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2-6 魔法実験

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夕食時に魔法を授与されステータスを鑑定した結果、オークを産むために生まれた女性と讃えられたことを報告。

『お父さんたちは知っていたんだよね?』

『・・・う・・・む・・・まぁ、可能性として・・・だな』

ちょっと居心地が悪そうに眼をそらすお父さんオーク。
ちなみに今日の夕飯はトンカツです。
まぁ、豚ではなく虫肉だけど・・・。
最初のころは抵抗があったけど、虫の形をしているわけではないからあまり気にならなくなりました。
実際、豚や牛だって解体を見せられたらおいしく食べられるかわからないが、肉になっていればおいしそうとしか思わないもんね。
さっぱりした味でトンカツというよりもチキンカツに近いけどおいしいです。
あ~~む。

『検証しようにもお嬢様自身は子供を作るには若すぎますし、高濃度の魔力を保つ実験をしようにも亜竜の肉が手に入りませんでしたから実験ができませんでした。
お嬢様に話しにくい話でしたし、話したくない人もいましてね・・・』

そういいながらオークプリーストはお父さんオークをじろりと見る。

『亜竜の肉なんてそうそう手に入らないし、・・・言いにくい話だしなぁ・・・。
第一、下手に結果が出てしまうと娘との平和な時間が減ってしまう』

目をそらし、口の中でブツブツと言い訳をしております。
裏表のない安定したダメっぷりだ。
確かに、わたしは亜竜肉を食べたお母さんの母乳の魔力を保持しているなんて教えていないし、言い難いというのはよくわかる。
とはいえ、既に知っているのだから隠す意味はなくなった。
保存している魔力も少しはあるし、いくつか実
験しようって話になった。

まずは体からタッパー(魔法)をとりだす。
そして、魔力の影響を強く受ける薬草に向かってタッパーを差し出す。
何の抵抗もなくそのまますり抜ける。
できるだけ薬草に被るようにタッパーを縦に置く。
このタッパーには少し濃いめの魔力が入っている。
どんな結果になるのかな?

他に妊娠している猫のような動物のところに行った。
やはりタッパーは何の抵抗もなく体に突き刺さる。
何とも不思議な感じだ。
猫も気になるのか鼻を近づけるがすり抜ける。
その後、少しは気になるのかそのあたりの毛づくろいをよくしているが、すり抜けるため触れないのであまり影響はないみたいだ。

とりあえず、これで様子見かな?
流産しちゃったらかわいそうだけど、まさか弟で実験するわけにもいかないから猫ちゃんごめんなさいって感じだ。

3日が経ったが、特に大きな影響はない。
学校の方は授業が始まったが、最初は採取の授業だった。
だけど、匂いを嗅いで地面に埋まっている野菜を探し当てろなんて私にはできない話だった。
体力も違うし、野菜がどういうところで取れるのかは勉強になったかな。

1週間が経った。
薬草の方は大きく健康に育っているらしい。
わたしがタッパーを付けた苗だけ成長がいい。
猫の方は特に何の変化もない。
学校の方は今日は芋ほりをした。
足を滑らせ転んだので泥だらけで帰ったら家に入れてもらえず玄関から風呂場まで運ばれた。

ひと月経つと薬草はタッパー内の魔力を使い切ったみたいでタッパーの透明度が上がっている。
しょうがないからタッパーは交換だな。
猫の体に埋めたタッパーも取り出してみるとやはり魔力を使い切っていたので交換した。
そういえば、なんで猫や薬草はタッパーに触れないのにわたしだけ触れるのだろう?
プリーストさんに聞いてみたら、ライトの魔法や幻影の魔法みたいなものだからだろうと言われた。
魔力を操るのがうまいプリーストさんだと制御していない他人の魔法にもある程度は干渉できるらしい。
でも、猫や薬草に同じことは流石にできないだろうって。
うん、まぁ・・・そうだよね。
学校の方は採取ときどき工場見学になりました。
工場というか商店?
レストランとパン屋さんと洋服屋さんを見てきました。
料理とパン作りと服作りしましたよ。
その話を家に帰ってしたら「お母さんも服を作るのは上手なのよ」って言っていた。
そういえば、私の服を時折作っていましたね。
なんでも、お母さんの魔法は植物から糸や布を取り出す魔法なんだって。
凄いなと思ったけど、魔法で作られた服だと鎧みたいに丈夫な服を作れたり汚れを自動的に落とす服ってものもあるらしい。
「だからたいしたことはないのよ」って言っていたが、それって普通ではないでしょう。
お母さんは充分すごいですよ。
わたしなんて墓穴を掘る魔法しか覚えていないのに・・・。
まぁ、うまくいけばオークの苗床候補からお産婆さんにクラスチェンジできるかな。

更に一月後、猫の出産に合わせて薬草も採取。
何やら見たこともないオークが嬉々として私に握手をして『またお願いします』と言い残し薬草を持って行った。

『誰?』

『錬金術師ですよ・・・ポーションなどの魔法薬を調合しています』

頭を抱えながらオークプリーストさんが教えてくれた。
学者バカというか・・・人間もオークも変わらないなぁ・・・。
生まれた猫ちゃんだが、4匹生まれたうち1匹が2尾だった。
これって・・・成功?失敗?
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