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カラスの坊っちゃん

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シープ先生とのんちゃんは、カラスの坊っちゃんが居るお山の大きな木の上にある、カラスさんのお家に到着しました。

ペガサスの背から降りると、のんちゃんはさっそく張り切って玄関のドアをノックしようとしました。
「メエメエ、待って待って、のんちゃん」
そんなのんちゃんをシープ先生が止めました。
なんでだろう?
とのんちゃんは首を傾げます。
シープ先生は、手のひらサイズの鈴を手に持っていた黒い鞄から取り出すと、チリンチリンと二回鳴らしました。
すると、
「ああ、シープ先生来てくれたんですね」
カラスのお母さんが、眠そうな顔で玄関のドアを開けました。
本当に困った顔で、シープ先生とのんちゃんを家の中に招き入れました。
ある部屋に入ると、七つの小さなベッドにカラスの坊ちゃんたちがいました。
その内の、一羽のカラスの坊ちゃんだけがぐすぐすと泣いて眠れない様です。
「メエメエ、カラスの坊ちゃん、どうして眠れないんだい?」
シープ先生は、カラスの坊ちゃんの頭を優しく撫でながら尋ねます。
「カアカア、怖い夢見ちゃったんだよ~」
どうやらカラスの坊ちゃんは怖い夢を見て、眠れなくなってしまった様です。
「シープ先生が来たからもう大丈夫」
シープ先生は白衣の胸元をポンと叩きました。
そして、カラスの坊ちゃんに目を瞑るように言うと、のんちゃんの方を見て合図しました。
のんちゃんは、カラスの坊ちゃんの手を握ってシープ先生と歌います。

「「メエメエ、シープ先生とのんちゃんの子守歌~。眠れない子はどこかな~。シープ先生とのんちゃんがやって来たからにはもう安心~」」

「カラスの坊ちゃん。シープって、ゆっくり唱えてごらん」
「シープ?」
「うん。こうやって、ゆっくり息を吐いて」
のんちゃんはお手本を示してみました。
「シープ、シープ、シープ……」
おやおや不思議。
カラスの坊ちゃんはしばらくすると、安心したようにすやすやと眠り始めました。

「シープ先生、ありがとうございます」
カラスのお母さんが小さな声で、お礼を言います。
「のんちゃんもありがとうね」
のんちゃんにもお礼を言ってくれました。
そして、カラスのお母さんはのんちゃんに綺麗なキラキラ光る小石をくれました。
のんちゃんは、それを大事にリュックに仕舞いました。

さてさて、次はどんな患者さんかな?

シープ先生とのんちゃんはペガサスに乗ってお空に舞い上がりました。



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