっても」
体を起こし、レオノーラの火照った体ととろんとした表情を見つめて囁く。そして口付けを落としながら、足の間に膝を割り入れ体を押し込む。
「私たちはずっと一つだよ」
アビエルはそう呟きながら、愛しいレオノーラの中に自分を沈み込ませた。
・・・・・・
貫通式への行き帰りですっかり別離の寂しさを解消した。なおかつそのまま「彼女の能力が必要」と言い張ってレオノーラに政務を手伝ってもらうことにした。
やってもらってわかった。自分には本当に公私ともに彼女が必要だったのだ。
合理的で効率の良い彼女の整理法はアビエルの執務時間を恐ろしく短縮した。よく考えれば彼女ほど自分のことを知ってくれている人がいるはずがなかった。
彼女の働きぶりによって、アビエルの猛烈な政務により逼迫していた皇宮の業務内容は劇的に改善した。彼女のことを「あれ」だの、「あの者」だのと言っていたアーノルド宰相でさえ、その能力を認めざるを得なかった。
当初は国外からの書簡のやり取りに関する業務を主にやってもらうつもりだったが、出仕を始めて三ヶ月もするとアビエルの秘書的業務全般がレオノーラの仕事になっていた。最初の数日はアビエルの執務室のティーテーブルで仕事をしていたが、来客がある時などに居場所がなくなってしまうので、アビエルの執務室の隣にあった休憩室がレオノーラの執務室になった
レオノーラは自分用の仕事机を貰えたことがとても嬉しかったようで、以前にアビエルにもらった羽ペンなどを持ってきて自分好みの書き物机をしつらえていた。
「こんな立派な執務机を使わせていただけるなんて、ありがとうございます」
こんなことで頬を赤らめながら嬉しがるレオノーラに、もっと贅沢をさせたくて、グリエルド製のソファセットを部屋に置き、いつでも休憩に利用したらいいと伝えると、「アビエルも時々ここで休憩したらいいと思うわ」と可愛いことを言う。あまりに可愛いので、その後小一時間、執務室に鍵をかけてソファで休憩を楽しんだ。
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