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次の日の学校

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 次の日も、朝起きてみても、芽の様子はあまり変わっていないように思えた。
どことなく、元気がない。
 私は、お水をたっぷりやると、お日様が一番当たるように微調整をしてから学校に向かった。



 胸のモヤモヤは、まだ収まっていない様にも、思えた。

「鹿野!」
「宗田くん?」

 登校途中に、宗田願に声を掛けられて、私はびっくりしてしまった。
本当にお調子者の宗田くん。
 一体何を言われるのだろうと、訝し気に私は思いながらも歩調を合わせた。

「お前さー、今日転校生が来るの知ってるかー?」

 にしし、と得意げに言う宗田くんに、

「転校生?」

と私はまたまた訝し気になる。
 だって、こんな六年生のこの時期に転校生だよ?

「そうだよなー。珍しいことあるんだよなー」
「……また、」

 私はハッとして真っ赤になった。

「そ、お前本当に独り言漏れてるよ、見事に!」

 わはは、と宗田君は笑って先に居るクラスメイトを見つけたみたいで行ってしまう。
一人取り残される私。
顔はまだ真っ赤だ。




「香也、顔赤いんとちゃうー?」
「風邪でも引いたの?」

 教室に入るなり、蜜柑が驚いて声を掛けるくらい、顔の赤みはまだ引いていないみたいだった。
亜央佳も眉をひそめて心配そうに言う。

「大丈夫よ、今日暑くない?」

 へらへらと私は笑う事で誤魔化した。
二人が顔を見合わせる。

「まあ、香也がそう言うんなら……」
「ありがとう、二人とも」
「そうだ、香也ったら聞いて!」

 亜央佳が珍しく興奮した声を出す。

「芽が出たの! 花の芽が!」
「あ、亜央佳も? ウチもだよ!」

 蜜柑が嬉しそうに言い、亜央佳と盛り上がってる。

「あ、わ、私も、だよ?」

 ここで、嘘挽回ではないけれど、私は本当のことをようやく言えた。

「香也も! 何か私たち同時進行ね」
「でや、此処で報告や」

 蜜柑が、ポケットから謎の手帳を取り出し、ふふんと不敵に微笑む。

「ウチの調べだと、花の種貰ったのは翠に茜に、黄楽々きららゆかりに……、おっと噂をすれば学級
委員の紺野こんのさんや。彼女もそうや」

 教室に入り口に姿を現し、周りを冷ややかに見ているのは学級委員の紺野ありさだった。
大人びた顔に、きつい視線が何ともツンデレらしくて良い。
と、言ったのは誰だったか。
多分ミーハーな男子だったろうか。

「翠は、緑色の種。茜は、茜色の種。黄楽々は、黄色の種。紫は、紫の色の種」
「見事にバラバラね」
「しかもカラフル」

 亜央佳と私の感想に、蜜柑は「ウチは蜜柑色のオレンジや!」とにっこりとして言った。余程自分の名前と似てたのが嬉しかったのだろう。

「私は、青色ね」
「私は、ピンクだったよ?」
「楽しみやなー、"私だけの花"!」

 蜜柑はもう想像を馳せているらしい。
亜央佳も、口元が緩んでいる。
そこで、チャイムが鳴った。

そうだ、転校生が来るんだ……!

 席に着くクラスメイトを見ると、その事実を知っているのは宗田くんと私だけの様だ。
皆、落ち着いているから。

 先生が、一人の女子を連れて、教室に入って来た。
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