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告白されました。
しおりを挟む今日はクロヴィスとの初デートである。
デートと言っても、クロヴィスの姪のアイリスとの3人ではあるが・・・
「やっぱりあちらのワンピースの方が良かったかしら?」
「髪型はいかがいたしましょう?」
朝早くから、侍女とバタバタと準備をしているシンディを、妹のローラがニマニマしながら眺めている。
「お姉さま、気合が入ってますわね。幸せそうで何よりですわ。」
からかうような口調で言われ、つい言い訳をしてしまう。
「お礼に誘っていただいただけですし、失礼があってはいけないのでしっかり準備しているだけですわ。」
そうよ!
それだけよ!!
浮かれてなんていないわ。
シンディは自分に言い聞かせた。
ローラの思い通りになってしまったようで、ちょっと悔しかったのである。
直接カフェでの待ち合わせだった為、緊張しながら店に入ると個室に案内された。
このお店、個室もあったのね。
感心しながら足を踏み入れると、先に到着していたクロヴィスとアイリスが笑顔で迎えてくれた。
「よく来てくれた。迎えに行けず、申し訳ないことをした。」
「シンディお姉ちゃん、こんにちは。この前はありがとう。」
「クロヴィス様、お気遣いありがとうございます。アイリス様、またお会い出来て嬉しいですわ。」
二人の挨拶にこちらも笑って応える。
アイリスに、『敬語と様は付けちゃイヤ』と言われ、普通に話すことが決まると、アイリスはクロヴィスの隣から、シンディの隣へと席を移動してきた。
「気に入られたものだ。」
クロヴィスが向かいの席で笑っていた。
その後、クロヴィスが栗のケーキ、アイリスがイチゴのケーキ、シンディが林檎のケーキをそれぞれ注文した。
ケーキが運ばれてくると、アイリスの目がキラキラと輝き出す。
可愛いわ。
ケーキを楽しみにしてたのね。
そしてやはり、クロヴィスもケーキを見て微笑んでいるように見える。
「クロヴィス様は甘いものがお好きなのですか?」
気になっていたことなので、つい訊いてしまうと、クロヴィスが照れたように言う。
「男なのに恥ずかしいのだが、実は好んで食べている。外見にそぐわないから、アイリスをだしに使って食べに来ているのだ。」
「恥ずかしくなんてございませんわ。」
男性だって甘いものが好きでもおかしくないわ。
それに、だしに使っているのではなく、アイリスちゃんが喜ぶから、急がしい中でも時間を作って訪れているのでしょう?
クロヴィスの優しさを感じ、胸が温かくなる。
そして、やっぱりローラの透視?の通り、クロヴィスは甘いものが好きで優しい人らしい。
イチゴを頬張るアイリスが嬉しそうで、自分のケーキから甘く煮てあるリンゴをすくい、アイリスの口元に持っていく。
「はい、あーん。」
アイリスはすぐにパクっと口に入れ、「美味しい!」と喜んでくれた。
クロヴィスがそんな二人を優しく見守っていたが、
「クロおじちゃまにも、あーんってしてあげて。」
と言われ、シンディが動揺しながら見上げると、クロヴィスは顔を真っ赤にして顔を背けていた。
カフェを出た後、近くの公園に誘われた。
今日はお天気も良くて、散歩日和ね。
ふふっ、アイリスちゃんがはしゃいで、芝生を走り回っているわ。
走るアイリスを目で追っていたシンディに、クロヴィスから声がかかった。
「今日は時間を作ってくれてありがとう。アイリスも嬉しそうだし、何より私が楽しい。」
そして緊張した面持ちで、続けた。
「良かったらこれを。礼のつもりなのだが。」
綺麗に包装された小さい箱をシンディに差し出した。
促されてシンディが開けてみると、珊瑚で出来た可愛らしい耳飾りが入っていた。
驚いてクロヴィスを見つめる。
「私の領地で採れた珊瑚だ。突然だと思うかもしれないが、私はあなたを愛している。今日共に過ごして更に強く思った。私と婚約してくれないか。」
熱の籠った眼差しで見つめ返され、シンディは呼吸が止まりそうになったが、何より嬉しさが身体中を駆け抜けていく。
「はい。私で宜しければ喜んで。」
はにかんだ笑顔で、婚約を受け入れたのだった。
アイリスが二人を笑って見ていた。
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