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[7] 工房
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ログインしたらメッセージが届いてた、燈架から。
なんでも今日は急遽バイトが入ったためインできないとのこと、残念。
しょーがないのでクレハと2人で遊んであげることにする。
それからもう1通、これも燈架から。
ユーニスさんから細工師を紹介してもらったので2人で会いに行けとのこと。
すでに時間と場所まで決まっていて、ちょっとだけ私は憂鬱な気分になった。
知り合いの知り合いの会ったことない人に会うの気が重い。
正直なところ燈架抜きでユーニスさんに会うのも少し面倒なくらいだ
それが燈架の知り合いのユーニスさんの知り合いの細工師の人に会うとか――きつい。
よくよく考えてみたらアクセサリーを作りたいのはクレハであって私ではない。
クレハとは毎日リアルで顔見あわせてるわけだし今さら2人きりで遊ぶのもあれだから、今日のところは別行動で自分の好きなことやろうと言おうとしたところでがっと腕をつかまれた。
「それじゃあ行くよー」といつもの屈託のない笑顔でクレハ。
「私、アクセサリーとか興味ないし、一人で行ってくれば」と私。
「あ、リィナちゃん、人見知り激しいもんねー」
「何言ってんの、あんたは! 私、めっちゃ陽キャのコミュ強だし!」
「わかったよ。そういうことならついてきてねー」話しながらすでにクレハは移動を始めていた。
といった感じでなんだかよくわからないうちに、私もいっしょに細工師の人に会いに行くことになった。
うん、記憶をもとに会話を書き出してみたけど今になってもやっぱり意味わからない。
燈架の送りつけてきた座標に向かって歩いていけば街の外れで小さな石造りの建物が立ち並ぶ地域だった。
「多分このあたりであってると思うよ」クレハが言うにはそこはいわゆる職人区で工房を借りることもできるんだそうだ。
レンタル料金はちょっとそれなりで私たちはまだ余裕があるわけでもないしやめておいた方がいいだろうといった感じ。まあ借りたところで特に使い道はないんだけどね。
『ヘチの実通りの3番工房』はひときわ小さくて古ぼけた建物で私が不安になってるのに関わらず、クレハはとんとんとぼろい木の扉を叩くと「すみませーん」と呼びかけた。
「はーい、あーけまーすよー」のんびりした低い声が少し遅れて返ってきて、それからまたちょっと待たされてようやく、小さな工房の扉が開かれる。
雑に切られた黒髪にどんよりとした半目の女性、見た目の年は私たちよりちょっと上といったところ。
頭についてる耳は丸っこくてタヌキかな? と思っていたが、「よーこそー、入ってー」と言って後ろを向いたら尻尾には横シマが入っていた(クレハいわくアライグマらしい、なんでも手先が器用だとか)。
2人して「お邪魔します」と言いながら薄暗い工房の中へと足を踏み入れる。なんだか埃っぽい感じがしてちゃんと掃除とかかしてないんだろうなと思った。
工房の主人はごちゃごちゃとよくわからない道具をテーブルの上からざっと片付けて腰を下ろすと、私たちにも席に着くようにうながしてくる。
うながされるままにそのあたりにあった椅子に座ると、「わたし白ー、細工師やってるー、アクセリーとか作るのすきー」と彼女は名乗った。
なんでも今日は急遽バイトが入ったためインできないとのこと、残念。
しょーがないのでクレハと2人で遊んであげることにする。
それからもう1通、これも燈架から。
ユーニスさんから細工師を紹介してもらったので2人で会いに行けとのこと。
すでに時間と場所まで決まっていて、ちょっとだけ私は憂鬱な気分になった。
知り合いの知り合いの会ったことない人に会うの気が重い。
正直なところ燈架抜きでユーニスさんに会うのも少し面倒なくらいだ
それが燈架の知り合いのユーニスさんの知り合いの細工師の人に会うとか――きつい。
よくよく考えてみたらアクセサリーを作りたいのはクレハであって私ではない。
クレハとは毎日リアルで顔見あわせてるわけだし今さら2人きりで遊ぶのもあれだから、今日のところは別行動で自分の好きなことやろうと言おうとしたところでがっと腕をつかまれた。
「それじゃあ行くよー」といつもの屈託のない笑顔でクレハ。
「私、アクセサリーとか興味ないし、一人で行ってくれば」と私。
「あ、リィナちゃん、人見知り激しいもんねー」
「何言ってんの、あんたは! 私、めっちゃ陽キャのコミュ強だし!」
「わかったよ。そういうことならついてきてねー」話しながらすでにクレハは移動を始めていた。
といった感じでなんだかよくわからないうちに、私もいっしょに細工師の人に会いに行くことになった。
うん、記憶をもとに会話を書き出してみたけど今になってもやっぱり意味わからない。
燈架の送りつけてきた座標に向かって歩いていけば街の外れで小さな石造りの建物が立ち並ぶ地域だった。
「多分このあたりであってると思うよ」クレハが言うにはそこはいわゆる職人区で工房を借りることもできるんだそうだ。
レンタル料金はちょっとそれなりで私たちはまだ余裕があるわけでもないしやめておいた方がいいだろうといった感じ。まあ借りたところで特に使い道はないんだけどね。
『ヘチの実通りの3番工房』はひときわ小さくて古ぼけた建物で私が不安になってるのに関わらず、クレハはとんとんとぼろい木の扉を叩くと「すみませーん」と呼びかけた。
「はーい、あーけまーすよー」のんびりした低い声が少し遅れて返ってきて、それからまたちょっと待たされてようやく、小さな工房の扉が開かれる。
雑に切られた黒髪にどんよりとした半目の女性、見た目の年は私たちよりちょっと上といったところ。
頭についてる耳は丸っこくてタヌキかな? と思っていたが、「よーこそー、入ってー」と言って後ろを向いたら尻尾には横シマが入っていた(クレハいわくアライグマらしい、なんでも手先が器用だとか)。
2人して「お邪魔します」と言いながら薄暗い工房の中へと足を踏み入れる。なんだか埃っぽい感じがしてちゃんと掃除とかかしてないんだろうなと思った。
工房の主人はごちゃごちゃとよくわからない道具をテーブルの上からざっと片付けて腰を下ろすと、私たちにも席に着くようにうながしてくる。
うながされるままにそのあたりにあった椅子に座ると、「わたし白ー、細工師やってるー、アクセリーとか作るのすきー」と彼女は名乗った。
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