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邪魔男、アーサー登場
しおりを挟むでは、劇の大まかな内容は決まったな。台本は僕が作ろうと思うんだが、いいかな?」
思いも寄らないことをクロードが言いだした。
え、クロードが書いてくれるの?言い出しっぺの私が作るべきでは?と思ったが、文章が上手い彼のことだ。
きっと面白い台本を作ってくれるに違いない。
しかも、何か思いついたような顔をしているし。
台本はクロードに任せることになった。
「あとは配役だが・・・。」
うん、結構決まっちゃってるけどね。
クロードが婚約者がいるのにヒロインを好きになる令息、セレンがそのヒロイン、私アメリアが悪役令嬢だよね。
「照明は任せてください!」
カイルが突然言い出した。
もしかして単に劇に出たくないだけなんじゃ・・・
怪しんで他の皆を見ると、皆も同じ疑いの目でカイルを見ていた。
「では照明はカイルに頼むとして、フレディとエレーナには、アメリアの無罪を主張して証明する役をやってもらいたい。」
「「畏まりました。」」
二人が了承する。
私は慌ててクロードに言った。
「悪役令嬢が断罪返しする話にするつもりですか?クロードとセレンが悪者になってしまいます。」
しかし二人に笑いながら返されてしまった。
「当たり前だろう。令息が罪に問われなければ、この劇が教訓にならない。」
「私は悪女がやりたいんだから、そうこなくっちゃねー。」
あっさりと悪役を受け入れるクロードとセレンに驚きながらも、二人が楽しそうだから良しとしよう。
クロードの台本が出来上がり次第、練習を開始することに決まり、今日はアメリアの体調も考慮してお開きになった。
教室に忘れ物をしたアメリアは、先生に用事があるクロードと一度別れ、後で待ち合わせをすることになった。
セレンがアメリアと話したがり、教室まで一緒に付いてきてくれる。
二人で生徒会室を出て並んで歩いていると、背後から声がかかった。
「やあ、アメリア。あの男は一緒ではないのか。もしかして別れたのかい?だったらこの僕が相手になってやってもいいぞ。」
はい、出ました、ジャマオ登場。
声をかけてきた男はアーサーと言う名前の同級生なのだが、しょっちゅうアメリアに付きまとい、上から目線で話しかけるのだ。
今日も何度目だろうか。
アメリアはうまくかわしていたが、理亜はこの手の偉そうな勘違い男が前世から大嫌いであった。
だから心の中では邪魔男と書いて、ジャマオと呼んでいる。
しかも伯爵令息のアーサーより、クロードの家のほうが爵位が高いのにあの男呼ばわり・・・
ないわー・・・
チラッとセレンを見ると、セレンも虫けらを見るような目でアーサーを見ている。
「お構い無く。間に合っていますので!」
嫌すぎて、つい乱暴な言い方になってしまう。
しかし、アメリアから返ってきた反応がいつもより大きいからか、アーサーは嬉しそうにしている。
セレンの協力でなんとかアーサーを振り切った後、セレンがプリプリしながら教えてくれた。
「アーサーだっけぇ?あの人、アメリア様の元恋人とかみんなに言って回ってるのよぉ!自分が婚約者になるはずだったとかー。ま、誰も信じてないけどー。」
セレンがアーサーのいる方向に、アッカンベーをしている。
え?元恋人?
そんな事実は全くないんですけど!
何勝手なことを言ってるんだか。
今後も絶対かかわらないでおこう!
この時はまさか、断罪劇をアーサーに邪魔されるとは思ってもいなかったのである。
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