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助かって……ない!

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 木々を薙ぎ倒して追って来る怪物から出来るだけ遠ざけるように走る。

 今は洞窟か渓谷のようなものを探しているが、周りには山などは無く、岩場のようなところが無いか探している。
 さっきの洞窟?
 アイツが踏みつけただけで崩れそうだから却下。

 ということでいい洞窟《 隠れ家》探してます。
 ちなみに木々を避けながらここまで考えられるのは並列思考と思考加速のおかげだ。

 あと、さっきから後ろのアイツからどでかい魔力の圧が来てて怖い。
 絶対魔法撃ってくるよね?あの大地魔法とかいうやつ。
 どのくらいかはわからんけど。
 わかってても止められない。

 ボコンッ!

 自分の目の前に明らかにオーバーキル気味な大穴が空いた。
 深過ぎて底が見えない。
 もう絶対食べる気ないよね?もう殺れれば良いの?そういえばなんでこんな腹の足しにもならなそうなちっさいのをこんなに追って来てんの?は?ヤダもうお家に帰りたい。

 現実逃避終わり!
 どう躱す?
 躱すのは無理っぽい。
 だって自分の何十倍もの大穴が目の前にいるんよ?
 さらに只今全力疾走中なんよ?
 うん。ムリ

 そして、俺は大穴に落ちていく。
 モン○ンみたく落ちても落下ダメージ喰らわなかったら良いのにな。
 せっかく転生したのにもう死ぬのか…
 次は人に転生したい…な。

 ………………………………………………………………………………

 あれ…生きてる。
 周りは真っ暗だが、広い場所ではなく、狭い閉鎖された所のようだ。

 確か…落ちてる時に横から飛び出して来た地下水に流されて、そのまま横穴を流れていって…そこからの記憶がない。。
 毛皮がビチャビチャで気持ち悪い。
 犬がよく体をブルブルする理由がよくわかった。
 よく助かったな俺

『俺のおかげで助かったんだぞ?』
「ああ、ありが…誰!?」

 周りには当然、だれもいない。

『俺だよ俺。』
「オレオレ詐欺?」
『イヤ、今のお前から何が取れるんだよ?』
「知らんけど…とりあえず君は誰?」
『突然変異の並列意思的な?』
「そうなんだ…。」
「なんで今出て来たの?並列意志はもっと前からあったけど。」
『うっ……その…乗っ取った』
「は?」
『並列意思を乗っ取りました。ごめんね』
「おい」
『いや、でもまあ俺が乗っ取ったお陰で今お前が生きてるんだぞ。』
「それはありがたいんだけど、君が乗っ取ってなかったらどうなってたの?」
『並列意思は魔法のアシストとかを自立して行うだけだし、そもそも考える事がほぼ一緒だから俺が乗っ取ってなかったら今頃地中で死んでるよ』
「マジか」
『マジだ』
「まあ…よろしく」
『いや、もうすぐ乗っ取りも解けるよ』
「え?」
『じゃあな。次は直に会おうぜ。何年かかるか知らんけど』
「おいちょっとま…」

「おーい」
 いくら呼び掛けても返事はきこえなかった。
 一体彼はなんだったんだろう?
 とりあえず進もう。
 前になんか真っ黒な扉を開…こうとした。
 …この手じゃ開けられん

 結局、体当たりで開けた扉をくぐるとその向こうは今までのファンタジーとはかけ離れた、古びている大きな病院の玄関だった。

 その病院は地・球・の・最先端の病院をそっくりそのまま移動させたようにも見える。

 どこぞのホラゲーみたいに物が散乱してはいないものの暗く、多少寂れている部分も有る。
 しかも夜なのか、凄く暗いし寒い。
 どうやら風も少し有るようだ。
 ファンタジーの世界にこんなホラー入れんで良いから。
 ホント。

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